住環境にやさしいコンセプト🌱
単層板ガラスにサーモクロミック薄層フィルムを使用し、遮熱性を付加することにより、軽量・低コストエコガラスの製造が可能となります。
一般住宅では、夏には約9割の熱侵入、冬には約5割の熱流出が窓から起きています。夏は日射の3~4割を遮断し、冬は約8割の日射を取り入れることができます。
🌞二酸化バナジウム(VO2)薄膜を用いたサーモクロミック薄層フィルム🌡️
サーモクロミック薄層フィルム
サーモクロミック薄層フィルムは、組成比や結晶密度を制御し、入射角依存性のない屈折率特性を示します。また、バッファ層と表面保護膜により、屈折率緩和と不純物拡散および劣化防止を可能として、以下の特長を示します。
① 自然光を効率的に取り入れる高い可視光透明性
② 入射近赤外光を安定して調光する能力
③ 室温付近への転移温度
④ 多様形状に対応できるフレキシブル性
二酸化バナジウム(VO2)は、サーモクロミック特性を有し、温度変化が生じることにより、熱的に誘発された相転移により近赤外域の光学特性に急激な変化を起こします。 このため、低温透明状態から高温不透明状態へ可逆的に移行して太陽熱流束を自動的に調整することができます。
MOD法により急速加熱冷却下で焼成したVO2薄膜は、ナノスケールモスアイ構造を有し、表面が不規則的に約100~200nm周期の不均一な突起配列を表しています。この構造における反射率は、突起構造利用や結晶粒密度制御によって、平均屈折率変化を小さくすることで低減できますが、その効果は厚さ方向の空気占有率や突起配列構造とその周期に依存します。
レーザ顕微鏡 (LSM)像から立体的に凹凸が観察されると同時に結晶粒間に空隙が見られ、先端が半球状の粗密なナノ結晶粒子が連結している様子がわかります。
🔥熱放射抑制特性シミュレーション🧑💻
MOD法によりガラス基板にZrO2層を形成したVO2ナノ粒子層状薄膜構造モデル
(a) 相転移前 (b) 相転移後
FDTD(有限差分時間領域)法を用いた熱放射抑制特性シミュレーションを開発して、サーモクロミックガラスに適用した熱放射抑制効果の解析を実施しています。
⚖️サーモクロミック特性評価🧑⚖️
二酸化バナジウム(VO2)は、サーモクロミック特性を有し、温度変化が生じることにより、熱的に誘発された相転移により近赤外域の光学特性に急激な変化を起こします。 このため、低温透明状態から高温不透明状態へ可逆的に移行して太陽熱流束を自動的に調整することができます。
極薄ガラス基板上に成膜したNb添加VO2薄膜における添加濃度毎の可視光透過率(測定温度 100℃での380~780 nmにおける平均透過率)と 近赤外最大調光率 および 相転移温度を示します。測定結果から可視光透過率は、61.6~64.4%、 近赤外最大調光率は、35.1~47.3%、 相転移温度は、45~82℃であることがわかりました。