講演者: 西岡辰磨 教授(大阪大学)
タイトル :「ホログラフィー原理と量子情報」
概要:「双対性」は量子力学における粒子-波動二重性に代表されるような一つの物理現象に対して二つの異なる見方を与える概念です。ホログラフィー原理は「場の量子論」と「重力理論」の等価性を示唆する双対性の一種で、その原理の解明と具体例の構成に向けて20年以上にわたり活発に研究されてきました。この講演では近年明らかになってきたホログラフィー原理の量子情報理論的な側面と、強結合場の量子論およびブラックホールの物理への応用の簡単な紹介を行います。[Slides]
講演者:佐藤亮介 准教授(大阪大学)
タイトル:「シュレーディンガー方程式と暗黒物質の対消滅」
概要:宇宙の全エネルギーの約1/4が暗黒物質と呼ばれる正体不明の物質で占められていることが分かっている。暗黒物質の対消滅断面積の大きさは、現在の宇宙における暗黒物質の残存量や間接探索実験におけるシグナルの大きさを決定するなど現象論的に重要な役割を担う。暗黒物質の素粒子模型は様々であるが、暗黒物質が軽いボゾンと相互作用している場合、暗黒物質は軽いボゾンを媒介した長距離相互作用を感じることとなる。この長距離相互作用は暗黒物質の波動関数を平面波から大きく歪める効果を持つため、シュレーディンガー方程式を解くことにより長距離相互作用の効果を取り入れる必要がある。本講演では、この効果を正しく取り入れて計算する方法について、特にユニタリティ制限を満たすように矛盾することなく計算する方法について議論する。[Slides]