デジタルゲーム産業は、世界規模で急速な成長を遂げている。なかでも日本は世界屈指のデジタルゲーム大国であり、日本のデジタルゲームは基幹輸出産業として巨大な経済・文化的影響力を有している。デジタルゲームは産業として重要であるのみならず、人工知能にとっても、強化学習、探索、プランニング、マルチエージェント、対話、生成、ユーザモデリング、人間とAIの協調などを検証できる優れた応用領域・実験領域である。とりわけ近年は、生成AI、対話エージェント、プレイヤーモデリング、品質保証支援、運営最適化、コンテンツ生成支援など、デジタルゲームとAIの接点が急速に拡大している。その技術的蓄積は膨大なものになりつつあり、本学会の学会誌や全国大会などでも繰り返し取り上げられているところである。
海外では、デジタルゲームAIに関する国際会議、競技会、企業研究組織、大学との共同研究などの枠組みが継続的に整備され、学術研究と産業実装の循環が比較的確立している。これに対して国内では、2020年まで、デジタルゲームAIの研究されている場は産学いずれにおいても限られたものであった。近年、国内において、デジタルゲームAIの研究の場は増加し続けているが、産業と学術の交流は黎明の中にある。産業におけるAI技術は、産業カンファレンスでの発表などが多く、学術の研究の場に届くことが少ない。逆に学術研究がデジタルゲーム産業の現場に届き、活用されることも少ない。本研究会は、産業と学術の橋渡しを行い、産業における知見を学術一般に伝達し、学術におけるゲームAI研究の成果を産業に還元する場となって、活発なデジタルゲームAI研究を促進する役割を果たさんとするものである。学術における研究を産業のニーズを満たす相当する量まで引き上げることによって、産学におけるデジタルゲームAI技術の推進を実現したい。
デジタルゲーム大国である日本において、デジタルゲームAIを学び研究したいという学生は多い。しかし、大学においてデジタルゲームAIを体系的に学び、研究活動を実施できる場は少なく、学びの場の創出が急務である。本研究会は新しくデジタルゲームAI研究を始めようとする研究者の拠り所となる役割を果たすことで、広く社会の需要に応えんとするものである。研究のテーマや共同研究が生まれる場、産学を超えたコラボレーションが生まれる場とすることで、豊富なデジタルゲーム資源のある日本から、世界で通用する人工知能研究や開発のヒントを生み出す母体となることを目指す。
本研究会はデジタルゲームにおける人工知能を研究範囲とする。ここでデジタルゲームは、アクションゲーム、ストラテジーゲーム、ロールプレイングゲームなど、コンピュータ上で動作する、コンピュータが関与するデジタルメディアとしてのゲームにおける人工知能を範囲とする。ただし、ゲームという名が付いていないインタラクティブなデジタル・エンターテインメント領域についても研究領域とする。