数学にコンピューターを
毒にも薬にも なる
毒にも薬にも なる
1970年代、Cray1 というスーパーコンピューターがあった。その処理性能を調べてみると
160 MFLOPS(1 MFLOPS は、数値演算を1秒間に百万回こなす事を意味する。すごいですね。)
重量は5.5トン(速度を上げるために当時としては驚異的な小型化を実現した)、価格は日本円で約20億円。これを良くおぼえておいて、iPhone6 の性能を見ると
100,000 MFLOPS !!
あなたがこのページを閲覧しているマシンは、40年前の世界最高速計算機より、性能で約千倍優れていて、重量は千分の一以下。とてつもない機械をあなたは手にしている。これを勉強に使ってみよう。そのヒントを少し。
関数電卓
iPhone 標準装備のアプリ、電卓は横にすると、関数電卓に変身する。√の値([2√]ボタン)、sin、cos の値、更に[2nd]のボタンを押すと、新しい関数が現れて、は、sinの値から逆に角度を求めるには[sin-1]を押す。三角比の角度の単位は、度=Deg とラジアン=Rad が切り替えられる。更に、常用対数、自然対数のボタンも。アンドロイドにも少々関数は少ないけれど同様の機能が。
GeoGebra
オンラインでも、ダウンロードしても使える。グラフ、図形表示の優れたフリーソフト。米国で開発され、世界中の愛用者により進化を続けている。機能は、下記の Funkution View をはるかに超える。特に空間図形の表示力はすごい。GeoGebra のページに例を載せました。図形表示は WolframAlpha よりも優れる。私も最近では、解説に下記 Function View よりこちらを使うことが多い。難点はきちっとした日本語の解説書が無いこと。ネット上にある解説を参考に手探りで慣れていくことになる。タブレットで十分使えるので、使い方の初歩は伝授しますよ。
Function View
日本の高校教員が、日本の高校での数学教育用に作ったフリーソフト=無料。ダウンロードして使う。windows 用。私自身、二十年ほど使い続けている。今も改訂され進化を続けている。高校では授業でも使ってきた。高校で出てくるあらゆる関数のグラフを正確に描画する。文字定数 a の値を変えると。関数 f(x) がどのように形を変えるか、など一目瞭然。媒介変数表示や、一般の二次曲線、極方程式など把握が難しいものも、すぐ形になる。次のWolframAlphaと違い、日本語。無料。私が使っているところで見てきわめて安全。ウィンドウズマシンがある方は、まず、紹介サイトに行ってみよう。高校数学の学習に大きな助けになる。オススメソフト。
WolframAlpha
数式処理をしてくれるインターネットサイト。高校程度の計算ならどんな計算でもこなす。ネットのサイトで無料だが、有料サイトもあってより詳しい情報が提供される。スマホでも使える。30年にわたりPC向け数式処理ソフト「Mathematica」を世界に販売してきた会社が提供するサイトで、信頼性は高い。式の計算。展開、因数分解、方程式、微積分、 グラフ描画。特に手軽にグラフの形を調べるのに便利。但しコマンドが英語なので、数学用語をある程度英語で知らなくてはならない。授業や試験の正解確認によく使ってきた。まさに「神」のサイトなのだが、欠点がある。過剰使用はこちらの計算力低下をまねく。くれぐれもご注意を。
Photomath
スマホ用アプリ、iPhone, android 両方に用意されている。技術の進歩もここまで来たか。数式をスマホのカメラで写しこむと、数式として解析し、計算し答を出す。上記のWolframAlpha入力部分を自動化したようなもの。試してみると、高校3年の数学-数Ⅲの最後に出てくる定積分の問題をちゃんと読み込み、正解を出した。バージョンアップされ機能は進化中。計算の正解確認などには便利か。まさに、コンピューターの技術を象徴するようなソフト。画像認識、数式処理共に高度な理論とプログラミング技術、大量の計算処理が必要で、今のスマホの性能だからこそできる事。(20年前のPCなら、たとえ動いても一問答を出すのに10分位はかかったはず。)あまりに安易に使えるので、先のWolframAlpha以上に危険。使いすぎると学力はどんどん落ちていくだろう。
Excel―マクロ
Windows の表計算ソフト、エクセルには、マクロ(操作を自動化する機能)として、Visual Basic for Applications (VBA)が付属していることは、あまり知られていないかもしれない。VBA は、マイクロソフトのシステム開発用言語Visual Basicをマクロ用にした本格的プログラム言語。プログラムを組むとはどういうことか、体験してみたい人は試してみては。
数式処理ソフトは、大学では更に普及していて、教授陣は若手の計算力が低下することを本気で危惧している。コンピューターは上手に使えば、素晴らしい手助けをしてくれるが、下手に付き合うとこちらがつぶれる。それより、ソフト・アプリを提供する側にまわるにはどうしたらよいか考えてみよう。人間から仕事を奪うといわれる人工知能=AI(artificial intelligence)でも作っているのは人間だ。数学学習の強い動機づけになるはず。
数学学習のみならず勉強に使えそうなソフト・アプリ、サイトはネット上に多数存在する。毒になったり薬になったり。繰り返すが、上質のソフトを、上手に使うことだ。