当研究室におけるSNOM解析の活用例といたしましては,電磁波アンテナ構造の効果を実験的に可視化するといった取り組みが挙げられます.アンテナ設計は通常ではシミュレーションソフトを通じて行いますが,SNOMの活用によりアンテナにおける電磁界増強を直接的に評価することが可能となります.SNOM研究はシミュレーション設計精度の定量的評価といった電子デバイス作製における極めて重要な指針となり,実際にログスパイラルアンテナと呼ばれる周期的構造体の物理的な振る舞いを解明してまいりました.
SNOMを用いることで,電子材料のナノスケールな3D構造を解析することも可能となります.ノーベル物理学賞の対象となり,ナノカーボン材料においても特に代表な存在として注目を集めるグラフェンに対して,微細多孔質構造から構成されるナノポーラスグラフェンをSNOMにより観察しました.ナノスケール孔部分での光学応答変化の鮮明な可視化に成功しており,ナノポーラスグラフェンによるTHz・IR吸光メカニズムに対する物理的な解明に大きく貢献しました.