春名純一(京都大学 M2)
この講演では、質量スケールがcutoffからdynamicalに生成される最小限の模型としてclassically conformal Z2_×Z2 invariant two scalar 模型を考察する。この模型はColeman-Weinberg機構により一方のZ_2_ 対称性のみが自発的に破れる。 時間が許せば、これを標準模型とcoupleさせ、Higgs場の真空期待値を再現できるかについても議論する。
住本尚之 (大阪大学 M2)
AdS/CFT対応は、Nを無限大とするLarge N極限で成立する対応関係であることが知られている。一方で、数値計算の利用やQCDへの応用を考える上ではNは有限として考える必要があるため、有限のNでの性質を知ることは重要である。だがNが有限の場合、重力理論は量子重力補正を含む。我々は、ある極限で量子重量力補正を含む解が求められている、D0-brane時空を考え、これにホログラフィック双対なゲージ理論のWilson loopを計算することで量子重力補正がゲージ理論側に与える影響を調べた。その結果は、量子重力補正が斥力的な効果を持つことを支持するものであった。
廣瀬拓哉(大阪市立大学 M2)
我々は、背景磁場入りトーラスでコンパクト化された6次元Yang-Mills理論のスカラー場のゼロモードの質量補正を計算する。トーラス空間の並進対称性によるシフト対称性により、スカラー場の質量補正は厳密に相殺される。この結果は、スカラー場のゼロモードが並進対称性の破れで得られる南部-Goldstoneボゾンであることから予想されることである。本講演は[arXiv:hep-th/1904.06028]の内容に基づく。
奥村傑 (京都大学 D2)
本公演では2次元ディラトン重力系に対しての物質場による摂動が、適切な条件の下でTTbar変形に書き直せることを示す。特に負の宇宙定数を持つ模型であるJackiw-Teitelboim模型に対して、共形対称な物質場加えた場合にも成り立つことを見る。この結果はS. Dubovsky, V. Gorbenko, M. Mirbabayi らによるJT模型の平坦極限についての先行研究[arXiv:1706.06604]の一般化である。
田中正法 (大阪大学 M2)
LHCを始めとする素粒子の精密測定によって標準理論の正当性が確認されている。しかし、標準理論では説明できない現象がいくつか知られている。それらの諸問題の中の一つがバリオン数非対称性問題である。バリオン数非対称性問題を解決する方法をバリオジェネシスと呼ぶ。バリオジェネシスで重要になるのがスファレロンと呼ばれる場の方程式の解である。特に標準理論のスファレロンは、バリオン数とレプトン数を持つ。今回はこのスファレロンを簡単なモデルから導出し、そこからの類推によって標準理論のスファレロンの性質を紹介する。
平井 隼人 (大阪大学 D3)
2つの量子系の合成系における量子状態に作用する演算子に対し、同一の作用を持ち、かつ、演算子の台(support)が縮小された演算子を構成する方法について紹介する。次に、この方法を応用することで、消去エラーに対する量子誤り訂正符号のdecoderを構成する方法を説明する。(量子誤り訂正に関する知識は仮定せずに話します。)また時間があれば、AdS/CFT対応における演算子の双対関係の非一意性との関係性も紹介する。この話はarXiv:1906.05501に基づく。