参考抜粋:外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/imo/)平成28年1月26日現在
1.国際的な海のルールづくり
船は世界中を航海し、また、港には様々な国から多様な貨物を積んだ船が集まってきます。船に関する各国の規則がまちまちで、船の大きさの基準や安全・環境に関して保持すべき設備の基準などに大きな差があると、受け入れる港で混乱を招くだけでなく、ともすればタイタニック号事故のように、船員や旅客の命に関わる問題ともなります。船の通航量の多い海域については、衝突を防止するため、共通の交通規則を作成しておく必要があります。
また、船舶の入出港に関する手続が各国ごとにまちまちで複雑であった場合、船側にとって不便であり、国際的な物流を円滑に行うことができません。
このように、国際的な航海を行う船については、安全確保や海洋汚染防止など様々な観点から、全世界で統一的なルールを作成する必要があり、このようなルール作りが、ロンドンにある国際海事機関(International Maritime Organization; IMO)で行われています。
加えて、テロ行為や海賊への対処、海上輸送を通じた密輸や密航の防止なども、国際的な航海が安全に行われるために重要であり、IMOはこれらの問題にも積極的に取り組んでいます。
2.主な活動
IMOは、船舶の安全、海洋汚染防止、海難事故発生時の適切な対応、被害者への補償、円滑な物流の確保などの様々な観点から、船舶の構造や設備などの安全基準、積載限度に係る技術要件、船舶からの油、有害物質、排ガス等の排出規制(地球温暖化対策を含む)等に関する条約、基準等の作成や改訂を随時行っています。
3.IMOで作成された主な条約一覧(以下の各条約の名称は通称)
以下(1)~(6)参照
① 1974年海上人命安全条約(SOLAS条約)
船舶の堪航性(航海に堪えること)及び旅客や船員の安全を確保するために必要な船舶の構造、救命設備や航海道具などの技術基準について、国際的に統一された基準を定めるとともに、主管庁又は認定された団体による定期的な検査の実施、証書の発給、寄港国による監督(ポートステートコントロール)などの規定を定めたもの。
② 1966年満載喫水線条約(LL条約)
船舶が安全に航行できるための貨物の積載制限及びその前提となる船体の水密性に係る技術基準を定めたもの。SOLAS条約と同様、主管庁又は認定された団体による定期的な検査の実施、証書の発給、寄港国による監督(ポートステートコントロール)などの規定が定められている。
③ コンテナ安全国際条約(CSC条約)
船舶に搭載するコンテナの構造強度、保守等について国際的に統一された基準を定めたもの。
④ 1972年海上衝突予防条約(COLREG条約)
航行中の船舶の衝突事故を防止するため、国際的に統一された航法、燈火及び信号の規則を定めたもの。
⑤ 船舶トン数測度条約(TONNAGE条約)
船舶の大きさの指標であり、諸税の算定などの基本となる「トン数」について、国際的に統一された測度の方法を定めるもの。
⑥ 海洋航行不法行為防止条約(SUA条約)
船舶の奪取、管理、破壊等の海洋航行の安全に対する不法行為を犯罪とし、その犯人又は容疑者の訴追、引渡し等につき定めたもの。
① 海洋汚染防止条約(MARPOL73/78条約)
船舶の航行に起因する環境汚染(油、有害液体物質、危険物、汚水、廃棄物及び排ガス(エネルギー効率の改善含む。)を防止するため、構造設備等に関する基準を定めたもの。SOLAS条約と同様、主管庁又は認定された団体による定期的な検査の実施、証書の発給、寄港国による監督(ポートステートコントロール)などの規定が定められている。
② 船舶の有害防汚方法規制条約(AFS条約)
船底外板に使用する塗料について、トリブチルスズ化合物(TBT)などの海洋環境に影響のある物質の使用を制限するもの。SOLAS条約と同様、主管庁又は認定された団体による定期的な検査の実施、証書の発給、寄港国による監督(ポートステートコントロール)などの規定が定められている。
① 船員の訓練・資格証明・当直基準条約(STCW条約)
船舶に乗り組む船員の資質、訓練、資格証明及び当直の基準を定めたもの。SOLAS条約と同様、寄港国による監督(ポートステートコントロール)の規定が定められている。
② 漁船員の訓練・資格証明・当直基準国際条約(STCW-F条約)(未発効)(我が国は未締結)
漁船に乗り組む船員の資質、訓練、資格証明及び当直の基準を定めたもの。
① 国際海上交通簡易化条約(FAL条約)
国際海上交通を簡易化するため、国際航海に従事する船舶の到着、滞在及び出発に関する手続及び書類に係る要件の国際的な簡易化及び画一化について定めたもの。
