2020年は、ジェンダーについて取り上げた初の国連安全保障理事会決議である第1325号(UNSCR1325)「女性・平和・安全保障」(Women, Peace, and Security: WPS)の採択から20年という節目の年でした。UNSCR1325は、それまで人権分野でしか取り上げられなかった武力紛争下の性暴力を安全保障分野で扱う転換点となった国際規範です。平和構築における女性の役割を再確認し、紛争予防と解決に関わる意思決定に女性の参加を拡大させることを求めています。これらの要素が国際規範として採択されるまでには、日本軍性奴隷制度のサバイバーの勇気ある証言や、紛争予防や解決に取り組んだ女性たちによる草の根の実践がありました。

 ここでは国内外の紛争下の性暴力やWPSに関する書籍やDVDを紹介しています。当事者の証言や女性運動の担い手による書籍のほか、史実に基づいた研究書に重点をおきました。書評は、2020年度秋学期の総合グローバル学部科目国際協力論2(開発とジェンダー)の履修生によるものです。本人の希望に沿って、所属学部や名前を記載しています。ここにあげられた本を読み、DVDを見ると、これまでニュースで眺めるだけだった戦争が違ったものに感じられ、現代につながる問題を見過ごすことができなくなるはずです。


グローバル・コンサーン研究所 所員 田中雅子


ブックリスト 目次

当事者の証言や聞き取りの他、日本軍側の資料、女性戦犯国際法廷に関するもの、研究者による検証、教科書やメディアの問題、支援/運動論などが含まれています。戦後日本における占領軍による「慰安婦」をとりあげた本もあります。

諸外国における戦時性暴力、女性・平和・安全保障研究

諸外国の戦時性暴力、沖縄などの外国駐留軍、女性戦闘員、女性・平和・安全保障に関するものが含まれています。