このページでは河津川でみられる魚類を紹介します。本川は流域に照葉樹の優占する山林、わさび田、果樹林、住宅地、わずかな水田を有する一方、全体的に急峻であり、平野部が下流のごく一部に限られるという特徴があります。このため、同じ伊豆の河川であっても、半島中央部を貫く大河川で平野部が発達する狩野川や、流域の大部分が緩やかな稲生沢川などとは、頻繁に出現する魚種に違いがあると考えられます。
下記に掲載した魚類のほかにも、偶発的に河津川水系に入ってくる回遊性種や、過去に記録があるものの写真が得られていない種がいくつか存在します。今後も新たな種の写真が得られ次第更新する予定ですので、お楽しみに。
漁業権魚種には種名の前に〇を付しています。とくに但し書きがない限り、写真はすべて河津川水系で採集or撮影したものです。写真の利用については「漁協について」のページを参照してください(無断転載禁止)。
多くの場合、伊豆半島の河川の上流部にはアマゴとタカハヤ・アブラハヤが生息しています。川の中をのぞくと、流心にアマゴが定位し澱みにハヤが群れを作る様子が観察できます。サワガニ、ヤマトヌマエビ、ハコネサンショウウオも同所に生息し、周囲にワサビ田が点在する光景は、いかにも伊豆らしいものといえます。河津川には本流の七滝(ななだる)をはじめ多数の滝があり、訪れるだけで気持ちがいいものです。
アマゴとその亜種であるヤマメは日本各地で資源増大を目的とした放流が行われており、河津川でもアマゴの成魚・稚魚放流を実施しています。一方、無作為な放流は元来生息していた魚との交雑を引き起こし、その地域の個体群がもつ遺伝的な固有性を喪失させる恐れがあります。河津川にはアマゴの在来個体群の生息水域がありますが、どの場所においても個体数は少ないものと推測されます。貴重な伊豆のアマゴを未来に残していくためにも、源流釣りの際にはバーブレスフックの使用、キャッチ&リリースへのご協力をお願いいたします。
〇アマゴ
タカハヤ
〇ニジマス(国外外来種;早川にて撮影)
河津川は流程が短く急傾斜であるという特徴を有しており、大河川にみられるような下流域景観および汽水域がほとんど発達していません。しかし、荒倉橋(海側から3番目の橋)付近までは潮の干満の影響を受けて大きく水位変動し、魚類・甲殻類の日周的な回遊が見られます。近年、堆積土砂による河口部の閉塞が課題となっており、数十年前に比べて汽水環境がさらに減少している可能性があります。それでもなお、黒潮の影響を強く受ける伊豆半島南部に位置し、海からの連続性が人工物によって絶たれていない河津川では、現在でも海と川とを行き来するさまざまな生き物を見ることができます。
〇アユ
〇ニホンウナギ
〇オオウナギ
〇ウグイ
〇オイカワ
ゴクラクハゼ
シマヨシノボリ
ルリヨシノボリ
スミウキゴリ
ヌマチチブ
ボウズハゼ
ナンヨウボウズハゼ
テンジクカワアナゴ
カワアナゴ属の1種
ユゴイ
オオクチユゴイ
シマイサキ
テングヨウジ
カワムツ(国内外来種)
コイ(国外外来種)