人が作業を行うためには,感覚情報を基に環境の状態を判断し,環境に応じた適切な運動を実行しなければなりません.はたして,人の作業に必要な感覚と運動の機能とは,どのようなものなのでしょうか? また,感覚や運動の機能に障害を有した患者が再び作業を実行できるようになるためには,どうしたらよいのでしょうか?
前者の問いに対しては,これまで多くの基礎研究が積み重ねられ,作業の背景にある感覚と運動の機能をより深く理解することに貢献してきました.また,後者の問いに対しては,これまで多くの臨床研究が積み重ねられ,作業療法の効果を高めることに貢献してきました.
感覚や運動の機能に基づく効果的な作業療法を展開するためには,基礎研究と臨床研究を相互に連携させる必要があります.これは,日本作業療法研究学会の主要な課題のひとつであるように思われます.そこで,本学術大会のテーマを「基礎と臨床の相互トランスレーション」といたしました.
招待講演は,基礎研究と臨床研究に関する先端的な研究に取り組まれていらっしゃる田中悟志先生(浜松医科大学教授)と山本淳一先生(東京都立大学特任教授,慶應義塾大学名誉教授)にお願いいたしました.基礎と臨床に関する最新の研究知見を拝聴し,より合理的で効果的な作業療法について考える機会になればと考えております.
シンポジウムは,基礎研究と臨床研究に精力的に取り組まれていらっしゃる若手の先生方にご講演をお願いいたしました.また,シンポジウムの司会は,ベテランの先生方が担当してくださいます.若手,ベテラン,参加者の刺激的なディスカッションを通じて,年代を超えて切磋琢磨するきっかけになればと考えております.
また,一般演題は,ホームページ上のポスター掲示,ショートトーク,Googleチャットを用いたディスカッションを組み合わせて行います.Googleチャットのルームは,学術大会終了後もオープンにいたしますので,継続的なディスカッションの場や,会員の皆様同士の連携の場としてご活用いただければと思います.
さらに,本学術大会では公開講座を企画しております.社会に開かれた学術集会を開催することによって,作業療法研究が社会と密接に連携するきっかけになればと思います.
ご参加くださいました先生方にとって,実りの多い学術大会になることを,スタッフ一同願っております.
2022年6月1日
大会長 鈴木誠(東京家政大学大学院 人間生活学総合研究科 教授)
運営委員長 斎藤和夫(東京家政大学 健康科学部 准教授)
運営委員 磯直樹(東京家政大学 健康科学部 准教授)
運営委員 岡部拓大(東京家政大学 健康科学部 准教授)
運営委員 趙吉春(東京家政大学 健康科学部 講師)
運営委員 東恩納拓也(東京家政大学 健康科学部 助教)
運営委員 鈴木貴子(埼玉県立大学 保健医療福祉学部 准教授)