アコヤシタダミ

Lirularia iridescens (Schrenck, 1863)

レア度:いつでも見られる

形態:丸っこい小型の巻貝で、大きくても5㎜程度である。貝殻表面にレールのようなすじを巻き、そのすじは着色される。すじの間は真珠層がむき出しになっているが、くすんでいることも多い。角質の薄い蓋をもつ。触角は白い。
ヤマザンショウガイに似ていないこともない。迷ったときは蓋を見るとよい (ヤマザンショウガイ:石灰質・白い・厚い)。

生息域:北日本および沿海地方に分布し、潮間帯に生息する。葛登支では平磯に広く分布し、特に海藻の上でみられる。

生態:大槌湾では、4月を中心にアマモおよびタチアマモの葉上に卵塊が観察され、稚貝は直達発生する (佐々木 1985; Kolbin & Kulikova 2013)。大槌湾では5月から7月、野付湾では6月に当歳貝が加入し、同時に成貝が姿を消すため (富田・水島 1984; Toyohara et al. 1999)、本種は単年生と考えられる。

その他:別名アコヤチグサ。ヤマダシタダミ L. yamadana (Smith, 1875) やカスリマキシタダミ L. redimita (Gould, 1861) など、似ている種が多い。このページの写真にも複数種が混じっているような気がする。

2020年8月 山上
2020年8月 山上
2018年7月 山上
2018年7月 山上
2018年7月 山上
2020年7月@積丹 大友七重浜によくいるタイプで、大型になる。
2020年5月 山上たまにいるタイプ、臍孔が広く軟体部が暗色。
2020年5月 山上
2021年5月 とみよしオウウヨウラクに食われておりゃる

引用文献:

  1. 富田恭司・水島敏博. 1984. 野付湾におけるアマモ葉上の貝類 I: 出現種と主要 3 種の成長. 貝類学雑誌, 43: 331–338.

  2. 佐々木良. 1985. 気仙沼湾周辺におけるエゾアワビ浮遊幼生の査定と出現. 水産増殖, 32: 199–206.

  3. Toyohara, T., Nakaoka, M. & Aioi, K. 1999. Population dynamics and reproductive traits of phytal gastropods in seagrass bed in Otsuchi Bay, North‐Eastern Japan. Marine Ecology, 20: 273–289.

  4. K.G. Kolbin, V.A. Kulikova. 2013. Some aspects of reproductive strategy of Prosobranchia from Peter the Great Bay, Sea of Japan. The Bulletin of the Russian Far East Malacological Society, 17: 192–213. (in Russian)