大会の理念

IOSS の目的

日本で最もハイレベルな社会科学の学術大会を実施すること

現状の課題

① 研究コンテスト

前述した通り、研究コンテストのほとんどは理系分野に限定されていますが、その背景として、文系の研究は方法論が比較的多様なことから、定式化された評価やフィードバックが難しいことがあります。SARC (High School Academic Research Competition)、高校生国際シンポジウムのような分野横断的な研究大会も存在しないわけではないものの、分野が非常に広汎であるために、審査員と参加者の専門分野の隔たりが大きい場合、(特に文系では)適切な評価が難しい側面があると感じています。中高生探求コンテストなど、探求の方向性を評価するコンテストは、生徒の好奇心を引き出すという大きな意義を有する一方で、具体的なテーマ設定が存在しないため、統一的な評価基準やロールモデルとなる研究を提示することが困難であることが多いです。

② 小論文

現状、文系のコンテストとしては、小論文形式の大会が数多く存在しています(国内では小泉信三賞、海外ではJohn Locke Institute 主催のエッセイ大会など)。一方で、その募集のほとんどはエッセイや小説といった人文系の分野に偏っており、法学・政治学・社会学・経済学といった社会科学の学術的な探求に高校生が挑戦する機会は非常に限られています。加えて、事後的なフィードバックが難しいことや、多くの大会で詳細な評価基準が公開されていないことで、大会参加を通じて探求を発展させていくことが難しいです。

③ ディベート・模擬国連

ディベートや模擬国連のように競技性を志向する方向性においては、より定式化された評価・フィードバックを実施することが可能です。一方、これらの競技は、チームワークを涵養するための人数規定や、競技性を担保するための厳格なフォーマットなど学術性とは異なる観点から要請される様々な制約を内包しています。故に、より自由な探求の機会を提供するために、このような競技の枠外にも、学術的な探求に目的を絞った大会が存在することの意義は大きいと考えています。

IOSSの意義


このような現状は、AO入試や海外大進学といった、生徒の学校外の学術活動が重要となる進路選択が拡大する中、文系生徒のキャリア形成を疎外する深刻な問題だといえます。このような状況を打破するため、日本で最もハイレベルかつ大規模な社会科学の学術大会を開催することを目的として、本大会を開催します。

それぞれの企画に様々な独自の要素および意義が存在しますが、本大会の第一義的な価値は、高校生と社会科学を繋げる架け橋として、低い参入障壁と学術性を両立することにあると思っています。そのため、本大会では、審査員として専門家の方々を招聘することのみならず、運営である私たち自身が、テーマに対する学術的な探求を行った上で、高校生の観点から、評価基準、リソース提供、フィードバックなど、大会の諸要素を設計しています。その一例として、私たちが目指す大会の水準を示すためのロールモデルとして、半年のリサーチを元に国際的なAIガバナンスに関するガイドブックを作成いたしました。大会のあらゆる要素をこのガイドブックの水準と同等またはそれ以上のクオリティで提供することで、高校生の視点に立ちつつ、高度な学術性を実現します。

IOSS の特徴



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