企画展示「伊良原邸の記録」
2022年に解体された磯崎新氏の住宅作品・伊良原邸(1980)の記録展示。3Dスキャンを井上朝雄研究室が、写真撮影を八代写真事務所が、展示企画を岩元研究室が行った。本展示は2023年7月〜8月、大分市のアートプラザで開催されたアートプラザ開館25周年記念イベント「think of Arata Isozaki」の一環として行われた。
architectureとは何か?―磯崎新氏への返答
architectureとは〈はかる〉ことである。建築家は距離を・面積を・ヴォリュームを測り、モノの重さを量り、時を計り、企てを図り、案を諮り、それを紙上に(あるいはスクリーンに)画ることによって彼/彼女の〈はかりごと〉に形を与える。測量技術と図画技術の発展は建築の革新と隣り合わせである。スケッチはスナップショットへ。墨壺はレーザーポインターを経て3Dスキャナーへ。モダニズムの建築は一本の鉛筆から生まれ、現代の建築はコンピュータ・スクリーン上に描かれ、次の建築はヘッドマウントディスプレイの中に現れるだろう。unbuiltのbuildingは存在しないが、unbuiltのarchitectureは存在する。〈はかる〉ことが建物の実体を超える可能性を示し続けてきたのは、他ならぬ磯崎新氏だった。
2022年春、磯崎新氏設計の伊良原邸(北九州市、1980)が解体されるという一報を得た。福岡県在住の建築家・研究者・写真家がチームを組んで解体直前に滑り込み、写真と3Dスキャニングによって空間を記録した。buildingは失われてもarchitectureの断片が、若き磯崎新氏の〈はかりごと〉が、この記録には含まれているはずである。
Capturing IRAHARA HOUSE by Arata Isozaki
Art Plaza, Oita, Japan, 26 JULY - 15 AUG 2023
3D-scanning: Tomo Inoue Laboratory
Photography: Yashiro Photo Office
Curation: Masaaki Iwamoto Laboratory
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