私たちは、植物の光合成反応において、光エネルギ-の吸収、電子伝達、水分解・酸素発生反応を触媒している光化学系I、光化学系II 膜タンパク質複合体やそれらが光捕集アンテナタンパク質と形成する超分子複合体の構造と機能について研究しています。そのうち、光化学系IIは光エネルギーを吸収し、水分解・酸素発生反応を触媒している複合体で、シアノバクテリアでは、光化学系II複合体は16種の膜貫通タンパク質と3種の膜表在性タンパク質によって構成され、総分子量350 kDaの超分子複合体です。私たちは日本の温泉由来の好熱性シアノバクテリア、Thermosynechococcus vulcanusから光化学系II複合体を単離精製し、その三次元結晶を作成し、その結晶構造を、SPring-8の放射光X線を利用して1.9 Åにて解明しました。
また、フェムト秒のX線自由電子レーザーXFELを利用して、閃光照射により形成される各中間状態の光化学系II の構造を解析し、水分解・酸素発生反応の詳細な機構を解析しています。さらに各種光化学系IIの変異株から光化学系II複合体を単離精製し、X線結晶構造解析、あるいはクライオ電子顕微鏡を用いた構造解析により、それらの構造を解明し、光化学系II における各種タンパク質サブユニットやアミノ酸残基の役割を解析しています。
光化学系I、光化学系II ともにその外側に多くのアンテナ色素タンパク質が囲んで、超分子複合体を形成し、働いています。これらの超分子複合体における光エネルギーの吸収、アンテナタンパク質から反応中心コアへのエネルギー伝達、等の機構を解明するため、私たちは主にクライオ電子顕微鏡を用いて、シアノバクテリアから各種藻類、高等植物までの様々な光合成生物から光化学系I+アンテナ超複合体、光化学系II +アンテナ超複合体の構造を解析し、各タンパク質サブユニットの配置やエネルギー伝達の機構解明に取り組んでいます。
当研究室で使用し、修得できる主な実験技術は、各種遠心機とカラムクロマトグラフィーを用いたタンパク質の分離・精製法、タンパク質の結晶化法、結晶のX線回折法、クライオ電子顕微鏡用のグリッド作成・クライオ電子顕微鏡によるデータ収集・構造解析、酸素電極や分光光度計による光合成複合体の各種活性測定法、各種電気泳動によるタンパク質の純度検定法、などである。また、国際構造生物学研究センターのクライオ電子顕微鏡Titan Krios G4およびクライオFIB/SEM装置Arctisの管理・運営を行なっています。
クライオ電子顕微鏡ならびにクライオプラズマFIB-SEM装置
Thermo Scientific Titan Krios G4 Thermo Scientific Arctis
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