ニシキエビス
Calliostoma multiliratus (Sowerby III, 1875)
レア度:たまに見られる
形態:整った円錐形をした小型の巻貝(約2㎝)。貝殻表面に細かいすじを張り巡らせている。大斑と小斑からなる美しい模様が特徴的。ヤドカリ類のおしゃれアイテム。
生息域:本州以北~サハリンに分布し、主に潮下帯の岩礁に生息する。葛登支では沖合の平磯でみられるが少なく、生息の中心はさらに深くにあると考えられる。
その他:この属のメンバーは捕食者に対する物理的・化学的な防御反応を発達させている (Bryan et al. 1997; Herstoff & Iyengar 2011)。本種の貝殻にはしばしば破壊の跡と修復痕がみられるので、これが捕食(たとえば、カニ)からの生還を意味するのならば、やはり本種もなんらかの術をもっているということだろうか。
引用文献:
Bryan, P. J., Mcclintock, J. B. & Hamann, M. 1997. Behavioral and chemical defenses of marine prosobranch gastropod Calliostoma canaliculatum in response to sympatric seastars. Journal of Chemical Ecology, 23: 645–658.
佐々木良. 1985. 気仙沼湾周辺におけるエゾアワビ浮遊幼生の査定と出現. 水産増殖, 32: 199–206.
Herstoff, E. M. & Iyengar, E. V. 2011. Individuals of Crepidula adunca (Mollusca, Gastropoda) avoid shared doom through host specificity. Journal of experimental marine biology and ecology, 406: 79–86.