津田 和忠市(鹿児島県立喜界高校、喜界島サンゴ礁科学研究所)
駒越 太郎(鹿児島県立喜界高校、喜界島サンゴ礁科学研究所)
山崎 敦子(九州大学大学院理学研究院、喜界島サンゴ礁科学研究所)
渡邉 剛(北海道大学大学院理学研究院、喜界島サンゴ礁科学研究所)
キーワード:サンゴ群衆, 炭酸系
(目的)隆起サンゴ礁である喜界島の海岸には干潮時に閉鎖的になるタイドプールが多く存在する.タイドプールの海水の炭酸系を解析することで,それぞれの地点における海水のアラゴナイト飽和度を求めることができる.また、このタイドプール内の底質調査による結果より,海水の炭酸系がサンゴの分布に与える影響を評価することができる.
(方法)本研究では、タイドプール内の海水の採水によって得た塩濃度,全アルカリ度,全炭酸,pHとライントランセクト法による底質調査の結果を比較し,現在の海水の環境とサンゴの分布を調べた.干潮時にタイドプールとなる喜界島のハワイビーチでは,陸地の点から距離を測った合計十カ所の地点の水面下50cmの海水を採水した.小野津港では4か所の水面下50cmの海水を採水した.比較として,沿岸に防波堤のある小野津港はサンゴが見られ始める地点と多く見られる地点,防波堤の近く,港の入り口の4ヶ所を採水した.海水の測定方法として,まず電子天秤で重量を測り,導電率計を用いて塩濃度を測定した.この情報をもとに全アルカリ滴定を行い,全アルカリ度,全炭酸,pHを求めた.先に求めた値からCO2Sysプログラムを用いてアラゴナイト飽和度を計算した.
(結果)ハワイビーチでは陸からの距離に対する塩濃度の相関関係が顕著に見られた.pHは陸から離れるほど高くなった.全炭酸・全アルカリ度は陸から離れるにつれ低下した.小野津港では最も砂浜に近い場所の塩濃度が一番低かったものの残りの3地点は塩濃度にあまり差は見られなかった.全炭酸・全アルカリ度はサンゴ礁や堤防沿いの場所は増えていくものの港の入り口の部分のみ低い値となった。CO2Sysを用いた計算の結果,ハワイビーチでは陸から離れるにつれアラゴナイト飽和度は高くなり,小野津港では港の入り口のみ低い値となった.
(考察)これらの結果より,ハワイビーチでは陸からの距離に対して塩濃度やpHに相関があることが分かった.また小野津港では港の入り口のpHの値が低くなっているため、アラゴナイト飽和度が低くなっていると考えられる.また陸から離れるにつれサンゴが増えることから,サンゴの分布にアラゴナイト飽和度などの環境要因が影響することが考えられる.
日吉 慎太郎(喜界島サンゴ礁科学研究所 、鹿児島県立喜界高等学校)
北野 裕子(国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター)
Samuel Kahng(Hawaii Pacific university)
山崎 敦子(喜界島サンゴ礁科学研究所 、九州大学大学院理学研究院)
渡邊 剛(喜界島サンゴ礁科学研究所 、北海道大学大学院理学研究院)
(喜界島サンゴ礁科学研究所 、キーワード:ハマサンゴ属、骨格形態、化石標本、種同定
ポスター画像/要旨(準備中)
石坂悠希(中央大学附属高等学校)
キーワード:化石サンゴ骨格、ろ過能力、喜界島、資源活用、続成作用
ポスター画像/要旨(準備中)
村上 ゆうか(喜界島サンゴ礁科学研究所、藤女子高等学校)
中川 玲菜(喜界島サンゴ礁科学研究所、清泉女学院中学校)
工藤 悠暉(喜界島サンゴ礁科学研究所、立命館慶祥中学校)
西山 侑希(喜界島サンゴ礁科学研究所、亀津小学校)
種田 悠李(喜界島サンゴ礁科学研究所、嶺町小学校)
三島 好誠(喜界島サンゴ礁科学研究所、早町小学校)
丸本 昌幸(喜界島サンゴ礁科学研究所、水俣第二小学校)
藤井 琢磨(喜界島サンゴ礁科学研究所、鹿大・島嶼研)
キーワード:無脊椎動物、生物学、生存戦略、生態
2019 年のサンゴ礁生物班は,昨年までと同じく,「喜界島のハワイ海岸礁池内には,どんな生き物が,どれのくらいいるのか」を調べ,科学的に解説することを目的に調査を行った.調査は,目視による3〜4時間の簡易スポットチェック法と,50 mメジャー1本によるラインインターセプトトランセクト(LIT)法によって行った.LIT法では1本のラインを複数名で分担した.さらに高校生と中学3年生,小3〜5年生と中学生1年生で同じラインを調べることで記録者によっても認識の差が生じることを確かめた.また,徒手採集と刺し網を用いた追い込み漁による生物相の定性調査も行いフィールドガイドを参照して種同定を行った.
