日程概要・プログラム


◎日程概要

2024(令和6)年7月14日(日)

8:15~9:00     受付 ※当日は大変混雑が予想されるため, お早めの受付をお願いします。

9:00~ 9:20 開会行事

9:30~10:30  課題研究発表

10:40~12:10 ワークショップ(7教室)①10:40~11:20  ②11:30~12:10 (各教室)

12:10〜13:30 昼食・休憩

12:30~13:10 賛助会員プレゼン

13:30~15:00 基調講演

15:10~17:00 自由研究発表 1 ①15:10~15:40  ②15:50~16:20  ③16:30~17:00 (各教室) 

18:30~19:30 懇親会(大学生協:学生食堂「きらら」)会費:5,000円


11:00~13:00 ポスター発表  (コアタイム 12:20~13:00) 

協賛企業展示  9:00~17:00


2024(令和6)年7月15日(月・祝)

8:15~8:40 受付

8:40~9:50 自由研究発表 2  ④8:30~9:00 ⑤9:10~9:40 (各教室

10:00~11:00 授業研究 1・授業研究2・授業研究3 

11:10~11:50 総会

11:50~12:30 昼食・休憩

12:30~13:40 自由研究発表 3  ⑥12:30~13:00  ⑦13:10~13:40(各教室)

13:50~15:20 シンポジウム

15:20~15:30 閉会行事


2日目はポスター発表はありません。

協賛企業展示  8:30~15:30

◎プログラム (所属は2024年3月現在。変更があった場合は、随時反映します。)


課題研究発表


①  『これからの10年間を見通した小学校英語教育に関わる論点及び知見の整理のための調査研究』 

酒井 英樹(信州大学)・鈴木 渉(宮城教育大学)・池田 周(愛知県立大学)・和田 順一(松本大学)・内野 駿介(北海道教育大学)・伊東 哲(東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科・院生)


 2017年に改訂された小学校学習指導要領に関して、小学校英語教育学会では全国英語教育学会との共同提言や小学校英語教育学会役員有志としての提言を発表し、学会としての意見を発信してきた。次の改訂に向けて論点及び知見を整理し、学会としての意見を構築する準備に着手することは重要である。そこで、小学校英語教育に関わって、教育政策上及び教育実践上の論点を整理し、関連する学術論文をレビューし、現在まで明らかになっていることをまとめることを目的として、本研究課題では、「過去の論点」調査、「過去の学会等の提言」調査、「有識者に対するインタビュー」調査などを計画した。本発表では,主として過去の論点を分析した結果を報告する。



②  『文構造の気づきを促すデジタルストーリーカードによる英文産出へのアプローチ』

中田 葉月(甲南女子大学)・伊藤 由紀子(大阪成蹊大学)・伊藤 拓海(大阪市立神路小学校)・古賀 真也(池田市立五月丘小学校)


 2020年度の教科化に伴い、小学校外国語科において、「英語表現の定着」や「文構造への気づき」が、学習指導要領に示された。しかし、インプットの量が十分ではないと考えられること, また, 指導する教員, 特に英語の授業の指導に不安を感じている教員のため, それらの課題の一助となる教材の研究を行った。その教材は、既習の表現を使用し, まとまった英文を聞かせる物語および、児童がその物語を聞きながら、タブレット等で単語を並べ変えることができるデジタルストーリーカードである。

 このデジタルストーリーカードの取り組みを、公立小学校5・6年生の授業において5〜10分程度帯活動として実践した後、聞き取りクイズやアンケート調査を活用し、検証を行った。また、デジタルストーリーカードの使用感についても教員へのアンケートも行った。作成した教材の紹介や、その実践、および効果と課題について報告する。



ワークショップ


①  『音韻認識を高めて「読むこと」「書くこと」の学びを支える ―すぐに取り組める具体的な指導のヒント―』

池田 周(愛知県立大学)


 英語の「読むこと」「書くこと」の指導には、“learning to read and write”のステップが必要です。本ワークショップでは、語の音韻構造への敏感さである音韻認識を、小学校「外国語」の授業で、どの時期に、どのように、どの程度まで高めておくべきかを提案します。そして、実際に指導を実演し、参加者にも児童役、そして一部指導者役として体験していただきます。指導は児童の学習状況に応じて、①英語の音声のみに慣れ親しんでいる段階〔低学年〕、②日本語のローマ字学習前後の段階〔中学年〕、および③英語の音声と文字にある程度慣れ親しんでいる段階〔高学年〕、の3パターンで行います。提案する音韻認識指導は長期に渡り継続して行うものではなく、読み書き導入のレディネスとして短時間の指導を何回か通常授業に組み込むものです。絵カードやアプリ、ストーリーを活用した指導の工夫を丁寧にお伝えしたいと思います。


                                                                      

②  『小学校英語における自己調整を促す評価のあり方 ―Can-Do評価とポートフォリオ評価を中心に―』

泉 惠美子(関西学院大学)・長沼 君主(東海大学)・大田 亜紀(別府大学短期大学部)・奥平 明香(豊見城市立ゆたか小学校)


