脳は高次な機能をもっていますが、未解明な部分が多く謎に包まれています.その謎の一つが記憶です.記憶には、あっというまに作られるがすぐに消えてしまう短期記憶と、長く保持される長期記憶の、少なくとも2種類があります.このことは、わたしたちの日常の体験で知っていることですが、実のところよく分かっていません.そこで、私たちは、この記憶における謎を解明していくことに挑戦しています.学習・記憶に関係する脳の領域(海馬・扁桃体)を理解することで、様々な経験がどのように神経回路とその神経表現の変化を起こして長期記憶形成へと至るのかを研究していきます.また、新たな試みとしてバイオフィードバック療法の基礎的研究も開始しています.
研究テーマ
様々な研究レベルにおける方法論的アプローチ(電気生理学・分子生理学・行動学)により、神経可塑性の生理学的性質を分子, 神経回路網レベルから個体レベルまでの研究を行っています.脳・神経システムの基本から学ぶことからはじめ、脳全体の中での個別の機能を深く理解するという姿勢で研究しています.
•可塑性(特にシナプスの連合性)の電気生理的解析(マウス)
•様々な環境刺激による短期記憶から長期記憶への変換機構(マウスおよびヒトでの研究)
•社会性孤立によって引き起こされる行動変容解析(マウス)
•深層学習を用いた病理診断支援AIの構築
•バイオフィードバック療法の基礎的研究(ヒト)
•義指装置制御の基礎的研究(ヒト)
•in vivo電気生理学的アプローチによる基礎的研究(マウス:休止中)
•シナプスプロテアーゼによる神経可塑性調節機構(マウス)
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