空中投影ディスプレイ

世の中で「3Dホログラム」「ホログラフィック」と呼ばれる空中投影手法の大半は，残念ながら真の意味での「ホログラフィ」ではありません．これらの手法は，「ペッパーズ・ゴースト」と呼ばれる，半透明鏡（ハーフミラー）を用いて映像を空中に投影する方式に基づいています．そのため映像は2Dであり，CG技術などを駆使して3Dであるように見せているだけにすぎません．私たちは，凹面鏡とホログラフィとを用いた極めてシンプルな装置により，ホログラフィによる3D映像をリアルタイム再生するシステムを開発しています． 

凹面鏡＋ホログラフィ

ホログラフィだけでも3D映像を空中に投影することは可能です．しかしリアルタイム再生を実現するためには，ホログラム（物体の3D映像が記録されている媒体）を生成するために必要な計算量を低減しなければなりませんでした．私たちは，物体とホログラムとの距離が計算量に寄与していることに着目し，物体をホログラム近傍に配置することで計算量を大幅に削減できる手法を採用しました．しかしこの場合には，3D映像がホログラム上に再生されるため，空中に投影できなくなってしまいます．そこで，凹面鏡を2枚重ね合わせるだけのシンプルな光学系を利用して，3D映像を空中に投影するシステムを開発しました．右の図は，立方体の3D再生像が空中に投影されている様子です． 

References