 学習指導要領では,3つの資質・能力を育成し,観点別に評価を行う上で,その観点の一つである「主体的に学習に取り組む態度」においては,「知識及び技能を獲得したり,思考力,判断力,表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組を行おうとする側面」と「粘り強い取組を行う中で,自らの学習を調整しようとする側面」の両面を評価することが求められる。コミュニケーションの達成に向けて,粘り強く取り組み続ける上でも,児童の自己調整能力は重要となる。

 本ワークショップでは,自己調整を促す評価のあり方に焦点を絞り,どのように児童の自己調整能力を高める工夫をすればよいかを考える。その際,小学校での優れた実践の工夫を紹介しながら,自己調整学習のプロセスの3段階,プラニング(予見),モニタリング(遂行統制),リフレクション(自己省察)において,指導者がどのような手立てや支援を用いればよいかを考える機会としたい。



③  『学習者用デジタル教科書を活用するために知っておきたいこと』 

江尻 寛正(岡山県教育庁義務教育課)


 学習者用デジタル教科書(DT)を効果的に活用できれば、英語の授業を飛躍的に充実させる可能性があると考えます。しかし今は、「どの機能が有効か」「どの場面で使わせるのが良いか」を“教師”が考える段階で留まっているように思います。これは、授業観が教師主導のままであるとも言えるでしょう。

 学習者用DTであるからこそ、使い方を考える主体は“学習者”であるべきではないでしょうか。

 その実現のために知っておきたいことについて参加者の皆様と共に省察し、次への一歩を各自が見つけることをワークショップのゴールにしたいと思います。



④  『戦前の小学校用国定英語教科書を使ってCLILを体験しよう!』 

二五 義博(山口学芸大学)


 これからの小学校英語教育のあり方を探る場合には,海外にばかり目を向けるのではなく,日本の過去の良き実践例からも学ぶ必要があると考える。CLIL(内容言語統合型学習)についても例外ではなく,現在のヨーロッパに見られる実践例を手本とすることが多いが,日本の過去の小学校英語教育に同様の実践例は本当になかったのか。本ワークショップにおいては,文部省が著作した英語教科書である『小学校用文部省英語読本』全3巻(明治41~43年)および『小学校用文部省新英語読本』全2巻(昭和14~16年)を事例として,昔の小学生が算数,社会や理科および実技教科の内容でどのように英語を学んでいたのかを実際に体験していただくことを主な目的とする。また,これらの教科書の分析結果として,CLILについては海外や現在の実践例からだけでなく,日本の明治時代や昭和初期の時代からも学ぶべき点が多いことを示唆したい。


                                             

⑤  『児童・生徒が主体的に思考・判断・表現する言語活動を核とした授業・単元デザイン』

西原 美幸(広島大学附属東雲中学校)


 筆者は現職に至るまでの10年間,前任校で小学校外国語教育に取り組み,特に最後の4年間では「小学校英語科における指導と評価の一体化-パフォーマンスと振り返りの相互作用-」を研究課題として実践を行ってきました。本ワークショップ参会者の皆様には実際の授業での言語活動や評価場面でのパフォーマンス課題を体験したり動画を視聴したりしていただきながら,言語活動中心の授業・単元での指導と評価の在り方をともに考えてみたいと思います。また,実際の授業における児童の発話から,言葉の積み上げの質について意見をいただきたいと思います。


                                                                                                

⑥  『実践研究の進め方 ―アンケートの作成とその分析について―』 JES実践研究支援委員会

アレン玉井 光江(青山学院大学)・カネフラー クリス(北海道教育大学釧路校)・瀧沢 広人(岐阜大学)・田山 享子(共栄大学)


 本ワークショップでは,学術研究との相違点に触れながら,実践研究とはどんな特徴をもつ研究を指すのか,目的・意義,研究の主体,調査方法等を確認します。今年度は,多種多様なデータの収集方法がある中から,学校現場で比較的取り入れやすく,客観的な分析が可能である「アンケート(調査紙)」を主に取り上げます。小学校の現職教員が取り組んだ実践研究を事例として取り上げ,そこで使用したアンケートや収集したデータの分析方法について,参考になる点や改善すべき点を参加者のみなさまにディスカッションをしていただきます。グループワークの後,会場全体でそれらを共有しながら,ワークショップ担当者が実践にむけての要点整理と解説をします。参加者のみなさまに,これまで以上に実践研究を身近なものにしていただけるようなワークショップを目指します。



⑦  『外国と交流しよう!心が動く国際交流と英語学習』 JES国際交流委員会 

羽渕 弘毅(西宮市立甲陽園小学校)・山本 敬子(関西学院大学初等部)・洪 月女(台中師範大学)・横田 玲子(前神戸市外国語大学)・萬谷 隆一(北海道教育大学) 


