本研究では、アルツハイマー病とその周辺症状の原因究明に向けて研究をしています。
アルツハイマー病(AD)は軽い物忘れから始まり、進行とともにアパシーや易怒性などの情動症状(BPSDと総称される)を随伴して介護者を困らせます。アルツハイマー病の進行により認知機能が低下すると情動障害を引き起こすような依存性が示唆されています。一方、認知と情動の両機能を担う海馬は、しばしば前後に分割されて情動機能は前部に、認知機能は後部に割当てられ、認知と情動調節の独立性も示唆されています。こうした従属か独立かの問題への深い理解は、アルツハイマー病の治療開発や介護の円滑化に役立つことでしょう。本研究では、海馬脳波から我々が発見した認知指標と、情動指標としての伝達物質ドパミン放出の光学的計測とを組み合わせて、アルツハイマー・モデルマウス海馬で認知・情動の連関メカニズムを探索します。
本研究では、耳鳴りの発症メカニズムの解明とその治療法の創出を目指して研究を行ってます。
超高齢化社会を迎えた現在、老年性難聴の患者は増加し、同時に耳鳴にも悩まされている人が増えています。 しかしながら、耳鳴には有効な治療がないため、耳鳴発生メカニズムの解明やその治療法の創出は非常に重要となります。本研究では、大きい音(>110dB SPL)を長時間暴露した個体を対象に、聴覚伝導路(特に下丘)の興奮性ニューロンと抑制性ニューロンのバランス変化に着目し、耳鳴発生メカニズムの解明に向けて研究しています。さらに、耳鳴治療法の創出に向けて、遺伝的手法により内耳に特定のタンパク質を発現させ、光刺激により聴力を回復させる新たな人工内耳の開発に向けて研究を進めています。
本研究では、縫線核領域モノアミン神経の情動行動における役割を明らかにすることを目的としています。
多くの動物の脳内では、様々な神経伝達物質により正常な行動を制御しています。縫線核領域は、セロトニン神経やドーパミン神経が存在し、脳の様々な部位に投射しています。本研究では、蛍光バイオセンサ(特定のタンパク質を細胞に発現させ、脳内のカルシウムやモノアミンと反応し、蛍光するセンサ)を用いて、脳内の分子変動を光学的に記録しています。特に、音と嫌悪刺激の連合学習(恐怖条件づけ)時の縫線核領域モノアミン神経の役割について研究を進めています。