「チョウゲンボウの換羽期について」 でも触れたように、夏から秋にかけてそこそこの量の羽根が抜けます。
飼っている鳥たちの羽根をグッズにしてイベントで販売しているのを見かけます。
みなさん鳥愛があふれていて、とても素敵なのですが、実は取引してはいけない羽根もあるというのをご存じでしょうか?
野鳥の羽根にかんする規制法は主に「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(通称「ワシントン条約」と呼ばれるものです。以下、ワシントン条約)」・「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(通称「種の保存法」と呼ばれるものです。以下、種の保存法)」・「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(通称「鳥獣保護法」と呼ばれるものです。以下、鳥獣保護法) 」があります。
これらの法律および条約では、猛禽類に限定すると以下の猛禽類の羽根について所持・譲渡が禁止されています。
・ヒメカタジロワシ
・カタジロワシ
・キューバカギハシトビ
・イヌワシ
・オガワサラノスリ
・オジロワシ
・オオワシ
・オウギワシ
・サルクイワシ
・カンムリワシ
・クマタカ
・カリフォルニアコンドル
・アンデスコンドル
・セイシェルチョウゲンボウ
・チュウヒ
・ラガーハヤブサ
・マダガスカルチョウゲンボウ※
・ハヤブサ
・モーリシャスチョウゲンボウ
・シロハヤブサ
※セーシェル共和国の個体群に限る
国際取引を規制しないと絶滅のおそれのある種が掲げられており、商業目的の取引はできますが、輸出国政府の管理当局が発行する輸出許可書が必要な猛禽類の羽根は以下の通りです。
・タカ目全種(上記に掲げられたもの以外の種)
・マダガスカルチョウゲンボウのうち、セーシェル共和国以外のすべての個体群
こうしてみると、タカ目全種は基本的に輸出も輸入も規制されていますが、輸出国政府の管理当局が発行する輸出許可書があれば取引が可能となっているのが実情です。
チョウゲンボウ(falcotinnuculus)は絶滅危惧種ではないため、個体そのものや羽毛、卵などの取引は可能ですが、鳥獣保護法により野鳥の捕獲や採卵は禁じられています。
現在ペットショップなどで取引されている猛禽類はすべてこれらの法規規制から除外されているもので、いうなればブリーダーによる繁殖個体からとれた羽根や個体は取引が可能ということになります。
しかし、法律に規制されていないからと言って好き勝手取引していいというのは少し違う気がします。
伝統もあるかと思いますが、それがなければ存続できないようなものでない限りは、工夫をして代替のものを考えていったほうがいいと思います。
現に鷹狩ではモモアカノスリ(ハリスホーク)をよく目にします。弓道でも古くはイヌワシやオジロワシの矢羽根を用いていましたが、現在は用いることができなくなっているようです。
人間の都合で数を減らしている個体を、今度は保護しよう取引を規制しようとしているのを見ると、どこまでも人間の都合なのだなと思ってしまいました。
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