学術集会長あいさつ

性のQOLを高める支援のために

性科学ができること

森 明子(湘南鎌倉医療大学大学院)

2019年初冬に始まった新型コロナウィルス感染症(以下COVID-19)は、株を次々と変異させながら、流行・蔓延を繰り返し、2020年の本会学術集会は翌年への延期を余儀なくされ、2021年にはオンラインで開催されました。2022年もまた、現在第6波の渦中にあり、8月にはどのような状況になっているか予想もつかないため、昨年同様、オンライン開催の決定に踏み切りました。オンライン開催後にオンデマンド視聴期間を設ける予定です。

私は看護職であり、大学で、将来看護職に就く学生、専門的に看護学を極めてキャリアアップを目指す大学院生の教育に携わっています。研究活動においては、妊娠・出産するため不妊症に悩み、不妊治療、生殖医療を必要とする人々の生活や健康、看護についてライフワークとして参りました。生殖の問題は性と深く結びついており、切っても切り離すことはできません。また、不妊症に限らず、どのような疾患であれ、多かれ少なかれ、性の問題は健康と相互に関連し合い、私たちの生活・人生から性を切り離すことはできません。その真理から、本会に関心を寄せ、学んで参りました。

これまでの自身の研究活動において、性のQOL、不妊治療とQOLというようにQOLの概念を用いる機会が多かったため、本学術集会のメインテーマは、「性のQOLを高める支援のために性科学ができること」としました。

教育講演のメインテーマは、「性のQOL支援の潮流」とし、世界性の健康協会(World Association of Sexual Health:WAS)の動向やSexual pleasure、閉経関連泌尿生殖器症候群(Genitourinary syndrome of menopause:GSM)などの新しい概念について、2名の専門家にご講演いただきます。 

特別講演では、「性機能と漢方」と題し、東洋医学の視点で性機能について、ご講演いただきます。ミニセミナーでは、不妊症の治療と関わりの深い「射精障害(射精アレルギー含む)」について、ご講演いただきます。

シンポジウムでは、「不妊/疾患・治療と性のQOL」というテーマで、看護職者、医師にご登壇いただき、不妊症や糖尿病、がんなど成人病と性の問題とQOLについて参加者の皆様とディスカッションをする予定です。


皆さまのご参加を心よりお待ちしております。