キチンの発見は1811年と古く、地球上に存在する量はセルロースにも匹敵するとさえいわれているのに、その研究は近年まで非常に僅かでした。また工業的利用も1970年日本水産(株)が蟹工船で発生する殻の利用を目的に開発した凝集剤としてのキトサンが最初でした。
しかし1970年代に入って、アメリカで海洋資源の利用に関するプロジェクトができ、その補助金を使ったキチンの研究が盛んに行われるようになって、1977年にボストンで第1回キチン・キトサン国際会議が開催されました。第2回は1982年日本の札幌で開かれています。その後この会議は3~5年ごとに世界各地で開かれ、2000年の第8回は再び日本の山口で9月21日から23日まで盛大に開催されました。
わが国でも1970年頃から研究が盛んになり、1981年に初めてキチン・キトサンシンポジウムが大阪で開かれました.その後1985年に第2回(鳥取)、1988年に第3回(東京)のシンポジウムが行われました。これらはその都度研究者有志が話し合ってキチン・キトサン研究会の名前で運営されていたのですが、1989年6月に東京で第1回総会を持ち、会としての規約や役員を決めて正式にキチン・キトサン研究会として発足いたしました。この日には記念講演会も行っています。
その後研究会は順調な発展を続け、毎年シンポジウムの開催、機関誌の発行などを行うようになりました。そして1996年には、日本学術会議に学術研究団体として登録を済ませ、また機関誌「キチン・キトサン研究」は学術刊行物としての認可を受けました。そこで今までのキチン・キトサン研究会は、1997年1月1日から名称を「日本キチン・キトサン学会」と改めることとしました。
この分野の研究は日本が世界中でもっとも進んでおり、研究者の数も最大です。日本キチン・キトサン学会にはキチンとキトサンに関する学問的分野の研究者はもとより、応用研究に携わっている民間企業の方々や、すでに商品化に成功し製造を担当している技術者の方々も多数参加しています。さらに類縁のアミノ基含有多糖類に関する研究者、またその利用研究を行っている企業の人も加わっています。そして酵素、生化学、薬学、応用化学、医用材料、香粧品、食品等幅広い分野の研究者・技術者によって構成されているのも本学会の特徴といえましょう。