公開講座




 行為としての文学をどのように学ぶか ①


小学校国語科における

物語(ショートショート)創作の

学習指導について


2023.10.21(SUT)/15:00-18:00

(学会日程とは別日にオンライン開催します)

話題提供者

田丸 雅智

ショートショート作家

三藤 恭弘

福山平成大学

澤田 英輔

軽井沢風越学園

司会・進行

鈴木 愛理

弘前大学

会場:Zoomミーティング

定員 250

※ アーカイブ配信はありません

※ 画面の録画は絶対にしないでください

参加の仕方

以下のフォームから申し込みをしてください。

申込〆切 2023年10月18日(水)23:59 

趣 旨

 ショートショートの創作ワークショップを通して、行為としての文学のありようの一つとしての、小学校における創作の学習指導について考えます


文学教育という言葉から、文学を書くことの学習指導を想起する人はどれくらいいるだろう。多くの人は文学的文章を読解する授業を思い浮かべるのではないだろうか。では、文学を読むことの教育は何を目指して行われているのか。それは、文学的なものの見方・考え方を手に入れるためである。読み解いた物語内容を記憶するためではなく、物語を行為として捉え、ものを見たり考えたりする方法のひとつとして学んでいくためである。大河原忠蔵の「状況認識の文学教育」や熊谷孝の「文学的認識の文学教育」においても「文体」と「思想」の関係が注視されたように、何がどのように書かれているのか、なぜそのように書かれるのかを考えることは、読者の現実を認識する術(言葉)を得るためであろう。なお、なぜそのように書かれるのかを考えることは、語り手や作者の側から読むことにほかならない。つまり、書くように読むことを求めるといってもよいだろう。

文学を書くことの学習指導は、こうしたことがより直接的に行われる場ではないだろうか。何を書くか、どのように書くか、そのように書く必然はあるのか、そうしたことに向き合いながら修正を繰り返す過程において、読者の側に立つこと、読むように書くことを求められるのは言うまでもない。

文学の読み書きを通して「物語行為」を学習していくことには、困難や課題もある。まず、なぜ文学を読み書きできないといけないのか(何の役に立つのか)という反発や拒否感を覚える者がいるだろうし、役に立つことを説明して納得されたとしても、どのようにその力をつけていけばよいのか(何度も読み書きすればいいのか)と閉口してしまうのは学習者だけではないだろう。言い方を変えるなら、力をつけていくために創作過程や作品をどのように交流・評価していけばよいのかに課題がある。文学の創作が学習指導要領に言語活動例として示され*、教科書に取り上げられてはいても必ずしも熱心に指導されてはいないように感じられるのはそうしたこと(文学なんて役に立つのか、評価できるのか)が背景にあると思われる。

そこで本学会では、国語科における物語創作の意義と方法について考える公開講座『行為としての文学をどのように学ぶのか』(仮)を企画した。2020年秋・2021年春に『詩を書くことは教えられるのか』についての公開講座があったことを受け、今回は物語や小説の創作を中心に取り上げる。

第 1 回の2023年10月21日は、最初に話題提供も兼ねて小学校における物語創作の実践史および研究のあゆみについて、ご発表いただく。その後、創作行為を共有するために、ショートショート創作のワークショップを行う。さらに、現在の実践について創作過程や作品の評価を中心にご報告いただいた上で、ディスカッションや質疑応答を行う。話題提供者としてお迎えするのは、三藤恭弘氏(福山平成大学)、田丸雅智氏(ショートショート作家)、澤田英輔氏(軽井沢風越学園)の 3 名の方である。

第 2 回については、第1回をふまえて文学の読み書きについて、さらに内容を深めるものにする予定である。


 *小学校低中学年では物語の創作、中学校第2学年・高等学校「文学国語」では小説の創作が言語活動例として取り上げられている。