過去の研究会情報

過去の研究会・ワークショップなどの情報や活動記録などを掲載しています。

研究法研究部会 第1回企画ワークショップ

シグナルかノイズか,それが問題だ――信号検出理論の深化とモデリング――

日本認知心理学会第17回大会の自主企画ワークショップとして,研究法研究部会の第1回企画ワークショップが行われます。大会にご参加の方はどなたでもお越しいただけます。

日程:2019年  5月26日(日)  14:30〜16:00

会場:京都テルサ  第2会議室 (西館3階)

発表概要大会ページをご参照ください。また,発表内容が日本認知心理学会テクニカルレポートに掲載されています。

〈当日の発表スライドと資料〉

井上先生_sdt_intro.pdf

信号検出理論の概要と教示法

発表者:井上 和哉 (首都大学東京)

山根先生_bayesSDT.pdf

ベイズ推定による信号検出モデルの拡張

発表者:山根 嵩史 (川崎医療福祉大学)

回帰モデルとして見る信号検出理論

ー情動体験シグナルを見抜けるかー

発表者:難波 修史 (広島大学)








発表内容はこちらのプレプリントを

ご参照ください。









規範モデルからの脱却

―確信度のefficient coding―

発表者:三好 清文 (香港大学・名古屋大学)

〈ワークショップに寄せられたご質問と発表者からの回答〉

     信号検出モデルにおいて,正規性の仮定が満たされないことはほとんどない(Gescheider, 2003)とされていますが,正規分布以外にも,t分布を用いた拡張や(e.g., Jones, P. R. (2016). A tutorial on cue combination and Signal Detection Theory: Using changes in sensitivity to evaluate how observers integrate sensory information. Journal of Mathematical Psychology, 73, 117-139.),混合分布を用いた拡張(e.g., DeCarlo, L. T. (2002). Signal detection theory with finite mixture distributions: theoretical developments with applications to recognition memory. Psychological review, 109(4), 710.)も提案されているようです。数学的にかなり高度になりますが,興味があればこれらの論文もご参照ください。(回答者:山根先生)

     判断基準はzCRで算出できる一方で、ここでいう反応バイアス (c) はk-(d'/2)によって定義されます。HRの影響もうける反応バイアスの指標がここでいうcと理解してもらえればいいです。(回答者:難波先生)

     切片を判断基準と対応する指標として出したい場合は、ご指摘いただいたように0,1でコーディングする必要があると思います。SDTとは異なる文脈であれば、別のコーディング方法でも構わないかと思います。その場合にSDTのパラメータとどう一致するかは少なくとも私は存じません。また、交互作用を見る場合にはそうしたコーディングをすることもあるかと思います。Additionalな変数を(-0.5,0.5)とすることで、全体的な反応バイアスおよび信号検出力と、操作によって変動する影響力が推定できると理解しています。(回答者:難波先生)

     SDTモデルでの交互作用項の解釈はやっかいで今回のケース(X1もX2も0,1でコーディング)でいえば、d’の解釈はX1の主効果がX2が0の場合の信号検出力、X3の交互作用項とX1の主効果を足したものがX2が1の場合の信号検出力、という風に解釈できるはずです。場合分けした場合のd’ともいえるでしょう。その場合は、交互作用項を場合分けしたものとほとんど似たもの、と解釈していいはずですが、あんまり説明変数が増えすぎるとわけがわからなくなるかもしれません。(回答者:難波先生)

     何らかの工夫で可能かもしれませんがお勧めいたしません。SDTを用いる強い理由がないのであれば、理論フリーの指標(AUCなど)をお勧めいたします。(回答者:三好先生)

     このような分析に自分は明るくないのですが、以下が参考になりそうです。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21895383 (回答者:三好先生)