精神科病院における携帯・スマートフォンの自由化交渉が前進
2023年3月に設立の、精神障害当事者の団体です。
2023年11月に一般社団法人人権精神ネットになりました。
国連・障害者権利委員会「総括所見」の完全実現をもって、精神障害者福祉が実現されることを求めて活動することを、目的としています。
毎月一度、オンラインによる定例会(交流会)をひらいています。
一般社団法人人権精神ネット 代表理事 早坂智之
所在地:〒661-0025兵庫県尼崎市立花 共生舎
郵便振替口座番号 00960-3-335942 口座名「一般社団法人人権精神ネット」
一般社団法人人権精神ネットが日本障害フォーラム(JDF)に加盟(オブザーバー参加)承認されました。
JDFは2004年に山本眞理さんも加わり11団体で設立された「アジア太平洋の十年」及びわがくにの障害者施策を推進するとともに、障害のある人の権利を推進することを目的にした、障害者団体を中心とする団体です。主な事業は、1,国連・障害者の権利条約の推進。2,「アジア太平洋の十年」の推進及び「アジア太平洋障害フォーラム(APDF)に関すること。3,「障害者基本計画」をはじめとするわが国の障害者施策の推進。4,障害者の差別禁止と権利に係る国内法制度の推進、です。構成団体としてはわが国の主だった障害者団体、障害関連団体が加盟しています。
一般社団法人人権精神ネットはわが国の精神障害者を代表する団体の一つとして日本障害フォーラムに加盟承認されたことを機に、国内外の障害者施策の前進、差別の禁止のために全身全霊で取り組みたいと思います。
全国患者の自由を求める会
一般社団法人人権精神ネット
記録日2025年6月30日 記録者:髙見元博
6・26に精神科病院における携帯スマートフォンの使用原則自由化やみちのく記念病院の問題で厚労省交渉を行いました。
精神科病院の多くで携帯スマートフォンの使用が禁じられている問題では厚生労働省・精神・障害保健課長が出席して使用自由化に向けて大きな前進がありました。課長の本音も聞き出せて、この問題での全国調査を考えるとの答弁を引き出しました。また精神科病院に入院中の患者にも携帯スマートフォンの原則自由な使用ができることが望ましいという厚生労働省としての立場も確認できました。
みちのく記念病院の問題を含めて、この交渉を活かして前進を図りたいと思います。
今後ともいろいろとご協力をお願いします。
【厚労省出席者】
〇障害保健福祉部精神・障害保健課長 小林 秀幸
〇障害保健福祉部精神・障害保健課 課長補佐 新平 紗恵子
〇障害保健福祉部精神・障害保健課 課長補佐 設楽 諭史
〇障害保健福祉部精神・障害保健課 課長補佐 野内 友三郎
〇障害保健福祉部精神・障害保健課 権利擁護支援専門官 岡本 秀行
〇障害保健福祉部精神・障害保健課 主査 渡邊 拓実
〇保険局医療課医療指導監査室 医療指導監査官 西濵 雄樹
〇保険局医療課医療指導監査室 医療指導監査官 砂川 泰彦
〇医政局地域医療計画課医療安全推進・医務指導室長 松本 晴樹
〇医政局地域医療計画課医療安全推進・医務指導室 医療監視専門官 桑原 崇史
〇医政局総務課企画法令係 東泉 直宏
① について。
質問:2025年3月31日発出の通知(障精発0331第1号)についての精神科病院における反応について聞いていることはありますか。
私たちの2025年6月12日まとめの独自調査は共有されていると思います。
有効回答の33%の病院で通知を受けて自由化に向けての内部での検討が始まっています。前進があったと思います。
しかし、17%の病院では通知を受けても全面禁止を変えていません。また、25%の病院ではもともとが原則自由ではなく主治医が許可した場合など「ケースバイケース」と部分的な自由しかないのに、「厚労省の通知と齟齬がない」と回答しています。これらの状況は、厚労省の通知と「齟齬がない」ということでよいのでしょうか?課長のお考えを伺います。
回答:3/31通知の周知を図っていき、注視しつつ必要に応じて今後の対応を検討していく。
・12/19の天畠議員の質問に対して福岡厚労大臣の考え方として、精神科病院に入院中の患者も携帯電話等を自由に使用できることが望ましいと答弁した。
・熊倉先生と認識を共通にしている。
・病院の実情を把握していないので齟齬があるかは言えない。ただ厚労省の考え方は可能な限り自由に使用できることが望ましいである。トラブル防止の課題もあるので○〇(聞き取れず)も必要。病院施設の運営をめぐる考えもあると思うのでトラブルを懸念して慎重に運用している医療機関も中にはあるかもしれないが、好事例を周知することによって懸念することはないかと認識が広がっていくことが重要と考えている。
②について。
質問:携帯・スマートフォン自由化施策が患者の人権擁護及び確立、差別の解消や早期の退院促進のためのものであることをご確認いただきたいがいかがか。
もともと、このスマートフォン自由化交渉は神出・滝山の虐待を繰り返さないという目的で始まりました。
最近、滝山病院で起きた事例につき報告し、課長のお考えを伺いたいと思います。
回答:公衆電話の設置に加えて、携帯スマートフォンの普及状況を踏まえ精神科病院における入院患者の携帯スマートフォンに関する取り組み事例を周知するために通知を発出した。入院患者への効果を示している。
問:滝山の事例。患者と出会い、退院希望あり。手紙を出したが本人とは違う筆跡で「受け取り拒否」で返ってきた。携帯スマートフォンがあれば本人と個別のやり取りができて地域移行・退院を促進できる。
回答:公衆電話は使えるのか。
問:公衆電話がナースステーションの近くにあり自由に話せない病院もある。
③について。
質問:国民のほとんどが携帯・スマートフォンを所持している中で、精神科病院に入院中の精神障害者だけが病棟まるごと禁止されている精神科病院が多い現状は差別であると考えるがいかがか
「病棟丸ごとの禁止はダメ」「個別の症状以外は携帯・スマートフォンの使用は自由」という厚労省課長として通達を出すべきであると考えますがいかがか。
回答:病状を踏まえつつ管理者の判断により携帯スマートフォンを活用していただく。まず、3/31通知の周知を図っていき、状況を注視しつつ、今後の対応を検討していく。
・一切の規制なく使用できるという主張か。
問:告示130号の通りである。
・医療機関によって利便性と管理をどちらを優先するかを医療機関によって考えが違ってくるのが現状で、使用を認める機運が高まっていけば変わっていくのかなというところで、通知を出せば変わるかというとそういうものじゃ必ずしもございませんので、医療機関の認識を変革していくアプローチが重要かと考える。
・精神科医にもいろいろな考えの方がいるかもしれないが、時代の変化もあり3/31通知の浸透状況を調べていくのがいいのじゃないかと考えている。
・使用を認めていない病院にはこういう効果がありますというのが通知の目的ですし、一方で課題もありますので両面で見ていく必要がある。効果と課題を踏まえつつより使用を進めていくのかというところが課題かと考えている。
問:全国調査をしてほしい。拒否している病院はなぜかを調べてほしい。
・前回の兵庫の調査は全国どこでも同じだろうと思っている。一方で、今回の通知でどう変わっていくのかというところは関心のあるところ。単独でやるのか、いろんな調査の一環でやっていくのかを含めて考えていきたい。
天畠:通知後の変化について調査をやっていただきたい。
・考えていきたい。
天畠:検討の結果を教えていただきたい。
⑧について。
質問:障発1127第11号 令和5年11月27日「精神科病院における虐待防止対策に係る事務取扱要領について」において「被虐待者本人からの虐待の届出(以下「通報等」という。)について、地域の実情に応じて適切に受付できる体制を整備する必要がある。」「(電話の)他の通報等の手段としては、電話で通報することが困難な患者を考慮し、電子メール、手紙、ビデオ通話等、様々な手段による通報を受け付けるようにすること。」としています。これは、虐待者、抑圧者である病院の施設・設備・パソコンを使うということであれば正常な通報が可能であるとは考えられず、パーソナルな通信手段である携帯・スマートフォンを前提としなければ不当な差別であると考えるがいかがか。また、虐待の内容は深刻ですし、本人の事情もあるので、これらの通報手段が患者に確保されていることは必要かつ重要だと私たちも同じく考えています。従って、病院に対して携帯・スマートフォンの所持・使用の自由化を求めることを厚労省は率先して進めていく責務があると考えますがいかがか。
・患者以外からの通報を受けるための文言である。
問:通報者は誰か。
・患者と患者以外の方。
⑨⑩について。
質問:みちのく記念病院に関しては「地方自治体」のみならず国にも精神科病院における虐待・虐待死の疑いに対する責任があるというべきです。重罪で刑事訴追されたような「悪意」のある犯罪者である管理者によって設置されたような病院は直ちに廃院にされなければならないし、医療法上からそれは国の責任でもあると考えます。国は「注視する」のみならず、「みちのく記念病院」の廃院に向けて具体的な行動をとっていただきたいと考えますがいかがか。
みちのく記念病院の保険医療機関の指定を取り消すべきと考えますがいかがか。取り消さないとすれば、その理由は何ですか。
問:保険医療機関としての適格性は。
・個別事案については答えない。一般論としては、故意に不正があれば保険指定医療機関の指定取り消しもある。
問:過去にカルテの改ざんや無資格医師の診療で保険指定を取り消されたことはあるか。
・カルテの改ざんで不正請求の場合ではあります。
問:動いていただきたい。
・健康保険法の範囲では動く。
⑪について。
質問:他科の重篤な疾患にもかかわらず、他科医院が受け入れないという経験をしてきた精神障害者は多いのですが、そういう場合都合のいい病院としてみちのく記念病院があったのではないかと疑われます。総合病院に他科疾患と精神障害の重複者を受け入れる病棟をもっと積極的に設けるべきだと思うのですがいかがか。
・精神科救急と他科の連携が必要と考えている。令和6年5月開始の検討会で議論いただいている。(にも包括についての検討会のこと)。
問:もっと実態を知っている人を委員に加えてほしい。
問:サプライ側がほとんどで、当事者は家族会を含めても2~3人。諸外国では半々です。2011年の制度改革では55人の体制で半分が当事者でした。
問:人権精神ネットを委員として加えて。
・ご意見として頂戴いただきます。
内閣総理大臣 石破 茂殿
防災担当大臣 坂井 学殿
2025年4月28日
一般社団法人人権精神ネット(代表理事:早坂智之)
連絡先:gen1951@bcc.bai.ne.jp
内閣提出の災害対策基本法等改正案の被災者援護協力団体の登録要件に関する坂井防災大臣の差別発言、内閣府の方針について。
この改正案の差別性について、れいわ新選組木村英子議員に続いて、れいわ新選組の櫛渕万里議員、共産党の堀川あきこ議員が質問しました。
