ディジタルホログラフィック顕微鏡

デジタルホログラフィック顕微鏡(Digital holographic microscopy; DHM)は,CMOSやCCDカメラなどの電子デバイスでホログラムを取得し,コンピュータ上で回折計算をすることによって3次元像を再生する技術です.一般的な顕微鏡に比べて,DHMは振幅だけでなく位相も同時取得することができるため,3次元的に計測できる上,高精度な厚さ方向の計測が可能です.   

Media1. CPU reconstruction 

Media2. GPU reconstruction 

Media3. GPU reconstruction(depth) 

リアルタイムディジタルホログラフィック顕微鏡

DHMは撮影したホログラムから像を再生するために回折計算が必要です.しかし,回折計算は,現在のコンピュータを用いたとしても計算に時間を必要とするため,リアルタイムな再生処理が困難でした.そこで,GPU(Graphic Processing Unit)を用いたリアルタイムDHMシステムを開発しました. 

我々の研究室では,CWO++ライブラリ呼ばれる波動光学用の数値計算ライブラリを開発しています.CWO++ライブラリはDHMに有用なだけでなく,他の波動光学アプリケーション(例えば,ホログラフィックディスプレイ,ホログラフィックプロジェクション,光学素子設計,光線発生の解析)などに応用できます.

http://cwolibrary.sourceforge.net/ 

Fig. 1 An example of CWO++ code. 

Media4. Multiview digital holographic microscopy 

マルチビュー・ディジタルホログラフィック顕微鏡

解像度,再生深さ(depth),再生位置を自由に設定した複数の再生画像を同時観察可能なリアルタイムDHMシステムを開発しました. DHMで用いられていたフレネル回折計算の代わりにシフテッドフレネル回折計算を用いることで,複数同時再生を実現しています.このシステムでは4つのGPUをリアルタイム再生のために用いています.以下の動画では,ホログラムから,解像度,再生深さ,再生位置の異なる4つの再生画像を同時に観察している様子を示しています.  

Fig.2. Giga-pixel digital holographic microscopy 

Media5. Giga-pixel digital holographic microscopy 

ギガピクセル・ディジタルホログラフィック顕微鏡

コンシューマー向けスキャナーを使って取得した23,602✕18,023 pixels (0.43 gigapixels)のホログラムを用いたDHMを開発しました.このシステムは,2次元可動ステージに搭載したカメラを用いる合成開口ディジタルホログラムと比べ,シンプルなシステム構造を実現しています. 

圧縮ホログラフィのGPUによる高速化

圧縮ホログラフィは,信号のスパース性を排することで効率的な信号取得と復号を実現するフレームワークである圧縮センシングを用いたホログラフィ技術です.従来のDHMではなし得なかった特徴を実現できる一方で,高い計算負荷が必要であるという課題があります.そこで,我々はGPUを用いた圧縮ホログラフィの高速化を目指しています

References