1.魚の生殖腺サイズを規定するFSH-RH(視床下部CCK)の役割の解明
脊椎動物の生殖腺発達には、脳下垂体から産生されるゴナドトロピン(卵胞発育ホルモン:FSH、黄体形成ホルモン:LH)の作用が必須です。特に魚類卵巣では、FSHの作用のみで卵胞発育が完了し、LHの作用は最終行程である排卵のみと限定的であることが知られています。2024年、メダカを用いた研究から、視床下部コレシストキニン(CCK)がFSH放出ホルモン(FSH-RH)として働くことが示され、世界で初めてFSH-RHニューロンの存在が同定されました(Uehara et al, Nat. Commun., 2024)。
本研究室では、「魚類の生殖腺発達は、FSH-RHニューロンのCCK発現や発火活動により説明できるのではないか?」という仮説に基づいて、FSHの発現・放出の結果として得られる明瞭な生命現象を対象に、視床下部CCKニューロンの役割を研究しています。
・生殖腺フィードバック調節制御
生殖腺の発達に応じてFSHは減少し、過剰な生殖腺発達を未然に防いでいることが知られています。このFSHの負のフィードバック調節には、女性ホルモンとして知られるエストロゲンが主要な役割を果たします(Kayo et al., Sci. Rep., 2019)。この一連の制御機構のうち、未だわかっていないエストロゲンの作用部位の同定とCCKニューロン制御との関連を明らかにすることを目指す実験的解析を行っています。
2.メダカの成体同士で精巣移植が成功するメカニズムの探索
メダカで見つけた、同種他個体間で精巣を交換できる現象がどのような仕組みで成立しているのかについて解析しています(写真はKayo et al., 2022より)。
3.メダカの体長や腹ビレ長の性差形成に関する研究
メダカ近縁種で観察される体サイズや腹ビレ長の性差に着目して、それが生じるメカニズムを調べています。
設備・実験機器など
飼育設備
小型魚類集合水槽システム①
小型魚類集合水槽システム②
メダカの飼育設備として、両面型5段の集合水槽システムを2基、導入しています。
最下段の大水槽で飼育水の濾過と水温を調節し、ポンプで水を組み上げ、各棚にある小水槽に水を分配します。
2基合計して、最大約200個の小水槽を同時管理できます。
遺伝子改変メダカ、日本のある地域集団のメダカ、外国のメダカ、グッピーなど様々な小型魚類を飼育しています。
実体顕微鏡とマイクロインジェクションセット
(メダカ卵へのインジェクションの様子↑)
メダカの受精卵に試薬を注射して、遺伝子改変を行う設備です。
特定の遺伝子を人為的に壊したり(ノックアウト)、逆に人工の遺伝子配列をメダカに組み込んだりできます。
蛍光実体顕微鏡
ある特定のニューロンをGFP標識した遺伝子改変メダカの観察の様子です。
受精後数日が経過すると、ある特定の神経細胞のみGFPが蛍光を発するようになります。
成体になり、脳を解剖すると特定のニューロンのみ強く蛍光を発していることがわかります。
このニューロンの蛍光の強さを定量化したり、蛍光を目印にして回収したりできます。
その他
PCR装置
ミクロトーム
低温恒温器