改正案には次のような条項があります。「国及び地方公共団体が行う被災者の援護への協力」として「避難所の運営」「炊き出しその他による食品の給与又は飲料水の供給」「被服、寝具その他生活必需品の給与又は貸与」などの業務を行う登録被災者援護協力団体には「役員のうちに次のいずれかに該当する者のあるもの」は登録できないとし、その該当する者とは「心身の障害により被災者援護協力業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるもの」と極めて差別的に障害者団体を排除する規定ではないかという疑問がありました。とくに、「認知、判断及び意思疎通が適切に行うことができない」障害者を排除するという坂井大臣の発言は差別そのものでした。
これに対する、一般社団法人人権精神ネットの抗議文(4月14日付)に対する内閣府の4月21日付回答は次のようなものでした。
(回答)
被災者援護協力団体は、国、地方公共団体、その他の協力団体等と協力して、被災現場において、厳しい環境に置かれている被災者の支援に当たる必要があることから、一定の登録要件を設けることとしたものです。
ご指摘の、法に定める役員についての要件は、被災者援護協力団体の活動方針を決める者であることから設けるものであり、障害のある方であっても、「必要な認知、判断及び意思疎通が適切に行うことができない者」に該当しなければこの要件には当たらないものと考えています。
被災者援護協力団体への登録にあたっては、登録申請書の提出を求めることとしており、その際に、申請者から欠格要件に該当しない旨を申告いただくことを考えています。
被災地の支援にあたる障害者の方々を排除することは全く考えておらず、心身に障害があることをもって一律に排除されることのないよう十分に配慮するとともに、内閣府令を定める過程において、障害者団体の意見を伺いながら、必要な検討を行ってまいります。
以上。
差別思想に何らの反省がないことに驚きます。差別しながら何も悪いことはしていないのだと主張しているわけです。怒りなしには読めない差別文書です。それに加えて差別発言に対する謝罪・撤回を求めているのに、そのことには一切触れられていません。
この規定は相対的欠格条項です。「能力のある」障害者は活用するが「認知判断および意思疎通を適切に行」えない障害者が役員を務める障害者団体は排除するという規定です。どのような人たちが排除の対象として想定されているのでしょうか。重度精神障害者や脳性まひ者、知的障害者を想定した規定であるのではないかと思われます。
障害者を分断し重度者を社会から排除するのが「相対的欠格条項」です。
私たちは「相対的欠格条項」は障害者を分断するものであること、分断し排除される側にわれわれ精神障害者や脳性まひ者、知的障害者がいるのだという認識を持っています。
そこでお尋ねします。5月15日までに各項目ごとにご回答いただきたい。
記
1,災害対策基本法第三三条の二の第3項の第2号のホは障害者差別なので、削除するほかないと考えるがいかがか。
2,ここで排除の対象となっているのは重度精神障害者や脳性まひ者、知的障害者ではないのか。
3,重度精神障害者、脳性まひ者、知的障害者であって排除される者がいない保証はあるのか。
4,また排除する基準は誰がどのように判定するのか。
5,重度精神障害者や脳性まひ者、知的障害者であって排除される者がいることは差別ではないのか。
6,2024年末の、部落差別に基づく地名を記した図書の発行を禁止しデータ削除を認めた最高裁判決で「人はすべて差別されない権利がある」ということが確定しています。現状の精神障害者差別、脳性まひ者差別、知的障害者差別を解消することは政府としての義務であると考えるが、それらの者の中に排除される者がいることは、最高裁判決との整合性はあるのか。
7,この条項を必要とする社会的に不都合な事実などどういう立法事実があるのか。
8,坂井大臣の差別発言の謝罪・撤回を求めるがいかがか。
以上
精神科病院、スマホ自由が望ましい 厚労省が事例集め全国に通知
4/15(火) 13:00配信
入院患者に携帯電話やスマートフォンの使用を一律に制限する精神科病院がある問題を受け、厚生労働省は3月31日、「基本的には入院患者が可能な限り、携帯電話などを自由に使用できることが望ましい」とする見解を都道府県・指定都市に通知した。一方、一律制限を戒める文言は明記しなかった。
現在でも入院患者が院外と通信することは原則自由で、病院は合理的な理由がある場合に限って患者の電話使用を制限できる。
その規定(厚生大臣告示第130号)は、携帯電話の普及していない1988年に定めたもので、スマホが通信手段に当たるかあいまいだった。
今回の通知には、スマホ使用を可能だとする8病院にヒアリングした結果も添付した。「スマホを使う場合の場所、時間といった条件」「スマホやコード類(充電器)を誰が管理するか」「患者への説明方法」につき、各病院がそれぞれどうしているかを明示した。
スマホによって他の患者を撮影しプライバシーを侵害したり、患者本人の睡眠が悪化したりする問題があるとした一方、人間関係を維持しやすくなり患者の安心感につながるといった効果も並べた。
この問題をめぐっては、精神障害の当事者団体が2024年、独自に調査し、患者のスマホ使用を一律に制限する例が発覚。この団体が同6月、厚労省に全国規模の調査をするよう申し入れ、12月には国会でもこれに関連する質疑があった。
抗議文
2025年4月14日
内閣総理大臣 石破 茂殿
防災担当大臣 坂井 学殿
一般社団法人人権精神ネット
代表理事 早坂 智之
連絡先:gen1951@bcc.bai.ne.jp
謹啓 日々の政策活動に敬意を表します。
私たちは、2024年に一般社団法人化した精神障害者の全国的な当事者団体です。
2025年3月26日の参議院予算委員会におけるれいわ新選組の木村英子議員の災害対策基本法改正案への質疑において、坂井大臣の答弁に看過できない差別的な答弁があったので抗議します。
「この役員についての要件は、被災者援護協力団体の活動方針を決める者であることから設けるものであり、障害者であっても、必要な認知、判断及び意思疎通が適切に行うことができない者に該当しなければ、この要件には当たらないものと考えております。」(議事速報より)木村議員もおっしゃっていましたが、深刻な差別発言です。そもそも、「必要な認知、判断および意思疎通」ができるということを誰が決めるのでしょうか?おおよそ精神障害者であって「認知・意思疎通」に関して差別的な言葉を投げつけられなかったものはいません。坂井大臣は、一度この答弁をして木村議員に批判されているのに、再度同じ答弁をされています。確信犯としか言いようがありません。そもそも、第三三条の二の第3項の第2号のホ(「心身の障害により被災者援護協力業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるもの」)は、障害者を1人の人格を持った者と認めておらず、日本も批准している障害者権利条約にも反するものです。以上のことから、以下、要求します。
4月24日までに真摯な回答を求めます。
謹白
記
1.坂井大臣の差別発言を全障害者に謝罪・撤回すること。
2.災害対策基本法第三三条の二の第3項の第2号のホは障害者差別なので、削除すること。
3.我々を含めたインクルーシブ防災についての話し合いの場を持つこと。
以上
ついに厚生労働省が携帯・スマートフォンについての通知を全国の精神科病院を対象にして発出しました。私たちの闘いの大きな成果として確認したいと思います。とはいえ、通知の内容は「各都道府県・指定都市におかれては、管下の精神科病院に携帯電話等の使用等に関する取組事例等について周知いただくよう」というのに留まり、私たちが求める「精神科病院における携帯・スマートフォンの使用自由化の通達」に比するべくもないものです。これでは精神障害者差別の解消には至りません。私たちには「差別されない法的な権利」があります。私たちは今後も精神障害者差別を許さず精神科病院における携帯・スマートフォンの使用自由化を求めて闘い続けます。
障精発0331 第1号
令和7年3月31 日
各都道府県・指定都市
精神保健福祉主管部(局)長 殿
厚生労働省社会・援護局
障害保健福祉部精神・障害保健課長
(公 印 省 略)
近年の携帯電話やスマートフォン(以下、「携帯電話等」とする。)の普及状況等を踏まえると、基本的には、精神科病院の入院患者が、可能な限り、携帯電話等を自由に使用できることが望ましいと考えられる。一方で、携帯電話等の所持・使用に当たっては、他患者とのトラブル防止等に関する運用上の課題等もみられるところである。
このため、別添資料のとおり、精神科病院における携帯電話等の使用等に関する取組事例等について、聞き取ったところであり、各都道府県・指定都市におかれては、管下の精神科病院に携帯電話等の使用等に関する取組事例等について周知いただくようお願いする。
なお、今般お示しする携帯電話等の取扱いとは別途、従前より、精神科病院に入院中の者の通信等に関する処遇については、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十七条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準」(昭和63 年厚生省告示第130 号)において、電話に関しては医療または保護の上で合理的な理由がある場合であって、かつ、合理的な方法及び範囲における制限に限られるものであることとされており、電話機は、患者が自由に利用できるような場所に設置される必要があり、閉鎖病棟内にも公衆電話等を設置することとされていること等も踏まえ、精神科病院に入院中の患者の適切な処遇に努めるようお願いする。
以上
(別添)
○ 精神科病院における携帯電話やスマートフォンの使用等に関する取組事例等
別添
入院患者に対して携帯電話やスマートフォン(以下、「携帯電話等」とする。)の使用を可能としている8つの精神科病院に対して、運用上のルールや携帯電話等の所持・使用に
よる効果または課題等についてヒアリングを行った。概要は以下の通り。
1.院内での携帯電話等の所持・使用についての運用
院内での携帯電話等の所持・使用に関する取組を開始した経緯や状況は、それぞれの病院によって異なっていたが、なかには、数年前に院長主導で取組を開始した病院や、スタッフ主導で病院全体に働きかけ、院内マニュアル作成等の事前準備を進めた病院もあった。
また、いずれの病院においても、一定の院内ルール(使用の場所・時間帯等)を設けた上で、院内ルールについて患者へ説明し、同意を得て、院内での携帯電話等の所持・使用を可能としていた(詳細は別紙参照)。
【主な院内ルール】
○ 通話を病棟内の一部エリア(個室内や病棟内の電話ボックス付近等)限定としたり、音声を発する使用の際はイヤホン等使用を依頼したりする等、周囲への配慮を院内ルールとして求めている病院が多かった。
○ 院内での撮影行為はほとんどの病院で禁止していた。
○ 周囲への配慮や生活リズムを整えるという観点から、消灯後の使用は控えるよう依頼する病院が多かったが、利用時間の制限を設けていない病院もあった。
○ 携帯電話等の保管については、原則自己管理とする病院が多かった。コード類(充電器)に関しては、原則自己管理だが希死念慮等があればスタッフ管理とする病院が多かったが、原則スタッフ管理とする病院や、持ち込み可能なコード類の長さに一定の基準を設けている病院もあった。
