〇Japan Virtual CGT(オンラインワークショップ)について
Virtual CGT はアメリカ・カナダ・ヨーロッパの組合せゲーム理論の研究者が中心となって開催している,月1回のオンラインの組合せゲーム理論のワークショップです.しかし,時差があるため,日本の研究者である我々は参加することが難しいという問題があります.
そこで,このたび本家のVirtual CGTを参考にし,日本の組合せゲーム理論コミュニティ間の情報共有・交流を目的として,「Japan Virtual CGT(JVCGT)」をオンラインで開催することにしました.
JVCGTは月に1回程度開催します(関連研究集会の多い3月と8月は基本的には行わない予定です).
1時間の枠の中で,発表者の方に15分~50分程度お話いただき,残りの時間は質疑応答&ディスカッションの時間となります.日時は発表希望者の方と相談の上で決めます.言語は原則日本語,英語もOKとします.
年に一度開催している日本組合せゲーム理論研究集会よりは,発表内容の敷居を下げたいと考えております.紹介したいトピックがある,今考えていることを共有したい,勉強したことを話したい,など発表の内容は組合せゲーム理論に関するものでしたら何でも大丈夫です.
発表をご希望の方は運営の安福(buku3416[at]gmail.com)までご連絡ください.
・第16回
日時:11月5日(水)17時~18時
発表者:大宮七虹 (東北大学)
タイトル:逆形 Greedy Nim および 逆形 k-Bounded Greedy Nim の完全解析
概要:本報告では、CJCDCG3 2025 において「Misère Greedy Nim and Misère Bounded Greedy Nim」という題目で発表した研究内容および今後の展望について紹介する。Greedy Nim は石数が最大の山から石を取るという制限があり、k-Bounded Nim は各ターンで高々 k 個の石しか取れないという制限がある Nim の変種である。k-Bounded Greedy Nim は、これらを組み合わせ、石数が最大の山から高々 k 個の石を取るという制約を持つ。本研究では逆形 Greedy Nim および 逆形 k-Bounded Greedy Nim の完全解析を行ったのでその結果を報告する。最後に、現在解析を進めている Greedy Nimk について、正規形と逆形の比較においてBounded Greedy Nim と類似した性質を持つ可能性を報告し、今後の展望について述べる。
・第15回
日時:10月1日(水)17時~18時
発表者:山下貴央(広島大学)
タイトル:第9回日本組合せゲーム理論研究集会開催記念 中高大学生及び一般向けゲーム大会+公開講座 の開催報告
概要:例年8月に行われる日本組合せゲーム理論研究集会ですが、今年度は、その前日の8月23日に広島大学組合せゲーム理論研究グループを主体として、中高大学生及び一般向けの組合せゲーム・パズルに関するプレイベントを行いました。本発表では、このイベントを企画するに至った背景や実際にイベントを行った感想・反省について報告します。また、時間があれば、今後インドに行かれる方向けに何か話せればと思っています。
・第14回
日時:6月25日(水)17時~18時
発表者:木谷裕紀(大阪公立大学)
タイトル:手札消費型ゲームGo Fishの勝者判定問題における計算複雑度
概要:本報告では,2024年9月に開催された JCDCGGG において「How to Fish with Perfect Information」という題目で発表した研究内容と,その契機となったMITにおける短期滞在中の研究活動について紹介する.本研究は,カードゲーム「Go Fish」を題材とし,その勝者判定問題に関する計算複雑性の解明を目的としたものである.報告においては,当該問題に対する理論的な結果の概要およびその証明の着想を概説するとともに,若手研究者による海外渡航・研究交流の一例としても参考となるような内容を提供することを目指す.
・第13回
日時:5月26日(月)17時~18時
発表者:秋山茂樹(筑波大学)
タイトル:3次元 Wythoff Nim の P-position について
概要:Wythoff Nim はいろいろな意味で特異なゲームである。Wythoff Nim の先行研究では Grundy 数を用いた解析や、P-position の決定できるような拡張が成されているが、今回の拡張では「 P-position の集合がほぼ直線上に乗っている」という性質を一般化できないかを追求した Nim を紹介する。
この新ゲームに自己相似性に類するものがあると良いのだが恐らく期待できないことは既知の記号力学系の手法で調べることができる。一方 P-position が自然数の分割を与え、辞書式に並べたときの階差集合は有限であり、ほぼ長さ3の等差数列の形を成すことまでは証明できる。若干の統計的なアイデアを用いることで、期待する直線の傾きに関する予想も立てることができた。この全体像を紹介できればと思う。
・第12回
日時:3月19日(水)17時~18時
発表者:安福智明(岐阜大学),木谷裕紀(大阪公立大学),〇末續鴻輝(早稲田大学,広島大学)
タイトル:Combinatorial Game Theory Colloquium Vの参加報告~詳細版~
概要:Combinatorial Game Theory Colloquiumは2年に一度開かれる組合せゲーム理論の世界的な研究集会である。 発表者らは今年1月末から2月初めにかけて行われた本研究集会に参加してきた。本発表では研究集会の概要の紹介と発表内容の共有を行う。
・第11回
日時:1月20日(月)17時~18時
発表者:原則参加者全員
内容:コーヒークラッチ
・第10回
日時:12月11日(水)16時~17時
発表者:末續鴻輝(早稲田大学、広島大学)
タイトル:直前特集!CGTC V発表内容に大・注・目!