 外国語の授業では、教科書中心の学習、あるいは学級内でのペア活動・グループ活動にとどまりがちで、リアリティのあるコミュニケーションとなりにくいことが悩みの種です。 そうした困難さを乗り越えるための一つの方策として、外国の学校との交流が有効な手立てとなりえます。昨今は、コロナ禍をきっかけとして活発化したオンライン交流も盛んにおこなわれるようになってきました。本ワークショップでは、羽渕弘毅先生、山本敬子先生による台湾の小学校との交流事例を紹介いただきます。また洪月女先生には、交流先の台湾の小学校英語の状況、台湾側からみた交流のあり方などについてお話しいただきます。

 このワークショップでは、外国語授業の活性化のために、実際に交流活動を行う上で、どのような内容や方法が可能であるのか、また実践をすすめる上でどのような課題があるのか、参加者の方々と情報交流し考えたいと思います。



基調講演


 『学習者の多様性の理解とこれからの英語教育のあり方』 

村上 加代子(武庫川女子大学・英語教育ユニバーサルデザイン研究学会会長) 


 学習者の多様性を理解し、これからの教育方法を考える際には、個別最適化が鍵となる。近年、発達障害のある子どもが増加しており、子どもの特性を踏まえた指導が求められている。そのためには、多様な学びの選択肢を提供することが鍵となる。インクルーシブ教育の実現には、教員の気づきと知識が不可欠であり、すべての子どもが自分らしく学べる環境を整えることが求められている。



授業研究


①  『ICT×アダプティブラーニング ―外国語授業実践におけるICTを用いた個別最適化のよりよい手法を探して―』 

松村 登志彦(防府市立右田小学校・山口大学教職大学院 院生)


 本実践では、外国語授業におけるICTを用いた個別最適化の手法を模索し、以下の3つの実践を行った。1)デジタル教科書とロイロノートを用いた自由進度学習。2)GoogleスプレッドシートとCan Do Listを活用し、児童の成長を校内外で共有。3)Padletを用いて国の紹介を行い、アダプティブラーニングとICTの相性を実証。これらの実践を通じて、児童の学習意欲と成長が促進された一方、主体的・対話的で深い学びの達成には不十分な点があることが課題として挙げられた。今後は、ICT×アダプティブラーニング×アクティブラーニングの組み合わせによる、更なる個別最適化な授業の実現を目ざしたい。



②  『一斉授業の中の個別最適化 ―一人一人が思いを伝えられる授業の模索―』

四方堂 欣美(横浜市立東台小学校)・竹内 宣広(平塚市立山下小学校)・三田 祐太(昭島市立瑞雲中学校)


 「落ち着いて話を聞いてくれたら理解してくれるはずなのに。」と思った経験はありませんか。多くの子どもたちは学習に向かう力や取組む意欲など様々な力をもっています。その力を発揮することができれば成功体験を積むことができ成長することができます。はじめの「落ち着いて話を聞いてくれたら」がいい授業を行うポイントになります。本発表では普段集中することができない児童に「ある手立て」をすることで落ち着いて授業に参加している様子を発表します。明日から教室で使える授業実践です。



③  『複式学級のよさを生かす外国語授業』

榎原 朱梨(広島大学附属東雲小学校)


 本授業研究では,複式学級における外国語活動・外国語科の授業実践について紹介する。本校複式学級では,2年分の学習内容を1年に圧縮し,繰り返し学習を行う「くりかえし案」で授業を実施している。本校では,複式学級の特性として考えられる「異学年の児童がいること」「少人数から成ること」を課題として捉えるのではなく,よさとして捉え,「複式学級だからできる」授業とはどのようなものか検討を続けてきた。本授業研究では,これまでの本校複式学級外国語活動・外国語科での実践をもとに,くりかえし案における教師の具体的な手立てや実際の授業での子どもたちの様子を紹介する。



シンポジウム


  『外国語教育における個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実』


コーディネーター:  酒井 英樹(信州大学)

シンポジスト:       中村 典生(長崎大学)・田代 和馬(大分県教育庁義務教育課)・藤木 真里佳(山梨市立加納岩小学校)


次期学習指導要領の改訂を見据え,現状を確認し,その成果と課題を踏まえて今後を考えるために,本シンポジウムでは『外国語教育における個別最適な学びと協働的な学びの一体化の充実』というテーマを設定しました。外国語教育において,「個別最適な学びと協働的な学びの一体化の充実」はどう実現されるのかということについて、3名のシンポジストのご提案や意見交換をきっかけにして,皆さんと一緒に考えを深めていきたいと考えています。藤木先生には小学校教員の立場から,学習者用デジタル教科書を活用した授業実践をご紹介いただきます。田代先生には行政の立場から,大分県でのこれまでの取組や実践事例も踏まえて学校の取組をどのように支援できるのかについてお話しいただきます。中村先生には研究者の立場から,「個別最適な学びと協働的な学びの一体化の充実」やICT活用をどのように捉えるべきなのかについてご提案いただきます。皆で考えを深めていきましょう。