【患者への説明方法】
○ 携帯電話等の取扱いに関する院内ルールを記載した書面(同意書)に基づいて患者や家族に対して説明を行い、同意の場合には署名をもらう病院が多かった。
○ 同意書を用意していない病院でも、入院時のオリエンテーション資料に携帯電話等の取扱いに関する院内ルールが含まれているほか、院内ルールを記載したポスター等を病棟内に掲示し、それらに基づき説明するとしていた。
2.携帯電話等の所持・使用による効果
患者自身が携帯電話等を使用できることにより、入院中でも患者の人間関係や地域との交流を維持しやすくなり、入院への抵抗感の軽減や、患者の安心感の醸成につながると感じる病院が複数あった。また、患者が自分でグループホーム等の関係機関を探したり連絡を取ったりすることができるため、患者自身の希望を反映した地域移行支援をより円滑に行いやすくなると感じる病院が多かった。
さらに、携帯電話等を使用できることで、患者の実生活に近い環境で入院治療を行えるため、携帯電話等を使った地域生活の練習や、具体的な生活支援等へとつなげやすくなると感じる病院が複数あった。携帯電話等の使用に関連するトラブルが生じた場合も、社会生活上の課題を認識する機会となったと捉える病院が多かった。
他にも、携帯電話等の保管に関して、以前はスタッフ管理としていたが現在は原則自己管理としている病院では、物品管理に係る業務を縮小できる等、スタッフ側の業務負担軽減につながっていた。
3.携帯電話等の所持・使用による課題とその対応
他患者等に関する無断撮影・SNS 投稿等、プライバシー権侵害のおそれがあるような患者の行為が課題となることがあり、実際にほぼ全ての病院において、これらの行為はこれまでに生じていた。その上で、ほとんどの病院で、そうした行為をしないよう事前に患者へ説明すること等の対応を講じており、結果として発生頻度は年間数件程度に留まることとなったとする病院が多かった。また、問題行為を確認した後の対応としては、患者に該当データ・投稿を削除してもらう等、患者の状態に合わせて個別の対応をとる病院がほとんどであった。
病状への悪影響が生じる場合(例:夜間の携帯電話等使用で不眠が悪化する、ギャンブル依存症患者が入院中に携帯電話等を使ってギャンブル行為をする、妄想に基づいた架電を行い苦情が入る等)には、携帯電話等を一時預かりとする等の個別対応を行う病院が多かった。
以下、一問一答
1、 上記医療法の趣旨から厚労省自身の具体的な行動としてどのような対応をしていただけますか。
〇(回答) 本件については、青森県等において立入検査等の必要な対応が行われているものと承知しており、厚生労働省としては、引き続き、良質かつ適切な医療を提供できるよう、青森県等とも連携のうえ、まずは状況を注視していきます。
【質問した内容は以下。「医療法第一条の三の条文「国~は国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供されるように努めなければならない」に基づけば国にも医療機関の良質かつ適切な医療提供に関する責任があるといわなければなりません。すなわち「地方自治体」のみならず国にも精神科病院における虐待・虐待死の疑いに対する責任があるというべきです。重罪で刑事訴追されたような「悪意」のある犯罪者である管理者によって設置されたような病院は直ちに廃院にされなければならないし、医療法上からそれは国の責任でもあると考えます。国は「注視する」のみならず、「みちのく記念病院」の廃院に向けて具体的な行動をとっていただきたいと考えます。」】
2、 「みちのく記念病院」は「地域になくてはならない病院だ」と言われていたとのことです。こういう場合、内科疾患との重複疾患や認知症のために他医院が引き受けないケースを積極的に引き受けてきた病院がそういわれることが多いですが、具体的にはどのような疾患の方を引き受けてきたのでしょうか。できるだけ具体的にお教えください。
〇(回答) みちのく記念病院の患者受け入れについては、医療機能情報提供制度において、精神療法、アルコール依存症、重度認知症患者デイ・ケア等の患者に対応可能であると病院から報告されていることは承知しておりますが、実際に具体的にどのような患者を受け入れてきたかについては、厚生労働省としては承知しておりません。
3、 青森県が御省に伝えたことはどのようなことであるのか、青森県が御省に言っていることならば私たちに伝えても支障はないことがあると考えますがいかがか。
4、 または、御省から私たちに青森県の担当部署をご紹介いただくことは何ら支障はないと考えますのでご紹介いただきたいです。
5、 有効な立ち入り検査を全国一斉に実施する必要があるが、今の検査項目とやり方では何度やっても同じこと。有効な検査の項目とやり方を私たちと一緒に考えていく意志を持ってほしいと考えるがいかがか。
〇(回答) また、青森県による立入検査等に関する情報については、適切な事務の執行が困難になるおそれがあること等から、厚生労働省として情報提供することは差し控えさせていただきたいと考えております。なお、青森県の担当部署は
・健康医療福祉部医療薬務課(医療法関係)
・健康医療福祉部障がい福祉課(精神保健福祉法関係)
となります。
なお、医療法に基づく都道府県等による診療所等への立入検査については、
・必要な人員や構造設備等を有し、適正な管理等が行われているかを確認するために行われるものであり、
・都道府県知事等が必要があると認めるときは、診療所等に立ち入り、人員、構造設備や診療録等を検査することができることとされており、
厚生労働省としても、技術的助言として、留意事項等をまとめた「立入検査要綱」等を通知としてお示ししており、引き続き、必要な助言を行っていきたいと考えております。
6、 このような不正と患者虐待を暴き、防止するためにも患者がスマートフォン・携帯を自由に使用できるようにすることは重要だと考えるがいかがか。
〇(回答) 基本的には、精神科病院の入院患者が可能な限り携帯電話やスマートフォンを使用できることが望ましいものと考えております。
なお、精神科病院における携帯電話等の取扱いについては、令和7年3月31日付で「精神科病院における携帯電話やスマートフォンの取扱いについて」(各都道府県・指定都市精神保健福祉主管部(局)長あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課長通知)を発出したところです。
以上
厚生労働大臣 福岡資麿殿
2025年3月24日
一般社団法人人権精神ネット(代表理事:早坂智之)
全国患者の自由を求める会
滝山病院にアクセスする会
兵庫県精神障害者連絡会
障害者の生きる権利を奪い返す会・大田
連絡先:gen1951@bcc.bai.ne.jp
3月14日付け当一般社団法人人権精神ネットの再質問に対する国の回答によれば、厚労省はあくまで「注視する」ことに終始するかのようにも読めます。
しかし、医療法第一条の三の条文「国~は国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供されるように努めなければならない」に基づけば国にも医療機関の良質かつ適切な医療提供に関する責任があるといわなければなりません。すなわち「地方自治体」のみならず国にも精神科病院における虐待・虐待死の疑いに対する責任があるというべきです。重罪で刑事訴追されたような「悪意」のある犯罪者である管理者によって設置されたような病院は直ちに廃院にされなければならないし、医療法上からそれは国の責任でもあると考えます。国は「注視する」のみならず、「みちのく記念病院」の廃院に向けて具体的な行動をとっていただきたいと考えます。
以下質問しますので3月31日までにご回答願います。
記
1、 上記医療法の趣旨から厚労省自身の具体的な行動としてどのような対応をしていただけますか。
2、 「みちのく記念病院」は「地域になくてはならない病院だ」と言われていたとのことです。こういう場合、内科疾患との重複疾患や認知症のために他医院が引き受けないケースを積極的に引き受けてきた病院がそういわれることが多いですが、具体的にはどのような疾患の方を引き受けてきたのでしょうか。できるだけ具体的にお教えください。
3、 青森県が御省に伝えたことはどのようなことであるのか、青森県が御省に言っていることならば私たちに伝えても支障はないことがあると考えますがいかがか。
4、 または、御省から私たちに青森県の担当部署をご紹介いただくことは何ら支障はないと考えますのでご紹介いただきたいです。
5、 有効な立ち入り検査を全国一斉に実施する必要があるが、今の検査項目とやり方では何度やっても同じこと。有効な検査の項目とやり方を私たちと一緒に考えていく意志を持ってほしいと考えるがいかがか。
6、 このような不正と患者虐待を暴き、防止するためにも患者がスマートフォン・携帯を自由に使用できるようにすることは重要だと考えるがいかがか。
以上
25・3・14
(回答)
厚生労働省としては、青森県による立入検査等に関する情報については、適切な事務の執行が困難になるおそれがあること等から、情報提供することは差し控えますが、本件において、青森県や八戸市が実施した立入検査・改善勧告等については、適宜、青森県等から説明されているものと承知しており、厚生労働省としても、引き続き、青森県等とも連携のうえ、状況を注視してまいります。
厚生労働大臣 福岡資麿殿
2025年3月7日
一般社団法人人権精神ネット
代表理事:早坂智之
連絡先:
私たち一般社団法人人権精神ネットは「みちのく記念病院」の廃院を求めます。
2025年3月4日付厚労省回答は、「〇関係自治体と連携して状況をよく注視している〇情報提供を受けております〇関係する自治体と緊密に連携を図りながら、まずは、自治体における対応状況を注視していくところです」と、主体は国にはなく、すべては自治体の責任であるとでも言いたげに聞こえます。
たしかに、国と自治体は上下関係ではないですが、国として「こんな酷い病院は廃院にするべきだ」という強い意志を自治体に対して示すことはできるはずです。
ところが、3月4日付回答はまるで逃げ腰にみえます。私たち精神障害者の怒りを受け止めるべき責任主体は国であるはずです。私たちは国としての明確な「こんな酷い病院は潰さないといけない」という意志を聞いているのです。
私たちの要求は端的です。「国の責任においてみちのく記念病院を潰してほしい」という一点につきます。自治体の動きも必要であるならば国としての強い意志を自治体に示していくべきです。
再度私たちは求めます。「国の責任においてみちのく記念病院を潰してほしい」という一点を求めます。
以下質問しますので、3月14日までにご回答ください。
記
国は、「具体的には、青森県に対し、事実関係や対応状況について確認し、青森県からは、立入検査を実施したことなどについて、情報提供を受けております。」とのことです。そこで以下お尋ねします。
1 厚労省が青森県から情報提供を受けた情報を、人権精神ネットに開示していただきたい。
2 当該情報を国民に開示する予定はあるか?
