パーキンソン病について
パーキンソン病は、脳の黒質という部分の神経細胞が減少し、そこで作られる神経伝達物質の一つであるドーパミンが不足して、脳が出す運動指令がうまく伝わりにくくなり、スムーズに動けなくなる進行性の病気です。1817年にイギリスのジェームズ・パーキンソン医師が初めて報告したため、この病名がつけられました。
1、発症年齢と有病率
パーキンソン病は50歳代以降発症することが多く、実際は人口10万人当たり100~150人いるいわれています。男女差はなく、日本では16万人くらいの患者がいるとされています。高齢者に多い病気ですが、若い人でも発症することがあります。
2、パーキンソン病の主な症状(4大症状)
初期には次のような症状が身体の片側にあらわれ、
①安静時に手足が震える(振戦)
②筋肉がこわばる(筋強剛・筋固縮)
③動きが遅くなる(無動・寡動)
④バランスが悪くなる(姿勢保持障害)
このような症状が見られるようになると、さらに進むと、歩行や生活に介助が必要になることがあります。そのほか非運動症状もあります。
3、発症の原因とパーキンソン病の治療
パーキンソン病は原因不明で、完全な治療法も確立していないため、現在では薬により症状を改善する治療が中心になっています。しかし、脱落、変性した神経細胞を増やすことはできず、薬は飲み続ける必要があります。外科的治療法として、脳の視床、淡蒼球という部分の細胞を破壊させる方法(定位脳手術)や、脳深部に小さな電極を埋め込んでペースメーカーのように電気刺激を与える方法(大脳基底核刺激法)によりドーパミンを補充する機能を持続的に小脳へ注入し続ける方法(経腸的デバイス補助療法)が開発され実用化されています。現在では、治療法の基本は化学物質治療ですが、近年は遺伝子治療、多能性幹細胞(iPS)移植治療、研究は目覚ましく発展しています。