『奈良・町家の芸術祭 はならぁと』は、地域価値の発掘作業を通して、奈良県の豊かな文化や暮らしを過去から未来に繋ぐ、今ここから発信するアートプロジェクトです。
お掃除プロジェクトや空き家見学ツアー開催による町家利活用機運の向上、地元まちづくり団体主体の運営による地域力向上と現代芸術を通じた新しい価値の提案による住民の町に対する誇り・愛着醸成の機会、住民やアーティスト、来場者との交流促進による芸術普及や海外への新たな地域価値の発信を目標としています。
これまでの10年間で、『はならぁと』開催がきっかけとなり店舗や移住者の住居として利活用されている空き町家は41件にのぼります。
Photo: Tomoya Hasegawa
Nakako Okamoto : 岡本奈香子
1973 奈良県出身
1997年 愛知県立芸術大学美術学部油画科卒業
2002年 Chelsea College of Art and Design 総合基礎コース卒業(イギリス)
2004年 Wimbledon School of Art 大学院美術科絵画専攻 修士課程(MA)卒業(イギリス)
2013年 京都市立芸術大学大学院美術研究科 博士(後期)課程メディア・アート領域終了
2015年 博士(美術)
2022年(−現在) 京都橘大学看護学部客員研究員
2021年 「かいじゅう未来計画〜アート・ひと・まち in 大和桜井」を設立(代表)
過去に経験した特異な意識変容をきっかけに、創造性と脳の関係性に興味をもつ。脳の言語野を磁気刺激して絵を描く科学的な実験を行うなど、
アートと認知心理学などによる領域横断的な制作手法により、ヒトの創造性の根源への探求の旅を続ける。
Masato Tanaka : 田中誠人
1988年長野県生まれ、東京都在住。2013年 IAMAS(情報科学芸術大学院大学)メディア表現研究科修了。
近年は「観察のための観察」をテーマに、科学、医学、哲学、人類学などを参照しながら、素材や技法に捉われない複合的な方法で、「見る」ことを見る、あるいは「鑑賞」という行為を鑑賞するような、メタ的な構造を持ったインスタレーション作品の制作に取り組んでいる。
Keisuke Hayashi : 林圭介
1981年 奈良県橿原市出身。幼少より独学で絵を描き始める。2004年 関西学院大学哲学科専攻修了。2014年 ベルリンに滞在。現在、奈良県在住。
Jaana Maijala :ヤーナ・マイヤラ
1984年、フィンランド・イリスタロ生まれ。フィンランド在住。2013年にアールト芸術大学大学院修士課程アートとフォトグラフィーのMFA取得。
マイヤラは、写真とドローイングを組み合わせた作品制作を行う。生活と密接なものとして描かれるドローイングから作品を立ち上げ、その後、それらを写真に撮ることで、アイデアや経験を洗練させ、光を当て、そして留める。2018年からは、サウンドアーティストのヴィッレ・リンナとStump Of Prometheusとしても活動。
Ville Linna : ヴィッレ・リンナ
1982年フィンランド・ヘルシンキ生まれ。フィンランド在住。
リンナは音を媒介にしたいくつかの文化史的・環境的なプロジェクトに取り組む。近年は屋外での活動を主とし、人と人とのつながりを見出そうとしている。また、サウンド・アートに加えて、詩やビデオの制作も行う。ヴィジュアル・アーティストのヤーナ・マイヤラとStump Of Prometheusとしても活動。
Shotaro Ikeda : 池田昇太郎
1991年生まれ。大阪にて元おかき工場の経過を廻るスペース⇆プロジェクト山本製菓を2015年より開始。ある状況や環境における土地や人々の集合意識を巡りながら、言葉の有無を問わず詩作に取り組む。また他のアーティストや詩人、スペースと共同しながら調和と異化、連帯と孤立、故郷と異郷の間を旅するように詩とは何かを探る実践を行う。
ヤーナ・マイヤラ&ヴィッレ・リンナ
Jaana Maijala & Ville Linna
Personal tree パーソナル ツリー
Personal tree means trees with connection to human beings, in the city for example trees can be even more important when they are left to grow free.
We heard one tree was growing inside a house.
The wind that brought the seed to start growing was the idea.
Was the seed inside a bird?
Like music
It came out and landed on earth.
We heard the tree was growing inside a house.
The house that let the tree grow in.
Trees in the city are the keys to the city
The wind carried the seed, or was it a bird?
Anyway, it came and landed on earth.
We heard the tree was growing inside a house.
The house let the tree grow in it.
パーソナル・ツリーとは、人と関わりのある木のことで、例えば都会では、自由に生育した木がより重要な意味を持ちます。
一本の木が家の中で育っていると聞きました。
風が種を運んで、育ち始めたことを思いました。
種は鳥の体内にあったのでしょうか?
音楽のように
出てきて地上に降り立ったのです。
私たちは、木が家の中で育っていることを聞きました。
木を成長させた家。
街の中の木は街の鍵
風が種を運んだのか、それとも鳥だったのか。
いずれにしても、それは地上に降り立ったのです。
その木は家の中で育っていると聞きました。
家が木を生育していたのです。
田中誠人 & 岡本奈香子
Tanaka Masato & Nakako Okamoto
「感覚遮断によるニューロダイブ」Neurodive via sensory deprivation
1950-60年代に注目を集めた感覚遮断実験。光や音といった外部刺激を遮断した環境におかれた被験者のおよそ半数に、幾何学模様や具象的なイメージなどの何らかの幻視が現れわれたことが報告されている。近年では注目も弱まり積極的な研究はなされなくなったものの、感覚遮断における幻視体験は、瞑想や座禅をはじめとする宗教的体験との関連性も指摘されており、幽霊や妖怪といった民俗的な領域、さらにはかつての洞窟における生活といった人類学的なレベルにおいても、人々の文化と繋がりあっていた可能性が考えられる。実際には存在しないにも関わらず、現実的な視覚として認知される幻視は、見ることと想像することの中間点として捉えることもでき、幻視を考えることによって、人間の知覚とイマジネーションに新しい角度から焦点をあてることができるのではないか。
今回、「見ることとは何か」について思索を続ける田中誠人と、「ヒトの創造性の根源」を探求する岡本奈香子の2名がそれぞれに感覚遮断室に滞在し、実際の体験を通して私たちの知覚を探っていくという実験的な試みを一般に公開する。