※2024/10/23 確定版
Title: Decoupling and Non-Decoupling Effects in QFT
宮福太朗 (大阪大学)
概要:QEDやQCDのようなゲージ対称性が自発的に破れない理論では、Decoupling 定理によって、重い粒子の寄与が低エネルギーで無視できる。一方で、自発的対称性の破れのある標準理論では、重い粒子が decouple せずその寄与が残る。以上の物理を具体的に紹介する。[Slides]
Title : Bose-Einstein凝縮を用いた背景重力波検出
山本明(神戸大学)
概要:原始重力波の直接検出はインフレーション理論を検証できることから盛んに研究されている。インフレーション理論の予言はインフレーション期の真空がsqueezeされている、つまり原始重力波が量子性を持っていることである。近年、Bose-Einstein凝縮(BEC)を用いた重力波検出の方法が提案されており、重力波の量子性が見えることが示唆されている。本講演では、BEC重力波検出器による背景重力波の測定可能性を議論する。[Slides]
Title : Probing SSB via the twisted partition function
前田潤(京都大学)
概要:イジング模型の強磁性相のような離散対称性が破れた相では,ツイストした境界条件を置くとドメインウォールが生じて熱力学極限で分配関数が0になることが知られている.本講演では,この現象を連続対称性や高次形式対称性に拡張した場合について議論する.また、この現象が低エネルギー有効理論の立場から見たときにどのように解釈できるかについても述べる.[Slides]
Title : レプリカ法によるエンタングルメントエントロピーの計算
齋藤駆(大阪大学)
概要:エンタングルメントエントロピーは、2つの量子系の相関を測る基本的な量で、特に、場の理論のくりこみ群の性質やゲージ重力対応について調べる上で重要な役割を果たす。本発表では、場の理論のエンタングルメントエントロピーを求める方法の一つであるレプリカ法を紹介し、1+1次元のスカラー場で具体的な計算をする。[Slides]
Title : 二次元重力、行列量子力学、フェルミオン系の等価性
吉城諒平(大阪大学)
概要:量子重力理論は、恐らく存在し、現代に残るさまざまな問題を解決すると言われている。この難しい問題に対して、何らかの双対性を見出せればそこから強いことが言えるかもしれない。二次元量子重力に関しては、行列量子力学と等価であり、さらにその行列力学はフェルミオン系と見做せるのである。この議論を直感的に紹介したい。(hep-th9108019) [Slides]
Title : AdS Field Theory for Holography
前部屋敦(大阪大学)
概要:Maldacenaの論文以降、AdS時空のboundaryの挙動はある種のCFTと同等なものとして認識されるようになった。その双対性は、例えばAdS側の量子重力をCFTの文脈により考察するなど、場の理論を扱う上で強力な武器となってきた。本発表では主に[arXiv:hep-th/9802150]及び[arXiv:1608.04948]に基づきAdS時空における自由場の理論を考察する。そしてその簡単な例においても上記の双対性は成立すること、さらにはその結果から非自明な仮説が提唱できることを述べる。[Slides]
Title : 場の量子論と対称性
伊藤蓮(大阪公立大学)
概要:相対論的場の量子論において、リー代数で記述される対称性には制限があることか知られている。また、リー代数の拡張であるリー超代数を考えると、場の量子論で許される対称性が拡張されることが知られている。
しかし、リー超代数にはさらなる拡張があるにも関わらず、そのような対称性は場の量子論では議論されていない。本講演では、リー超代数を拡張した高次の次数付きリー超代数により記述される対称性が場の量子論で可能か否かについて研究した結果を報告する。[Slides]
Title : Ising模型における非可逆的対称性
蓬郷修一朗(大阪大学)
概要:対称性は場の理論を解析するための強力なツールとして用いられてきた。近年、対称性の概念をより一般化するという発展の方向性がある。本発表ではIsinig模型を例にとって通常の対称性との違いや、その構成方法について紹介する。[Slides]
Title : Functional Renormalization Group Analysis of O ( 3 ) O(3) Nonlinear Sigma Model and Non-Abelian Bosonization Duality
清水慧人(京都大学)
概要:It is known that the U(2) Wess-Zumino-Witten model is dual to the free fermion theory in two dimensions via non-Abelian bosonization. While it is decomposed into the SU(2) Wess-Zumino-Witten model and a free compact boson, the former is believed to be equivalent to the O(3) nonlinear sigma model with the theta term at θ=π. In this work, we reexamine this duality through the lens of non-perturbative renormalization group (RG) flow. We analyze the RG flow structure of the O(3) nonlinear sigma model with the theta term in two dimensions using the functional renormalization group. Our results reveal a nontrivial fixed point with a nonzero value of the topological coupling. The scaling dimensions (critical exponents) at this fixed point suggest the realization of dualities between the O(3) nonlinear sigma model with the theta term and the free fermion theory, indicating that these models belong to the same universality class. [Slides]
Title : Symmetric Mass Generationによるカイラルゲージ理論へのアプローチ
荒木匠(大阪大学)
概要:標準模型を含むカイラルなゲージ理論の格子正則化は長年困難な問題とされてきた。その背景には実現したいフェルミオンとは反対のカイラリティをもつ非物理的な粒子が出現するというダブラーの問題がある。本発表では、Symmetric Mass GenerationによるミラーフェルミオンのGap-outというアイデアを紹介する。さらに、[arXiv:1307.7480],[arXiv:2202.12355]に基づき1+1次元の3-4-5-0模型における結果も紹介する。[Slides]
Title : ニューラルネットワークと量子系
吉中譲次郎(京都大学)
概要:幅の広いランダムニューラルネットワークは中心極限定理を用いてガウス固定点まわりの場の量子論として理解できることが知られている。この方向性とは別に、我々は、かなり広いクラスの量子系をニューラルネットワークとして表す手法を提唱した。この手法はニューラルネットワークの万能近似定理に基づいて場に対する経路積分をニューラルネットワークの重みの統計和に書き換えるというものである。この研究は比較的よく知られている量子系の物理と未だ謎の多いニューラルネットワークとをつなぐものであり、ニューラルネットワークの深い理解につながると考えている。本講演は[arXiv:2403.11420]に基づく。[Slides]