3 もし開示の予定はないとすれば、その理由は何か?
以上
25/3/4
○厚生労働省としましては、開設許可や立入検査の権限のある関係自治体と連携して状況をよく注視しているところです。
○具体的には、青森県に対し、事実関係や対応状況について確認し、青森県からは、立入検査を実施したことなどについて、情報提供を受けております。
○厚生労働省としても、引き続き、関係する自治体と緊密に連携を図りながら、まずは、自治体における対応状況を注視していくところです。
(本回答における関連部局)
・医政局地域医療計画課
・医政局総務課
・医政局医事課
・障害保健福祉部精神・障害保健課
厚生労働大臣 福岡資麿殿
2025年2月25日
一般社団法人人権精神ネット
代表理事:早坂智之
連絡先:gen1951@bcc.bai.ne.jp
私たち精神障害者はみちのく記念病院の廃院を求めます
私たち精神障害者は、みちのく記念病院の死因偽装の疑いに怒っています。
【報道されている事実関係】
2021年4月~23年3月の間だけで、殺人事件の死因を偽装した死亡診断書を書いたとされるのと同じ高齢の男性医師名義の偽装診断書の疑いのあるものが200人分以上警察に押収されたといいます。その診断書を書いたとされていれる医師は認知症のために会話もできなかったというのですから、病院ぐるみの偽装であった疑いのあることは明らかです。2年間で200人以上の患者の死亡原因を偽装しなければならないくらい不審死が多かったということです。これを虐待死と疑わない理由はありません。2年間で200人以上の不審死の疑いという報道を前にして、私たちは仲間が殺されていくのを黙って見過ごせません。
【報道以外の情報を含めて】
みちのく記念病院は地元の精神障害者の間では「あそこに入ったら生きて出られない」と言われていたと聞きます。内科で医療を拒否された精神障害者を即時受け入れてきたといわれていますが、これはあの滝山病院と同様のことです。内科病院が精神障害者を引き受けることを拒否するという現実があるのならば、総合病院に精神障害者の内科等の重複病者を引き受ける病床を必要数確保するべきです。それをしないで済まされているのは滝山病院やみちのく記念病院のような悪徳病院がはびこっているからです。
【私たちの求めること】
私たち精神障害者は厚労省に英断を求めるものです。
私たちの気持ちとして下記質問します。厚労省に誠意ある回答を求めるものです。
回答期限は、3月4日とします。よろしくお願いいたします。
記
厚生労働省におかれては報道されている「みちのく記念病院」のような悪徳病院はただちに廃院にする決断をしていただきたいと思います。精神保健福祉法は市の担当だとか、医療法は県の担当だとかいう理屈を聞きたいとは思いません。それぞれの担当はあるでしょう。しかし、厚生労働省としてこのような悪徳病院は潰すべきだという決断に立って動いていただきたいのです。国の方針として悪徳病院は潰していくという立場に立っていただきたい。国ならばそのことは可能なはずです。
私たち精神障害者の怒りに対して誠意をもってお答えください。
以上
全国患者の自由を求める会主催の院内集会にはリアル会場に50人以上、zoom中継に23人が参加しました。早坂智之さんの司会のもと、主催者挨拶を鈴木敬冶さん(障害者の生きる権利を奪い返す会・大田)、議員挨拶に木村英子参議院議員、天畠大輔参議院議員、さんのへあや都議会議員が立ちました。議員秘書は、やはた愛さん、倉林明子さん、本村伸子さんの秘書が参加されました。基調報告を佐々木信夫さん、滝山病院にアクセスする会から細江昌憲さん、伊澤雄一さん、兵庫県精神障害者連絡会から髙見元博、大阪精神医療人権センターから有我譲慶さんがそれぞれ報告に立ちました。その後、会場とzoom参加者からの意見と質疑がありました。最後に集会決議文を採択しました。
みな熱心に精神科病院における虐待防止の一里塚であるスマートフォン自由化へ向けて意志を一致して行きました。
寄せられた意見と知恵を糧にして厚生労働省交渉に臨み、スマートフォン自由化を実現して、目標である虐待精神科病院の解体へ向けて歩を進めていきたいと思います。
以下、天畠大輔議員挨拶全文
れいわ新選組の天畠大輔です。人権擁護を重視すべきです。
いま厚労省は、携帯電話やスマートフォンの使用を可能としている8つの精神科病院へ個別でヒアリングをしているそうです。しかしそれは、病院側のみへの聞き取りです。
私は精神障がい当事者と厚労省の交渉の場をセットしてきましたが、携帯電話やスマホの使用可能について当事者から意見を聞いてほしいというと、「だから今こうやって当事者の意見を聞いている」と返答されます。
しかし、そのヒアリングの設計の中に当事者が最初から入っていないことこそが問題です。省庁交渉はあくまで交渉です。管理ではなく人権擁護を重視するなら、当事者や家族への聞き取りも最初から組み込んでおくべきです。
今日の集会が、より広く当事者の声を政府に届ける機会になるよう、私も頑張ってまいります。ともに頑張りましょう。
同日16時から、記者会見をおこないました。参加してくださいました記者のみなさま、どうもありがとうございました。
2023年11月22日に滝山病院事件に関する都議会内集会を開催した仲間で、4月30日に参議院議員会館にて、滝山病院事件関連の厚労省交渉をおこないました。
傍聴は、先着順でした。
https://inochinotoride.org/whatsnew.php
#能登大震災#国の政策#精神障害者の人権
一般社団法人人権精神ネット
【1】厚生労働大臣 武見敬三 宛 申入れ書 2024年1月24日
【2】厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課からの回答
2024年2月7日
【3】厚生労働大臣 武見敬三 宛 能登大震災に際し、厚生労働行政に関する再質問
2024年2月14日
【4】厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課からの再回答
2024年3月5日
これらの交渉は、国会議員の仲介で行われました。
【要望事項①】
1995年阪神淡路、2011年東日本大震災と比して、今どのような状況にあるのか?
<回答>2024/2/7【要望事項①について回答】
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課長が、本件震災後に被災地へ視察に行ったという事実はございません。
【当団体からの質問①に関する再質問】
当団体は、別件で同課長との交渉を約束していたところ、同課長が同震災のための対応に手を取られていて交渉ができないという貴省からの応答をいただき、課長が率先垂範して現地対応をしていると誤解しました。行っていないならばそれを前提に状況報告を求めたい。
【再回答】
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課長は、必要な震災対応を厚生労働省内において発災直後から行っております。
【要望事項②】
「福祉避難所」というもの自体の悲惨さ。「ソマリアの難民キャンプよりひどい」と言われた避難所の現状について
テレビ放送にて、震災後2週目に作られた福祉避難所の映像が放映されましたが、それらの映像によれば悲惨な状況でした。
【要望事項②について回答】
災害時に特別な配慮や支援が必要になる要配慮者に対する福祉避難所の確保は重要であるものと承知しています。内閣府としては発災直後から、仮設トイレ、マスク、暖房器具、消毒液、段ボールベッド等の必要な機材・物資等のプッシュ型で支援しています。また、避難所における健康管理や感染症対策を進めるため、厚生労働省がDMATやDHEAT、保健師等のチームを派遣していると承知しています。
また、内閣府としては、福祉避難所における良好な生活環境を確保するため、
・指定福祉避難所における必要な物資・器材の備蓄を図ること、
・当該施設が指定福祉避難所として機能し、要配慮者が避難生活を送る上で良好な生活環境を確保するための必要な施設整備を行うことを市町村に対して促してきています。
【当団体からの質問②に関する再質問】
週刊新潮2024年2月1日号掲載記事によれば、被災地における当初の避難所の状況は、「ソマリアの難民キャンプよりも酷い」と外国記者に言われているとのことでした。精神障害者は環境に影響されることが多く、環境の悪さから調子を崩し、精神科病院への入院になってしまいかねません。私たちは、精神障害者を希望すれば家族ごと二次避難所(ホテル・旅館等)に早急に避難できる体制を、日ごろから築いておいていただきたいと考えています。
【再回答】
災害派遣精神医療チーム(DPAT)については、1月2日に石川県庁にDPAT調整本部を立ち上げ、令和6年2月20日までに県内外から延べ160隊以上のDPATを派遣し、急性期の精神科医療ニーズへの対応や、避難所巡回等を通じた専門的な心のケア活動を行っております。
また、避難所の生活環境の確保は重要な課題であることから、平時からの備えを充実することも含め、引き続き自治体とも連携しながら取り組むことが重要であると考えます。また、ホテル・旅館等への避難についても、平時から協定等を結ぶよう、内閣府から自治体に対して促していくものと承知しています。
【要望事項③】
その人の障害に合わせた対応が必要である
【要望事項③について回答】
「障害の等級によって機械的に対応」を行っているものではないと承知していますが、引き続き、障害者の状況に照らし、必要な支援が行われるよう対応を進めます。
【当団体からの質問③に関する再質問】
例えば、精神障害2級、3級、あるいは、障害者との認定がなくとも、普段から精神的不調を感じている人に対し、ご本人の同意が原則ですが、日常の精神障害者の状況を把握している保健所等が避難所等と協力体制を築いておく方策を提案したいと考えます。貴省において、自宅避難している場合の救援物資の配給にも配慮していただければと思います。
【再回答】
発災後、避難所等における健康管理等に関しては、保健師等が精神的不調を感じている人等も含めて行い、支援が必要な方について、適切な関係機関等につなげる等の対応を行っています。
また、社会福祉法第107条において、市町村は、地域福祉の推進に関する事項を一体的に定める「市町村地域福祉計画」の策定に努めることとされています。
さらに、自治体宛ての通知により、同計画には、障害者をはじめとする地域の災害時要援護者に係る情報の把握・共有及び安否確認方法等について盛り込むこととしており、具体的には、