① 海難捜索救助条約(SAR条約)
各国が自国の沿岸域において適切な海難捜索救助業務を行う体制を確立するとともに、関係国との協力により、全世界的に統一された捜索救助体制の構築を目指すもの。
② 公法条約(INTERVENTION条約)
公海上でタンカーの破損などによる油汚染事故が発生した場合に、沿岸国が自国民の利益を守るために一定の範囲内で必要な措置をとることができることを定めたもの。
③ 油汚染準備対応協力国際条約(OPRC条約)
油汚染事件に関し、船舶及び港湾施設に対する対応マニュアルの備え付け、沿岸国による準備及び対応に関する国内体制の確立、締約国間での技術協力などについて定めたもの。
④ 2000年危険・有害物質汚染事件に関する議定書(OPRC-HNS議定書)
油以外の危険物質及び有害物質(HNS)による汚染事件に関し、船舶及び港湾施設に対する対応マニュアルの備え付け、沿岸国による準備及び対応に関する国内体制の確立、締約国間での技術協力などについて定めたもの。
① 海事債権責任制限条約(LLMC条約)
海難事故に係る船舶所有者の責任を、船舶のトン数に応じた一定限度に制限することを定めたもの。1996年に責任限度額を引き上げる改正議定書が作成された。
② 1992年民事責任条約(CLC条約)
タンカーによる油汚染事件に関し、船舶所有者に厳格責任を課すとともに、その責任額を一定限度に制限すること及び保険加入の義務化などを定めたもの。
③ 1992年基金条約(FC条約)
タンカーによる油汚染事件に関し、船舶所有者による補償が十分でない場合に、補完的に被害者への補償を行う基金(油受取者の拠出金を原資とする。)の設立を定めたもの。
④ 追加基金議定書(SF議定書)
タンカーによる油汚染事件に関し、船舶所有者による補償及び上述の基金による補償が十分でない場合に、追加的に被害者への補償を行う基金(油受取者の拠出金を原資とする。)の設立を定めたもの。
(Western and Central Pacific Fisheries Commission : WCPFC)
参考抜粋:外務省経済局漁業室(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000438326.pdf)平成31年1月現在
1 目的
中西部太平洋における高度回遊性魚類資源の保存及び持続可能な利用を確保する。
2 設立条約
西部及び中部太平洋における高度回遊性魚類資源の保存及び管理に関する条約
(中西部太平洋まぐろ類条約)
(Convention for the Conservation and Management of Highly Migratory Fish Stocks in the Western and Central Pacific Ocean)
採択:2000年9月5日、発効:2004年6月19日、日本加入:2005年7月8日
3 機能
・ 総漁獲可能量・漁獲努力量の決定や当該資源の長期的持続性を確保するために必要な保存管理措置・勧告を採択すること。
・ 委員会の構成国間の協力・調整を推進すること。
4 条約締約国等(26)
日本、豪州、カナダ、中国、クック諸島、フィジー、フランス、インドネシア、キリバス、 マーシャル、ミクロネシア、ナウル、ニュージーランド、ニウエ、パラオ、パプアニューギニア、フィリピン、サモア、ソロモン、韓国、トンガ、ツバル、米国、バヌアツ、台湾、EU
5 事務局所在地
ポンペイ(ミクロネシア)
6 条約対象魚種
まぐろ類
7 規制・保存措置
・ 漁獲努力量の削減・抑制及び禁漁期間の設定
・ 漁船監視システム、オブザーバー制度
・ 混獲対策
8 条約水域における主たる魚種の我が国漁獲量(単位:t):
年 クロマグロ メバチ キハダ カツオ
2008 17,188 27,060 53,695 300,324
2009 14,029 22,149 54,713 255,935
2010 8,401 21,392 64,300 295,281
2011 13,004 22,181 52,214 239,500
2012 6,100 21,399 45,213 257,626
2013 6,419 17,413 35,895 258,310
2014 9,577 21,522 43,514 227,811
2015 6,360 17,363 48,557 214,554
2016 8,312 18,664 58,112 192,177
2014年以降については、資源回復に向け、クロマグロの小型魚(30kg未満)の漁獲上限を削減したほか、メバチの漁獲枠の設定や集魚装置(FAD)を用いた操業の規制などの保存管理措置が採択されている。
9 条約適用水域
中部及び西部太平洋(概ね西経150度以西)