研究計画
25K00492(2025~2029年度)
25K00492(2025~2029年度)
研究目的の達成のため、3つの部門を設けて研究を推進する。
A.現地調査部門:
1)所在情報の充実
官版日誌等は、歴史史料等保存機関で、逐次刊行物・図書(貴重書・一般図書)・古文書など、さまざまな扱われ方がなされてきている。そのため、所在情報の収集は複雑さを極める。加えて、オープンサイエンスの潮流のなかで、各機関のデジタルライブラリやデータリポジトリなどが大きく進展していることから、過去に収集した所在データ等の更新から作業を始める。冊子型目録・横断検索を駆使して最新の情報に置き換える。
2)現地調査の実施と史料学の精密化
現地調査カード、補助カード・調査マニュアルを適宜改訂し、最適な情報抽出と情報分析に資する史料学の精密化に努める。調査先の選定では、史料群秩序の維持、発刊時の形状である1号1冊本、書籍商や古書業者の介入または取得者による加工を経た合綴本、刊写本など、長期的な活用・保存のなかで現在の史料群秩序が形成されたことを考慮する。現地合同調査は北海道・東北・関西地域を優先する。その後、藩日誌を刊行した九州地域で現地調査を実施する。
3)現地調査報告書の作成と共有化
現地調査の実施後は、速やかに現地調査報告書を作成してコミュニケーションツールによって検証し、即時、Web上で公開する。
B.官版日誌等フルテキスト化横断検索プロジェクト部門
1)フルテキスト化横断検索プロジェクトでは。慶応4年(明治元年)・明治2年刊行分の中央政府機関からの情報発信を網羅的に把握するために『東巡日誌』・『還幸日誌』、また府藩県からの情報発信に留意して『金川府日誌』(含別集)・『京都府日誌』・『東京府日誌』・『北征日誌』・『大坂府日誌』・『肥前藩日誌』(のち佐賀藩日誌)・『開拓使日誌』・『熊本藩日誌』(約80号分)の本文フルテキスト化を進める。その際、Web画像からテキストファイル・データを作成する予定である。その作成作業は漢字情報処理に長けた専門業者に委託する。研究代表者は業者納入品を検証後、初校の校正作業をくずし字を解読できる大学院生アルバイトに依頼する。再校の校正作業は研究メンバーが分担して行う。2)相互に補完する関係にある4つのホームページ(木版研 URL https://boshinjls.net/・科研第1期~第3期)と本研究のために新たに開設するホームページ、および官版日誌等フルテキスト化横断検索システムの運用、デジタルデータ管理、活用調整、Web活用の状況把握(データマネジメント)は研究者でかつ各種データ処理に通じた業者に委託する。
C.研究共有部門
1)定例研究会
討論の場を設けて研究の進捗をはかる。研究発表のほか第1回(5月)は研究全体の計画と分担確定、第2回(9月)は中間評価、第3回(3月)は当該年度の評価と次年度計画の策定を行う。
2)公開研究会
3)史料講読会の継続と文献講読会
科研第2期で翻刻した「書林書留」(慶応義塾大学蔵)の継続的講読、史料講読「順立帳」(東京都公文書館蔵)を開始する。合わせて、公開研究会準備のため、清朝邸報に関する文献などの講読を行う。