・ 市町村の福祉関係部局において、適切かつ漏れのない要援護者情報を日頃から把握しておくための方法や、把握した情報の集約と適切な管理の方法
・ 要援護者の安否確認情報を集約する市町村の連絡担当者を明確にする等、安否確認情報が各市町村の担当部局に円滑に報告されるための役割分担と連絡体制
等について明記することを求めています。
内閣府では被災した自治体に対して通知を発出し、個々の事情によりその地域において在宅等で避難生活を送ることを余儀なくされた避難所外被災者に対しても、必要な物資・情報等の提供を依頼しております。
【要望事項④】
精神障害者・精神的不調を訴える人には優先的にホテル・旅館への避難をさせて欲しい
④避難が必要な精神障害者や精神的な不調を訴える人に対しては、優先的にホテル・旅館等への避難を進めていただきたいのですが、貴省のお考えをお聞かせください。
【要望事項④について回答】
ホテル・旅館等での被災者の受け入れについては、宿泊施設の協力のもと地方公共団体において進められているものと承知しています。
障害者等の、災害時に特別な配慮や支援が必要になる要配慮者に対して、福祉避難所での受け入れを行っており、引き続き、関係省庁や地方公共団体と連携し、福祉避難所を含めた避難先の確保に取り組んでまいります。
【当団体からの質問④に関する再質問】
2024年2月7日時点において、現在、ホテル・旅館等の二次避難所に避難できている人は約5100人しかいませんでした。厚労省は具体的に精神障害者で二次避難所に避難できている人の数と、精神障害者でありながら二次避難所には避難できていない人の数を把握されているでしょうか。少なくとも5000人強が入れるだけの仮設住宅・みなし仮設を確保するのでなければ、全壊・半壊・一部損壊の自宅へ帰宅するか、あるいは悲惨さゆえに二次避難していたのに、元の悲惨な避難所や福祉避難所に帰るしかなくなります。
【再回答】
二次避難した精神障害者の人数や、福祉避難所に避難した精神障害者の人数等については把握しておりません。
なお、厚生労働省においては、高齢化が著しく進んでいることに加え、半島という地理的制約から地域コミュニティの再生に特に大きな課題を有する能登地域6市町については、住宅半壊以上の被害を被った高齢者・障害者世帯や、若者・子育て世帯を含め、資金の借入や返済が容易でないと見込まれる世帯を幅広く対象とし、住宅や家財等の再建支援のために最大300万円を給付する「地域福祉推進支援臨時特別交付金」を創設することとしています。
【要望事項⑤】
精神障害者の個々の特性に応じた対応をしていただきたい
【要望事項⑤について回答】
一般的に、災害等によるストレスや様々な要因により精神的な症状や身体的な不調が出現する場合があるものと承知しています。
メンタルヘルス対策については、都道府県や指定都市に設置されている精神保健福祉センター等において、精神障害者も含めて相談対応を行っており、精神科医療機関等につなぐなどの対応が行われています。
お尋ねのような場合に、症状の悪化や不安に思うことがあれば、「石川こころのケアセンター」等に気軽にご相談頂きたいと考えており、県においても周知に努めているところです。
【当団体からの質問⑤に関する再質問】
私たちは二次避難を求めているのであって、悲惨な状況にある「福祉避難所」があるからいいではないかと言われたようで、言葉を失います。回答では最終的には精神科病院への収容体制があるからいいではないかと言われているように感じます。私たちの考えとは真逆です。
【再回答】
二次避難については、家族と一緒に避難する等、それぞれの避難者の事情に応じて避難先となる宿泊施設とのマッチングを行っているものと承知しております。今後も丁寧なマッチングが行われるよう、県の取組を支援していくことが重要であると考えます。
【要望事項⑥】
被災した精神科病院には、相応の支援をお願いしたい
【要望事項⑥について回答】
被災地にある精神科病院においては、基本的に入院医療機能は失われておらず、現状としては県外避難が必要な状況ではないと認識しております。
【当団体からの質問⑥に関する再質問】
当団体理事が、2024年2月8日、被災地にある単科精神病院、七尾松原病院の事務次長みのり氏に尋ねたところ、以下のような回答を得ました。・地域は断水しているが、受水槽があり2日目から自衛隊による給水を受けている。ただし当初は量に制限あり。・トイレは当初一部制限したが今は制限なし。・風呂は当初1週間から10日間は入れなかったが、今は良い。・グループホームの建物が壊れ、居た人は避難所(福祉避難所ではない)に行っていた。・訪問看護の建物は全壊、車も壊れた。今は別建屋で車は融通して稼働している。
【再回答】
前回の回答は、「県外避難はどのような状態にあるのか」とのご質問に対してお答えしているものです。お尋ねの法人が運営するグループホームの中には、建物等に被害を受け、業務の継続が困難となった事業所があり、当該事業所の利用者は、避難所への避難や、他のグループホームなどへ転居されたと承知しています。なお、避難所へ避難された方に対しては、利用していた事業所の職員が避難所を訪問されるなど、引き続き支援が行われているものと承知しています。
【要望事項⑦】
「私たちぬきに私たちのことを決めるな」
⑦今般、障害者運動・施策においては、「私たちぬきに私たちのことを決めるな」ということは通念となっておりますところ、貴省における被災地に対する長期支援計画作成については、この原則・通念に則り、精神障害者の全国団体である当団体を含めた精神障害当事者の団体からメンバーを入れて検討をしていっていただきたいと考えます。このことに関しての貴省のお考えをお聞かせください。
【要望事項⑦について回答】
厚生労働省においては、これまで、被災自治体や関係団体と連携し、被災地支援に取り組んできたところです。引き続き、幅広く関係者のご意見を伺いながら、必要な支援を行ってまいります。
【当団体からの質問⑦に関する再質問】
「連携している関係団体」に精神障害当事者団体は含まれていますでしょうか。含まれているならばその団体名を開示いただきたいと思います。当団体は、精神障害者の全国的当事者団体としての実体を持つ一般社団法人人権精神ネットを、貴省との連携に加えていただきたいと希望しております。
【再回答】
被災地支援に関しては、引き続き、必要に応じて当事者団体を含め、被災自治体、関係団体と連携をし、ご意見を伺いながら、必要な支援を行うこととしております。
【2024/2/14付け追加申し入れ】
① 処方箋無しで薬を欲しい
1月12日付けの貴省、精神・障害保健課長宛て申し入れを再度お尋ねします。
(1)大震災被災の際には、処方箋無しでもお薬手帳を示せば薬局等で(DPAT等でも)従来のものか同等の薬が出る制度が、阪神淡路大震災の経験から創設されています。一般の精神障害者にはこの制度を知らない人が多いので、制度の周知徹底を図っていただきたい。
【回答】
医療機関が被災し、医療機関の受診や医師等からの処方箋の交付が困難な場合、例外的に薬局が処方箋を持参していない患者に対して処方箋医薬品を交付することを可能としていますが、医師・医療機関が対応可能な場合には処方箋を交付しているほか、事後的に処方箋を交付する場合があります。
このため、ご指摘の取扱いはあくまでも処方箋に基づく薬剤の交付が困難な場合に行われる例外的な対応であり、かつ、現場の医療機関等の状況にも影響されるものです。
したがって、被災して患者の方の手元に必要な医薬品がない場合には、まずは服用している医薬品について医師、薬剤師等の関係者に相談いただけるよう周知することが重要と考えています。
②初動の遅れが指摘される中、DPATは機能したのか
(2) 大震災被災地では薬局自体が被災していて上記のことができない場合が多いと思います。DPAT等の早期活動と被災全域への派遣が必要になります。今回の被災では、初動の遅れが各方面で指摘されていますが、DPATの活動についてはどのような状況であったのか教えてください。
【回答】
災害派遣精神医療チーム(DPAT)については、1月2日に石川県庁にDPAT調整本部を立ち上げ、令和6年2月20日までに県内外から延べ160隊以上のDPATを派遣し、急性期の精神科医療ニーズへの対応や、避難所巡回等を通じた専門的な心のケア活動を行っております。
③「災害関連死」は国による殺人である
(3) 2024年2月7日時点において、能登半島大震災の災害関連死は既に15人出ています。東日本大震災では災害関連死者の内の4人に1人が障害者であったと言われます。とりわけ精神障害者は避難所での生活に適応困難であり、避難所で孤立したり排除されたりして症状を悪化させて、精神科病院への入院となることが阪神淡路大震災時からありました。災害関連死は、国と行政の対応によりその多くが防止できるのではないでしょうか。
【回答】
避難所においては、DWATやDPATといった福祉や心のケアの専門職チームが福祉的な支援を実施しております。この他、在宅の障害者の方については、被災高齢者等把握事業等を活用して、相談支援専門員等が状況把握を行い、適切な支援への繋ぎを行うなど災害関連死の防止に努めております。
厚生労働省としては、災害関連死の防止を含めた被災地支援に関して、引き続き、今後も必要に応じて被災自治体や関係団体と連携をし、当事者を含めた関係者のご意見を幅広く伺いながら、必要な支援を行ってまいります。
【まとめ】
★≪重要≫ホテル・旅館等への避難につき「平時から協定を結ぶよう、内閣府から自治体に対して促していく」とされていることを重視する必要があると思います。内閣府への要求と、各市町村等において「平時から協定を結ぶよう」に要求する必要があります。
★「ソマリアの難民キャンプ以下」という現状への言及がなく、「避難所の生活環境の確保は重要な課題」と言われても空々しい。ほおっておけば次の大震災時においてもほとんど改善はないであろう。
★自主避難所への物資等の配布が2月中に終了している中で、今後も「避難所外被災者」に「必要な物資・情報の提供」が行なわれるとは考えにくい。自力更生を求めるのが国の姿勢なのか。
★驚くべきことに、二次避難者や福祉避難所に避難した精神障害者の人数を国は把握していないとのこと。「特別交付金」がたったの300万円⇒棄民化・廃村化の攻撃ではないのか。
★「私たちぬきに私たちのことを決めるな」について、すでに国会議員の仲介を得てではあるが、私たちと対話をしており、それは評価する。しかし「要望を聞きおく」態度が垣間見える。民主主義の原理は「当事者が決定に参加することだと強調しておきたい。