概要:2025年1月31日より開催されるCombinatorial Game Theory Colloquium Vのプログラムとアブストラクトが発表された。本講演では、これら事前情報から伺われる各発表の内容と意義について紹介することで、本研究集会参加者がより実りある時間を過ごせるようにすること、および不参加者に対しても概要を伝えられることを目指す。
・第9回
日時:11月13日(水)14時~15時
発表者:白石壮,ミオッティ惺,岡本光広,児玉琥太朗,花田悠仁(兵庫高校)
タイトル:組合せゲームの必勝法と数学的理論からの考察
概要:サバイバルフィンガーという指を使い行う組合せゲームの一種を例にとり、必勝法を示します。示した必勝法を数学的に理論として落とし込めないか探っている最中です。高校での探究活動の一環で研究をしており、研究途中ではありますがこれまで行ってきた研究を紹介します。皆様からのご助言などいただけると幸いです。
・第8回
日時:10月23日(水)17時~18時
発表者:菊地遼(芝浦工業大学)
タイトル:同一着手の回数を制限した nim の変種
概要:1度だけパスを許したNIMのように,ある着手の回数を制限した状況下でのNIMに関する考察した. Grundy数に関して,いくつかの規則性を発見したので報告する.
・第7回
日時:9月26日(木)17時~18時
発表者:井上博裕(広島大学)
タイトル:両プレイヤーの着手が同じPartizan Subtraction Nimについて
概要:Sは2以上の自然数の空でない部分集合とし、Sを除去可能数集合とする1山Nimを考える。LeftとRightは、着手は同じだが、勝利条件に次のように差をつける:
残った石の個数が偶数個ならLeftの勝ち、奇数個ならRightの勝ち
このとき、帰結類としてL-positionがR-positionよりも圧倒的に多いという現象を発見した。実際、石の個数がn個のときR-positionならば石の個数がn±1個のときL-positionになることがわかったので、その証明を与える。
・第6回
日時:7月31日(水)17時~18時
発表者:末續鴻輝(早稲田大学)
タイトル:アフィン正規形を学ぼう その1
概要:アフィン正規形は最近Larsson, Nowakowski, Santosによって研究されている組合せゲーム理論の一分野であり、(他の直和成分に関わらず)直ちに左の勝ち、および右の勝ちとなる値が通常の正規形に着け加えられたような体系です。アフィン正規形は通常の正規形の理論の拡張となり、通常の正規形では扱えないようなゲームも解析することができるため注目されています。この理論を普及するために、今回から2、3回に分けてアフィン正規形の理論を紹介することを予定しています。
・第5回
日時:6月26日(水)17時~18時
発表者:菊地遼(芝浦工業大学)
タイトル:Amalgamation Nimの部分構造
概要:Amalgamation Nimの話を聞いて部分的な構造を発見したので共有します.
報告自体は短いので, いろいろ議論できればと思います.
・第4回
日時:5月31日(金)17時~18時
発表者:篠田 正人(奈良女子大学研究院自然科学系)
タイトル:Amalgamation Nimの紹介と未解決問題の検討
概要:石取りゲームであるNimにおいて、プレイヤーが各手番で石を取る着手または「2つの山を合併させる」着手を行う拡張ルールがAmalgamation Nimとして提案されている。本発表では、このルールの導入である論文S.C. Locke and B. Handley, Amalgamation Nim, INTEGERS 21 (2021)の内容を紹介し、3山でもP局面集合が確定していないこのゲームについて解決の糸口を検討したい。
・第3回
日時:4月26日(金)17時~18時
発表者:原則参加者全員
内容:コーヒークラッチ(各参加者3~5分程度の近況報告)
・第2回
日時:2月27日(火)10時半~11時半
発表者:末續鴻輝(国立情報学研究所)
タイトル:最新の理論 伴課ゲームの紹介
概要:伴課ゲーム(entailing game)はここ数年で興味深い成果が得られた分野である。伴課ゲームにおいては、特定の条件下で2手連打が行われたり、次の着手が前の着手に制限されたりする。最近の海外の研究で、不偏伴課ゲームの構造が解析され、通常のニム値のほかに☽(月)と呼ばれる特殊な値を導入することで完全に直和が表現できることが明かされた。本講演ではこの研究を中心に伴課ゲームについて紹介する。
・第1回
日時:1月29日(月)14時~15時
発表者:菊地遼(芝浦工業大学)
タイトル:佐藤のゲームの非不偏化
概要:組合せゲーム理論では、非不偏なゲームを不偏なゲームとして考えることがよくある。今回は逆に、不偏ゲームである佐藤welterゲームを非不偏なゲームとして拡張し、ゲームの値をある程度簡単に求める方法を発見したので報告する。