一般演題
短時間発表 午前(予定)
研究発表 午後(予定)
特別講演
時間(予定):15:40 - 16:40
演題:更新され続ける住まいから、デザインの知を考える―― 大阪の長屋・町家リノベーションの実践から
講演者:小池 志保子 氏(大阪公立大学生活科学研究科 教授)
都市・大阪には、江戸時代から続く借家文化があり、大阪の人口が日本一となり都市域が拡大した近代に形成された長屋・町家が、現在も数多く残されています。これらは単なる歴史的建造物ではなく、畳モジュールや裸貸しといった合理的な仕組みを備え、今日に至るまで使われ続けてきた住まいです。本講演では、大阪における長屋・町家のリノベーションの実践を手がかりに、設計行為を通してどのような知が得られてきたのかを考えます。
長屋改修の過程では、耐震補強を隠すのではなく可視化することで居住者の安心感が高まること、素材の新旧を対比させることで歴史の積層が空間として感じ取られること、裸貸しの仕組みが現代の賃貸住宅においても有効に機能し得ることなど、実践を重ねる中で徐々に見えてきた知見があります。これらは、設計を通じて初めて明らかになるものであり、実践を伴う探究の重要性をあらためて感じさせるものでした。
また今回は、素材やディテールのレベルから、間取り、制度、都市的スケール、さらにはオープンハウスイベント「オープンナガヤ大阪」に至るまで、複数のスケールを横断して立ち現れてきたデザインの知を整理します。完成度を高めることよりも、更新可能性や余白を残す設計態度が、住まいの持続性や人々の関与を支えてきた点にも触れます。長屋・町家リノベーションの実践は、研究とデザイン、理論と実装を往復しながら考える契機を与えてくれ、学生にとっても多くの示唆を含む教材となっています。住まいを「完成されたもの」としてではなく、使われながら更新され続けるデザインとして捉え直すことで、設計実践から立ち上がるデザイン知の可能性を、皆さまと共有したいと考えています。
講演者プロフィール:
略歴:2000 年京都工芸繊維大学大学院博士前期課程修了。2000 ~ 2002 年中村勇大アトリエ勤務。2002 年ウズラボ共同設立。2022 年より現職。
専門分野:居住空間設計
主な所属学会:日本建築学会、建築士会
主な著書:「ほっとかない郊外 , 大阪公立大学共同出版会 , 2017 年(分担執筆)」,「リノベーションの教科書 , 学芸出版社 , 2018 年(分担執筆)」,「竹原義二の視点 : 日本建築に学ぶ設計手法 , 学芸出版社 , 2023 年(分担執筆)」,「住居計画入門 , 学芸出版社 ,2024 年 ( 分担執筆)」など
主な受賞:グッドデザイン・サステナブルデザイン賞 ( 経済産業大臣賞 ),日本建築学会著作賞,日本建築学会教育賞(教育貢献),大阪建築コンクール大阪府知事賞,Regional Holcim Awards Asia Pacific Acknowledgement prizes,SD レビュー入選,芦原義信賞など
懇親会
時間(予定):17:00 - 19:00
場所:会場である学術情報センター1階にあるレストラン「野の花ハウス」での開催を予定しております。