★処方箋無しで薬がもらえる制度は制定後非常に役に立ってきました。それを「例外」にすることで縮小される扱いはおかしい。結局、医師を頂点とする精神医療体制の護持に歴史逆行するものではないか。
★「災害関連死は国による殺人である」点について、「引き続き、当事者を含めた関係者のご意見を幅広く伺いながら、必要な支援を」していくということは当然であり、まさに、当事者・当事者団体の意見をもっともっと言って制度に反映させたい。
厚生労働大臣 武見敬三殿
2024年2月14日
一般社団法人人権精神ネット
連絡先e-mail;gen1951@bcc.bai.ne.jp
電話:0(髙見)この件に関してのみ
日頃から、精神障害者に人権と福祉のためのご活動たいへん感謝しております。
貴省から、私たちの2024年1月24日付の質問に対して、丁寧なご返答をいただきました。ありがとうございました。それに対する疑問点がありますので、再度質問をさせていただきます。ご多忙な中ではなると思いますが共に、精神障害者の人権と福祉のために、より良い施策が実施できるように、また、私たち一般社団法人人権精神ネットが今後でき得ることを追求していくためにも、ぜひご回答いただけますようにお願いいたします。
なお、1月24日の当方の質問と貴省からのご回答については省かせていただきます。ご了承ください。
記
〈当団体からの質問①に関する再質問〉
貴省からの回答では、厚生労働省社会援護局障害保健福祉部精神・障害保健課長が、本件震災後に被災地へ視察に行ったという事実はないとのことです。当団体は、別件で同課長との交渉を約束していたところ、同課長が同震災のための対応に手を取られていて交渉ができないという貴省からの応答をいただきました。これを私たちが、課長が率先垂範して現地対応をしていると誤解したことから本質問をしたという経緯です。同課長が同震災後に被災地へ行っていないならばそれを前提に状況報告を求めたいと考えています。ご賢察ください。
〈当団体からの質問②に関する再質問〉
東京都他各地のホームページによれば、各地から派遣されたDPATが動いているとの情報もあるところですが、その情況はいかなるものでしょうか。情報提供くだされば幸いです。
・週刊新潮の2024年2月1日号掲載記事によれば、被災地における当初の避難所の状況は、「ソマリアの難民キャンプよりも酷い」と外国記者に言われているとのことでした。能登大震災避難所の状況は地上波テレビでも放映されましたが、震災から2週目の福祉避難所の状況もひどいものでした。精神障害者は環境に影響されることが多く、環境の悪さから調子を崩し、精神科病院への入院になってしまいかねません。このような精神障害者の状況に対して、貴省におかれては敏感に対応していただきたいところです。また、「プッシュ型支援」というものも、全く不十分に感じられますので、体制を抜本的に作り替えるべきと考えますが、貴省のご見解を賜りたいと思います。
私たちはこのような現状の改善のために、精神障害者を、希望すれば家族ごと二次避難所に早急に避難できる体制を、日ごろから築いておいていただきたいと考えています。貴省のお考えをお伺いします。
〈当団体からの質問③に関する再質問〉
例えば、精神障害2級、3級、あるいは、障害者との認定がなくとも、普段から精神的不調を感じている人に対し、ご本人の同意が原則ですが、日常の精神障害者の状況を把握している保健所等が避難所等と協力体制を築いておく方策を提案したいと考えますが、貴省のご見解はいかがなものでしょうか。ご意見をいただければ幸いです。また、貴省において、自宅避難している場合の救援物資の配給にも配慮していただければと思います。なぜならば、今回の能登大震災に際して、避難所の悲惨な状況をあらかじめ知っていたり、一度は避難所に行ってその状況ゆえに留まることを諦めたりして自宅避難をしていたり、今回の能登大震災に限らず、将来の震災のことを考えていて自宅避難しかありえないと考えている精神障害者は実際に相当数に上っていると思われるからです。考慮していただけるか、ご回答願います。
〈当団体からの質問④に関する再質問〉
ユーチューブチャンネル「アークタイムス」によれば、2024年2月7日時点において、現在、ホテル・旅館等の二次避難所に避難できている人は約5100人しかいませんでした。1万人以上が劣悪な避難所にいたことになります。しかも、地上波テレビの報道によれば、避難先のホテル等では弁当も出ないとか、弁当代が中抜きされているとかも聞いております。当団体は、一般論ではなくて、具体的に被災精神障害者が救済されているかどうかの具体的数値をご教示いただきたいと考えています。ご賢察ください。精神障害者で二次避難所に避難できている人の数と、精神障害者でありながら二次避難所には避難できていない人の数を把握されているでしょうか。もし把握されていたらご教示いただけないでしょうか。
また、当団体としては、福祉避難所は全く不十分と考えますが、福祉避難所に避難されている精神障害者の数は把握されているでしょうか。把握されていたらどのような状況であるのか、ご教示いただければ幸いです。
また、地上波テレビの報道によれば、5000人強が避難しているとされているホテル・旅館等も地元県知事の意向として、北陸新幹線が開通する時期には出ていかないといけないと言われていると聞きます。(地元の旅館業組合がこれに反対の声を上げているとの報道もありますが。)これは自治体の問題と言えばその通りですが、出ていかないといけないというのであれば、少なくとも5000人強が入れるだけの仮設住宅・みなし仮設を確保するのでなければ、半壊・一部損壊の自宅へ帰宅するか、あるいは悲惨さゆえに二次避難していたのに、元の悲惨な避難所や福祉避難所に帰れというのでしょうか。貴省としてのお考えをお伺いします。
・各種のテレビ報道で、自宅が壊れた人に対する手当が全く不十分であると指摘されています。国の施策として、被災者が壊れたままの自宅や路上に放り出されることがないように、充分な予算措置を取っていただきたいと思います。貴省に置かれて可能なことはないのかお尋ねします。
・被災精神障害者に関しても家族と共に過ごせること、あるいは、住み慣れた自宅を再建して戻ることが一番いいことは言うまでもありません。それらのことが可能になるように、仮に傾斜的予算配分になるとしても、充分な手当てをお願いしたいと考えます。貴省のお考えをお尋ねします。
〈当団体からの質問⑤に関する再質問〉
福祉避難所を充実するとのご回答かと思います。私たちは二次避難を求めているのであって、悲惨な状況にある「福祉避難所」があるからいいではないかと言われたように感じており、言葉を失います。私たちは二次避難所に家族ごと避難できるように措置をしていただきたいと言っているのです。その点についてどういうお考えなのか、ご回答いただきたいと思います。
貴省からのご回答を読ませていただきますと、最終的には精神科病院への収容体制があるからいいではないかと言われているように感じます。これは私たちの考えとは真逆のことです。私たちは、悲惨な避難所や、家族とは同行できないような福祉避難所であれば、症状の悪化につながり、精神科病院への収容に至る可能性が高いから、それを避けるために、二次避難所に家族で避難させていただきたいと質問したのです。その趣旨に沿ってご回答いただければ幸いです。
〈当団体からの質問⑥に関する再質問〉
当団体幹部が、2024年2月8日、被災地にある単科精神病院、七尾松原病院の事務次長みのり氏に尋ねたところ、以下のような回答を得ました。
・大震災時に、拘束、保護室にいた人はいない。
・地域が停電しなかったので停電はなし。
・地域は断水しているが、受水槽があり2日目から自衛隊による給水を受けている。ただし当初は量に制限あり。
・トイレは当初一部制限したが今は制限なし。
・風呂は当初1週間から10日間は入れなかったが、今は良い。
・(建物被害の様子はホームページに出ているが)、段差ができたりエレベーターが壊れたりした。エレベーターは、今は仮復旧している。
・震災後の移送や転院はなかった。
・グループホームの建物が壊れ、居た人は避難所(福祉避難所ではない)に行っていた。
・訪問看護の建物は全壊、車も壊れた。今は別建屋で車は融通して稼働している。
以上のことでした。
貴省からのご回答では被災地の精神科病院は機能しているから心配ないというご回答のように読めますが、同病院は被災してかなりの被害が出ています。その中で自力で、また自衛隊の協力を得てできることはしているが、自力ではできないことがまだまだあるから援助を求めている状況です。倒壊したグループホームの精神障害者の行方も気になるところです。
貴省のご回答とは、だいぶん状況が違うように思えるのですがご見解を明らかにしていただきたいと思います。また、グループホームにいた精神障害者がその後どういう状況か、ご存じでしたらご教示ください。
〈当団体からの質問⑦に関する再質問〉
「連携している関係団体」に精神障害当事者団体は含まれていますでしょうか。含まれているならばその団体名を開示いただきたいと思います。当団体は、精神障害者の全国的当事者団体としての実体を持つ一般社団法人人権精神ネットを、貴省との連携に加えていただきたいと希望しております。当事者抜きに精神障害者に関する諸決定がなされることは、民主主義の原則に反すると考えますが、貴省のお考えをお聞かせください。
〈その他、当団体からの要望〉
引き続き私たち精神障害者及び当団体の声を聴き、具体的にこたえていただきたいので、よろしくお願いいたします。
〈当団体からの追加申し入れ〉
1月24日付けの当団体からの申し入れには含んでいませんでしたが、1月12日付けの貴省、精神・障害保健課長宛て申し入れでお願いしていたことを再度お尋ねします。
(1) 大震災被災の際には、処方箋無しでもお薬手帳を示せば薬局等で(たぶんDPAT等でも)従来のものか同等の薬が出る制度が、阪神淡路大震災の経験から創設されています。一般の精神障害者にはこの制度を知らない人が多いであろうと推察されます。この制度の周知徹底を図っていただきたい。またこの制度が精神保健相談員の基礎知識として普及するように制度設計をしていただきたいと考えます。
(2) 大震災被災地では薬局自体が被災していて上記のことができない場合が多いと思います。今回の回答には含まれていませんがDPATの早期活動と被災全域への派遣が必要になります。今回の被災では、初動の遅れが各方面で指摘されていますが、DPATの活動についてはどのような状況であったのか教えてください。