研究目的ごとに多様な手法が存在することを理解した上で上記の調査を行い,考察から発表まで,相違工夫をこらした研究に仕上がった.本ポスターでは,見つかった生物種やサンゴの被度,それらの結果から班員が行った考察の発表を行う.本調査実習では,子どもたちが実際にみるサンゴ礁は想像よりもサンゴだけで埋め尽くされているわけではないこと,普段は気にも留めない小さな生物が沢山いること,実は生物の種類を調べるのは難しいこと,見る人によって自然の感じ方が異なること等,さま
ざまな発見があった.
千田 唯乃(喜界島サンゴ礁科学研究所、渋谷教育学園渋谷高等学校)
日吉 慎太郎(喜界島サンゴ礁科学研究所、喜界高等学校)
花田 理成(喜界島サンゴ礁科学研究所、志學館中学部)
椎根 凛空(喜界島サンゴ礁科学研究所、渋谷教育学園幕張中学校)
コワル 汎夏(喜界島サンゴ礁科学研究所、白馬中学校)
杉俣 駿(喜界島サンゴ礁科学研究所、早町小学校)
藤原 潮路(喜界島サンゴ礁科学研究所、柏野小学校)
橋本 昊(喜界島サンゴ礁科学研究所、常盤台小学校)
Samuel Kahng(喜界島サンゴ礁科学研究所、Hawaii Pacific university)
キーワード:無脊椎動物、生理学、生存戦略、生態
サンゴ礁は多様な無脊椎動物たちの住処となっている.無脊椎動物は基本的な体の構造は他の生き物と共通しているが,サンゴ礁内で生き残るための特別な戦略・体の構造をもち,その特徴にはトレードオフが存在している.本研究では,喜界島ハワイ海岸礁池内に生息するカニがサンゴ礁内で生き残るために,どのように餌を見つけ・敵から逃げ・成長しているかについて形態から検討した.
4種のカニについて甲羅の大きさに対する身体の各パーツの大きさの比率を求めた.ハサミと足の長さの比率では,足が長くハサミが短いグループ,足が短くハサミが長いグループの 2 つに区分できた.また,ハサミの挟む力と腕の長さの比率は,腕が短く挟む力が弱いグループ,腕が長く挟む力が強いグループの 2 つに区分できた.結果からハサミの長さと足の長さ,そしてハサミの長さと幅でトレードオフの関係が推測された.足の速いカニのハサミは小さく,柔らかいものしか食べることができない.逆に足の遅いカニは,ハサミが大きいため硬いものでも食べることができ,それぞれのカニが身体の特徴に合わせた生存戦略をとつていることを確認した.
荒井 陽花(喜界島サンゴ礁科学研究所、中央大学付属高等学校)
笹井 心(喜界島サンゴ礁科学研究所、東京都立農産高校)
池田 雪流(喜界島サンゴ礁科学研究所、佐渡中等教育学校)
山田 美月(喜界島サンゴ礁科学研究所、文京区第十中学校)
板倉 誠一郎(喜界島サンゴ礁科学研究所、喜界中学校)
幸得 真虎(喜界島サンゴ礁科学研究所、いつま小学校)
矢野 健(喜界島サンゴ礁科学研究所、いつま小学校)
鹿島 悠人(成城学園初等部)
山崎 敦子(喜界島サンゴ礁科学研究所、九州大・院理)
キーワード:ハマサンゴ,サンゴ骨格成長,塩分,pH,底質
サンゴとはどのような生き物かを学ぶ過程で,サンゴはどんな環境で,どのように成長するのかという疑問が生まれた.本研究では,喜界島のハワイビーチにおいて,ハマサンゴが生息する環境とサンゴの成長速度は関係があるのかを調査した.
喜界島ハワイビーチに50 mの測線を引き,0〜50 mまで10 mおきに水深と底質を記録し,採水を行なった.また,生息しているハマサンゴの水深,高さ,距離,表面の大きさを計測した.採水した水の水温,塩分,pHを多項目水質計と電気伝導度計,アルカリ度計を用いて計測した.さらに,側線上でフカアナハマサンゴとイワハマサンゴ群体を採取した.採取したサンゴ群体はカッターで成長方向追えるように骨格を薄い板状に成形したのち,レントゲン写真を撮影した.
塩分は10 mとタイドプール外の外洋が高く,0 mと40 m地点で低くなった.pHは0 m,30 m,外洋でその他の地点と比較して高くなった.採取したサンゴの成長量を年輪ごとに計測した結果,フカアナハマサンゴは8.2 mm/年,イワハマサンゴは20 mm/年だった.測線上に存在したハマサンゴにこれらの成長量を当てはめると,2 つのハマサンゴの年齢は,312.5歳と281.3歳,2つのイワハマサンゴの年齢は,40歳と15歳であることが推定できた.
また,年輪幅の計測より,2013〜2014 年に起きた長期干ばつの影響により,湧水が減少し塩分が高くなったことで,ハマサンゴの成長が低下していたことが推測された.ハワイビーチには300歳を超えるハマサンゴがあることから,数百年に渡り,サンゴにとって生息しやすい環境であったと考えられる.
キーワード:
ポスター画像/要旨(準備中)