(3) 2024年2月7日時点において、能登半島大震災の災害関連死は既に15人出ています。(サンテレビ報道による。)東日本大震災では災害関連死者の内の4人に1人が障害者であったと言われます。とりわけ精神障害者は避難所での生活に適応困難であり、避難所で孤立したり排除されたりして症状を悪化させることが阪神淡路大震災時からありました。災害関連死は、国と行政の対応によりその多くが防止できるのではないでしょうか。救える命が失われないように、国、行政、医療関係者、精神障害当事者団体の協力関係を構築することがどうしても必要だと考えています。このような協力関係構築に関しての貴省のお考えをお聞かせください。
なお、ご多忙の中だと思いますが、回答は2月29日までに、連絡先e-mailアドレスまでお送りください。
よろしくお願いいたします。
以上
2024/2/7
一般社団法人人権精神ネット ご担当者 様
突然のメール送付にて失礼します。
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課の●と申します。
当省大臣宛の申入書に係る御回答を以下のとおりお送りいたします。
なお、当省でお答えが難しい内容については、他省庁から回答をいただき、まとめて送付しておりますことを申し添えます。
<御回答>
【要望事項①について】
(答)
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課長が、本件震災後に被災地へ視察に行ったという事実はございません。
【要望事項②について】
(答)
災害時に特別な配慮や支援が必要になる要配慮者に対する福祉避難所の確保は重要であるものと承知しています。
内閣府としては発災直後から、仮設トイレ、マスク、暖房器具、消毒液、段ボールベッド等の必要な機材・物資等のプッシュ型で支援しています。また、避難所における健康管理や感染症対策を進めるため、厚生労働省がDMATやDHEAT、保健師等のチームを派遣していると承知しています。
また、内閣府としては、福祉避難所における良好な生活環境を確保するため、
・指定福祉避難所における必要な物資・器材の備蓄を図ること、
・当該施設が指定福祉避難所として機能し、要配慮者が避難生活を送る上で良好な生活環境を確保するための必要な施設整備を行うこと
を市町村に対して促してきています。
引き続き、関係省庁や地方公共団体と連携し、福祉避難所の生活環境の確保に取り組んでまいります。
【要望事項③について】
(答)
「障害の等級によって機械的に対応」を行っているものではないと承知していますが、引き続き、障害者の状況に照らし、必要な支援が行われるよう対応を進めます。
【要望事項④について】
(答)
ホテル・旅館等での被災者の受け入れについては、宿泊施設の協力のもと地方公共団体において進められているものと承知しています。
障害者等の、災害時に特別な配慮や支援が必要になる要配慮者に対して、福祉避難所での受け入れを行っており、引き続き、関係省庁や地方公共団体と連携し、福祉避難所を含めた避難先の確保に取り組んでまいります。
【要望事項⑤について】
(答)
一般的に、災害等によるストレスや様々な要因により精神的な症状や身体的な不調が出現する場合があるものと承知しています。
メンタルヘルス対策については、都道府県や指定都市に設置されている精神保健福祉センター等において、精神障害者も含めて相談対応を行っており、精神科医療機関等につなぐなどの対応が行われています。
お尋ねのような場合に、症状の悪化や不安に思うことがあれば、「石川こころのケアセンター」等に気軽にご相談頂きたいと考えており、県においても周知に努めているところです。
【要望事項⑥について】
(答)
被災地にある精神科病院においては、基本的に入院医療機能は失われておらず、現状としては県外避難が必要な状況ではないと認識しております。
【要望事項⑦について】
(答)
厚生労働省においては、これまで、被災自治体や関係団体と連携し、被災地支援に取り組んできたところです。
引き続き、幅広く関係者のご意見を伺いながら、必要な支援を行ってまいります。
厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部
精神・障害保健課
厚生労働大臣 武見敬三 殿
申 入 書
2024年1月24日
一般社団法人人権精神ネット
連絡先:〒661-0025兵庫県尼崎市立花町4-5-1-303
Eメール:gen1951@bcc.bai.ne.jp
TEL 090-3054-0947(高見)
(本件限定の電話です。)
貴省におかれてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、本年(2024年)1月1日における能登半島地震では、その被害は甚大であり、いまだ復旧の目途も立っておりませんところ、被災者の方々のことが心配され、貴省におかれても被災地救援のために多忙を極めておられることと推察いたします。
当団体は、2023年に設立された全国規模の精神障害者当事者団体「一般社団法人人権精神ネット」と申します。当団体は、障害者権利条約の保障する各種人権の実現及び国連障害者権利委員会による勧告の実現並びに精神障害者の相互扶助と交流等を目的として活動しております。貴省におかれましては、どうか今後とも当団体のことをお見知りおきくださるようお願いいたします。
当団体におきましては、上記能登半島地震の被災者の方々及び現地の精神障害者の方々のために何ができるかを検討し、また、神戸市在住の当団体協力医から添付別紙のような見解をヒアリングしており、それらを基づいて以下に我々から貴省への要望事項をまとめました。ご一読のうえお返事、情報提供いただければ幸いです。
どうかよろしくお願いいたします。
当団体は、貴省に対し、以下の事項を要望いたします。
【要望事項】
① 貴省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課の小林秀幸課長が本件震災後、被災地に視察に入ったと伺っておりますところ、例えば、1995年における阪神淡路大震災の経験、2011年東日本大震災と照らし合わせて、今どのような状況であるのかを、情報提供いただきたい。
② テレビ放送にて、本件震災後2週目に作られた福祉避難所の映像が放映されましたが、それらの映像によればその避難所には、狭く、腰くらいの高さの遮蔽物しかなく、立っていれば隣のベッドが見えるという悲惨な状況でした。
ぜひ、必要かつ適切な資材及び環境を早急に提供していただきたい。またそのような態勢が早急に構築できるように、備蓄をしておくことが必要なのではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
③ 障害の等級によって機械的に対応を決めるのではなく、困難な状況に応じて救済対応を取っていただきたい。
④ 避難が必要な精神障害者や精神的な不調を訴える人に対しては、優先的にホテル・旅館等への避難を進めていただきたいのですが、貴省のお考えをお聞かせください。
⑤ 精神障害者の中には家族と一緒にいないと症状が悪化すると訴える人もいます。そのような場合にはどのように対応すべきか、貴省のお考えをお聞かせください。
⑥ 被災地現地にある精神科病院入院者の県外避難はどのような状況にあるのか、情報提供いただきたい。
⑦ 今般、障害者運動・施策においては、「私たちぬきに私たちのことを決めるな」ということは通念となっておりますところ、貴省における被災地に対する長期支援計画作成については、この原則・通念に則り、精神障害者の全国団体である当団体を含めた精神障害当事者の団体からメンバーを入れて検討をしていっていただきたいと考えます。このことに関しての貴省のお考えをお聞かせください。
以上のご質問・要望に関し、誠に勝手ではございますが、2024年2月7日までに、メールアドレス gen1951@bcc.bai.ne.jp までお返事を頂ければ幸いです。どうかよろしくお願いいたします。
草々
【添付別紙 協力医の見解(阪神淡路大震災等を医療チームとして経験された)】
精神的な不安をかかえる人の震災へのリアクションと障がいの等級は当然別物と思います。障がいの等級によって機械的に対応を取るのでなく、直面している困難に的確に応じて、広く避難、支援などの救済対応を取るように、行政に訴えておくことが被災地の外にいる私たちに出来ることと思います。
さらに精神的な不安が高まっている人にとって望ましい避難所環境の条件(人目を避けることが出来る、医療チームと話しが出来る、必要な薬を受け取ることが出来るなど)への配慮を行政に念押しして良いと思います。
被災の現地では、行政の人間よりは、DMATなどの災害時の医療チームが関わって、被災者の状態を判断して対応していくことになります。
神戸の時の体験では、元々不安が高い人は数日から1週間で反応を起こしていて、避難所で浮いてしまうため、入院誘導になっていました。石川ではどうだったのでしょう。神戸では1週間からあと、メンタルの影響が出てくる人が増えましたが、不安、不眠の影響で出ていたと思います。
一般に2週間を越えると、それが心身に影響し始めます。受診歴があって、薬を既に持っている人は、そのお薬の確保の問題になります。精神科支援チームの役割は、必要なのにお薬がない人に取りあえずの薬を出すことと、面談の場を持つことで御本人の状態を確認して、次のステップに移るまでの繋ぎをすることでした。
2週間目を越えたあたりから3ヶ月ぐらいまでが、支援チームの役割で、チームが入れ替わりながら対応を取ります。その対応期間は、避難所生活の期間に対応していると思います。避難所には支援チームが入って対応するので、行政は支援チームの要請に応じて対応することになります。
福祉避難所という話がありますが、一般的には十分ではなく、障がいに応じた対応はまだ困難なはずです。特に、3週間目までは、運営が安定しておらず、対応の課題が噴出している状況と推定します。ここは、いつもこれからの課題ということになります。肢体障がい、視覚障がいへの対応があれば良い方でしょうか。
神戸市でもそのレベルで、個別の障がいへの対応の検討は進んでいません。ただ、もちろん、行政の役割は初期避難から後が大事で、2次避難所、福祉避難所、あるいは、仮設住宅に移ったあとのフォローにあります。
それは数年に渡るので、今の時点から、数年に渡るフォローを視野に入れて支援計画を作るように強く言っておく方が良いと思います。
能登の人口を考えると、精神科の問題を抱えている人や家族は、地域のサイズから保健師さんが普段から把握していると思います。気になる人には、災害発生直後から無理してもかかわりを取ろうと動いていると思います。ただ、担当の保健師さんが被災して動けない事態が発生しておれば深刻で、誰かが代わりに訪問して、安否確認していないといけません。今の時期、様々な事情で、そのような人や家族が取り残されてしまっていないか、気になるところです。
神戸の災害では目につかず、熊本で気付かされたことです。熊本の時に、集団の中で落ち着いた行動が取れないため、被災しているのにもかかわらず、避難所に身を寄せることができない家族がいました。知的障がい、発達障がい圏の我が子を世話している高齢の親たちの姿でした。統合失調圏の子供であったかも知れません。そのような避難所に身を寄せるのをはばかる人たちがいた記憶があります。能登ではどうなのでしょう。支援の外になっていないか気になるところです。そのような人たちもいる前提で、障がい者支援の計画を厚労省がプランを立てていることを願います。
【以上 協力医の見解終わり】
厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 精神・障害保健課 課長殿
2024年1月12日
一般社団法人人権精神ネット
連絡先:〒661-0025兵庫県尼崎市立花町4-5-1-303
Eメール:gen1951@bcc.bai.ne.jp
この件についての電話:090-3054-0947(ファクシミリは無し)
能登半島大震災に際して、火急の要請として以下のことを求めます。
① 被災地の精神障害者の被災当地からの避難と、被災地以外の都府県のホテル・旅館等への移動を早急に進めること。報道を見ていると未だに「福祉避難所」におらされている人たちが多くいるようであり、しかも、そこに精神障害者が避難できているのかどうかさえ分からない状況であること。また福祉避難所に、一級精神障害者以外であっても、避難を希望する精神障害者が避難できているかどうかは全く分からない状況である。一般の避難所はもちろんこと、福祉避難所であっても日数が経てば経つほど、精神障害者が不安と慣れない避難生活、避難所での症状からくる孤立化などから症状が悪化していくことは容易に想像しえます。
② その際、障害等級が一級の人以外に、二級三級であっても、あるいは級外であっても、本人が県外避難をしたくないと言い、それにもっともな理由がある場合以外は、被災当地以外のホテル・旅館等への移動を早急に進めること。
③ 精神科医師への受診が難しくとも、「お薬手帳」をもって必要な薬が出る制度が稼働していると思いますが、そうだとしても、薬局自体が被災して必要な薬を入手できなかったり、日数が経てば経つほど、薬局自体の備蓄がなくなり、必要な薬が入手できない場合が想定されます。DPAT等が被災地での救護活動に入りつつあるようですが、既に避難所から医療保護入院患者や措置入院患者が出ていると伺っており、このような被災当事者の状態悪化に伴う入院患者が増える可能性が高まっております。食料や水が生きていく上で不可欠なことと同様に、必要な薬を入手することは、精神障害者が生きていく上で不可欠なことから、精神病薬を入手できる措置を早急にとることを求めます。また、この制度を知らない精神障害者も多いことから、周知を徹底することを各保健所等を通すなどして、アナウンスを進めていただきたいと思います。
④ 精神科病院等にいて震災にあった人もいるのではないかと思われます。そのようなケースがある場合も、県外避難を進めていただきたいと思います。
⑤ 上記に必要な人員確保は、国が責任をもって進めていただきたいと思います。その際に「ピア」の人員が必要な際は、私たち「一般社団法人人権精神ネット」が協力することにやぶさかではありません。この際は、国も私たち精神障害者も、被災地の精神障害者の救援をしようと思っていることに違いはないと思います。協力し合って、よりよい医療と福祉が行きわたるようにしていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
以上
精神障害のある人の尊厳を確立していくための精神保健福祉法改正案(短期工程)の提言
2024年(令和6年)2月16日 日本弁護士連合会
下記リンクからご覧ください。
現地で14時30分から開始。
連絡先 こらーるたいとう加藤さん 03-5829-3651
上のすみに、新しいタブで開く、というボタンがあります。クリックすると、当該ページにとびます。
◎6月19日13:00より、合同記者会見をひらきました。
会見趣旨
1.新団体「人権精神ネット」設立宣言
2. 「精神保健福祉法第37条1項にかかわる大臣告示(厚生省告示130号)」の改悪に反対の意見表明
出席団体
杉並家族会・地域でくらすための東京ネットワーク・池原毅和弁護士
・NPO法人全国精神障害者地域生活支援協議会【あみ】・人権精神ネット
灯す人 No.4
2024年2月
編集人:人権精神ネット
事務局:〒204-0023東京都清瀬市 盛田
所在地:〒661-0025兵庫県尼崎市立花 共生舎
ニュース郵送の財政的負担を減らすためにニュースをe-mailで受け
取ってもいいよという方はご連絡ください
e-mail; gen1951@bcc.bai.ne.jp
会費やご寄付は、こちらにお願いします。
郵便振替口座 番号 00960-3-335942
口座名「一般社団法人人権精神ネット」
☆ご購読のお申し込みは、メールでお願いします。
※雑誌「賃金と社会保障」2024年5月上旬号に、人権精神ネットのメンバーが寄稿しております。みなさま、ぜひご覧くださいませ。
※第3回ちいさな映画会
「ドラマ 車輪の一歩」
日時 6月26日(水)18時30分– 20時30分
場所 高円寺障害者交流館 集会室1・2
「高円寺障害者交流館」
東京都杉並区高円寺南2-24-18 ★JR中央線高円寺駅南口より徒歩10分 ★地下鉄丸の内線新高円寺駅2番出口より徒歩6分 ★京王バス[中86]ご利用時は、バス停「福祉事務所」で下車
入場無料 申し込み不要 どなたでもどうぞ 出入り自由
※毎週、言いっぱなし聞きっぱなしの、ピアカンやってます。ご連絡ください。
おたすけclubぴあかん・加藤(栃木県宇都宮市)
ぴあかんホットライン:080-3547-8437
★「今後の予定」7月26日 10:00~20:00 うつ病友の会の集い 宇都宮市総合福祉センター和室 (あの事件から8年たちました)
第4回「ちいさな映画会」を、この集いの中で、やらせていただきます!みなさん、遊びに来てね!
9月23日 (月・振替休日)10:00~20:00 うつ病友の会市民フォーラム2024 宇都宮市総合福祉センター大会議室
2023大フォーラム 10月28日(土)
精神障害者関連の発言の時間として、「人権精神ネットコーナー」20分いただきました。コーナーの司会は末吉さん。
沖縄県の兼浜さん(はぴわんねくすと)、杏林大学教授長谷川利夫さん、ひょうせいれん岩崎さん、代表早坂さん の発言
大好評「げんの部屋」です。随時更新中。みなさん、チャンネル登録をよろしくおねがいします。(2024年5月)
「精神保健福祉法第37条1項にかかわる大臣告示(厚生省告示130号)の改正に反対する声明
2023年5月29日
『人権精神ネット』(精神障害者の全国的当事者団体)
私たちは、2023年春、精神障害者有志によって立ち上げられた、精神障害者による、精神障害者の人権のための任意団体です。名称は、「人権精神ネット」といいます。
私たち精神障害者は、自らの屈辱の歴史に終止符を打つ時が来たと信じます。私たちは拘束具で括りつけられ、鉄の保護室に隔離され、鍵をかけられて幽閉されてきたが、私たちはその屈辱に甘んじていたわけではありません。
私たちは、長期入院者を直ちに解放すること、強制入院・強制医療の廃止と精神保健福祉法・医療観察法の廃止を高らかに謳う『国連障害者権利委員会総括所見』という強力な武器を得ました。
すべての同胞よ!私たちの戦列に加わり、私たちを排除してきた、精神病院及びそれらを支持する欺瞞的地域社会を解体する鉄槌を打ち下ろそうではありませんか。私たちがめざすものは熱き人間の世です。人間に光あれ!人間に熱あれ!すべての精神障害者よ、人間であれ!
私たちはまったく新たな精神障害者の全国当事者団体『人権精神ネット』を創設しました。私たちの会は、支配従属関係、上下関係を作らず、民主主義が横溢する会をめざします。
重大論点ですが、今まさに現行の「精神保健福祉法律第三十七条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準(昭和六十三年四月八日)(厚生省告示第130号)」(これを「告示130号」と言います。)では、身体的拘束について、「基本的考え方」として、非代替性、一時性が示され、更に、「身体的拘束は、当該患者の生命を保護すること及び重大な身体損傷を防ぐことに重点を置いた行動の制限であ」るとされています。
そして対象となる患者に関する事項として、
「ア.自殺企図又は自傷行為が著しく切迫している場合、イ.多動又は不穏が顕著である場合、ウ.ア又はイのほか精神障害のために、そのまま放置すれば患者の生命にまで危険が及ぶおそれがある場合」とされています。
このような身体拘束は「国連障害者権利委員会総括所見」において、廃止すべきものとされている不当な人権侵害です。身体拘束は、静脈血栓症に止まらない心臓血管系への悪影響があり、生命危険性があります。私たち精神障害者や障害者、家族及びその支援者は、このような精神病院における身体拘束はただちに廃止されるべきと考えています。
しかるにこのたび政府・厚生労働省は、告示130号の改悪を行なおうとしています。
昨年は、現行告示130号には無かった「治療が困難」という、精神保健指定医が独断で判断する概念の導入によって、「誰をどう拘束するかは医者の自由だ」と宣言しようとしていました。
また、厚労省の委託を受けた野村総研の調査報告書においては、切迫性、非代替性、一時性の要件を謳うなどと言っておきながら、その内容を見ると、身体危機・生命危機の「おそれ」の段階で拘束できるとか、「必要な期間」拘束できるとか、切迫性や一時性の文言を無効化し、内実は医療裁量を拡充するものとなっており、更には「身体合併症」の場合にも拘束ができるとする改変を加えようとしています。
我々は、このような内容の告示130号の改悪に断固反対します。そして、このような人権と人命にかかわる重大な問題は、国会において民主的に討論すべきものです。 以上
◎文章画面の上のすみに、ポップアウトというボタンがあります。そこをクリックすると、大きな文字で読むことができます。
◎会員の身体拘束体験文は、ニュース「灯す人」に、順次掲載いたします。
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