大久保 街亜(専修大学)
原田 悦子(筑波大学)・澤田 知恭(筑波大学大学院)
米満 文哉(中央大学・学振PD)・池田 鮎美(九州大学)・吉村 直人(立命館大学・学振PD)・佐々木 恭志郎(関西大学)・山田 祐樹(九州大学)
小林 穂波(関西学院大学・日本学術振興会)・松井 大(北海道大学)・小川 洋和(関西学院大学)
松井 大(北海道大学 人間知・脳・AI研究教育センター)・柳川 耕平(北海道大学 人間知・脳・AI研究教育センター)
岩根 榛花(筑波大学大学院)・原田悦子(筑波大学)
四本 裕子(東京大学)
竹橋 洋毅(奈良女子大学)
水野 景子(関西学院大学・日本学術振興会)・清水 裕士(関西学院大学)
工藤 大介(東海学院大学)・中川 翔貴(東海学院大学)・李 楊(名古屋大学) ※オンライン発表
大薗 博記(鹿児島大学)・仲間 大輔(リクルートマネジメントソリューションズ)
清水 裕士(関西学院大学 社会学部) ※オンライン発表
石井 辰典(日本女子大学)
佐柳 信男(山梨英和大学)
上野 将玄(公益財団法人 たばこ総合研究センター)
坂田 陽子(愛知淑徳大学)・田渕 恵(安田女子大学)・三浦 麻子(大阪大学)
小杉 考司(専修大学人間科学部) ※オンライン発表
畑 佑美(専修大学大学院)・井口 善生(福島県立医科大学)・松井 大(北海道大学)・鮫島 和行(玉川大学)・澤 幸祐(専修大学)
国里 愛彦(専修大学)
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コロナ禍で暇だったとき、私は柔術の試合動画を見ながらビールを飲んでダラダラと過ごしていました。そのとき試合で使われるテクニックや戦術は研究対象になると気づきました。で、それらを普段の研究作業のフォーマットに当てはめデータをまとめたら、格闘技の論文誌に採択されました。競技がわからないと研究成果が意味不明かもしれないので、今回は研究の過程も含めてお話しします。
人間の会話を「切り取っていく」視点は多々ある.それぞれが「変化自在な癖に,明らかに何らかの構造性,規則性がある」会話という存在をなんとか形にしていこうとしている(ように見える).そんな中,特に会話参加者の年齢が変化すると会話の在り様が変化する様子をみていると,「会話を続けること」という要因(drive?)が見えてきた.これが世にいう「システムのレジリエンスresilience」だなぁと思い始めたら,そこから逃れられない(が,どうやってそれを明らかにできるのかはわからぬ)状態になっている.が,しかしシステムのレジリエンスというのは「生きているシステム」を作る/考える上では基本なんじゃないか,という思いは芽生えてきているので,そんな話をします.会話については,ちゃんと研究に展開しつつある澤田氏(ターンを取らない会話の研究)の話も紹介します.
やめて!OSFの犯罪的悪用で、オープンサイエンスプラットフォームが焼き払われたら、オープンサイエンスで全世界と繋がってる研究者の精神まで燃え尽きちゃう!
お願い、死なないでOSF!あんたが今ここで倒れたら、うpったプレレジやマテリアルやデータはどうなっちゃうの? ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、漫画村の二の舞にならないんだから!
次回「城之内 リジェクト」。デュエルスタンバイ!
画面上に呈示される複数の視覚刺激の中から標的刺激を見つけて反応する課題を視覚探索課題という。これまでの視覚探索研究は探索が終了した後の指標を扱うことがほとんどであり、実際にどのような過程で探索が行われるのかは明らかにされてこなかった。そこで、動物の採集行動研究を参考にした視覚的採餌課題 (visual foraging task) を使って探索過程を調べたい、とTwitterに書き込んだところ、リプライ欄に颯爽と現れた松井大さんが、なんと一緒に研究してくれることになった。DMでやり取りが始まり、Zoomでミーティングを重ねて、これまでの1年間で、視覚的採餌課題における最適性からの逸脱に注目して連合学習理論と信号検出理論の枠組みを取り入れた2つの共同研究を行ってきた。本発表では特に信号検出理論を取り入れた視覚的採餌課題で最適な探索ができるかどうかを調べた研究について紹介する。ちなみに、発表者と松井さんは、今のところ一度も対面で会ったことがない。
始まりは、ぼくの隣の隣の席の同僚であり、良き友人でもある、現象学者の柳川さんが吹っかけてきた何気ない雑談であった。「輪読で読んだエナクティビズムの本に行動主義ってやつが出てきたんですけど…」エナクティビズムというのは、今流行中(?)の認知科学の哲学であり、かなり乱暴に言ってしまうと「心ってのは表象じゃないし、身体や環境に根ざして捉えるべきだし、なんならhiddenですらないよ」と言ってる流派である。本人の専門は比較認知科学であるものの、行動主義にはやたら詳しいと自負する松井は、当然「へえ、それ行動主義じゃん」と返すわけだが、その本の著者であり、エナクティビズムの急先鋒であるGallagherは「俺は行動主義じゃない」と言う。これは一体どういうことだと訝しんだわれわれは、数ヶ月に渡り議論を重ね、一本の論文を仕上げることとなる。エナクティビズムとは、行動主義とは、なんなんだろう?本発表は、そんな学際的な研究の一部始終を紹介したい
実空間あるいは情報空間の中で日常的に行われる「探索行動」.発表者は,その中でも目的の商品を探す「商品探索行動」と加齢変化について,実店舗とネットスーパーを対象に検討を行ってきた.これらの研究の中で見えてきた「機能低下しない」高齢者像,および空間探索コンピテンスの諸要因について,地図記憶における探索効果の実験結果の報告も踏まえながら議論する.
スーパーマーケット、ドラッグストア、駅のアナウンス、宣伝トラックなど、とにかく街がうるさい。教科書によると85デシベル以上の長時間の音は聴覚に悪影響を与えうる騒音と定義されるらしい。身の回りの騒音を測定して研究テーマにしたいと長年考えているが、切り口が多すぎてまとまらない。発表では、ヒトの聴覚と環境音の関係、文化差、聴覚感度の個人差、インクルーシブな社会のあり方について議論し、あわよくば共同研究のきっかけとしたい。
成長マインドセットは、能力の成長可能性についての個人的信念である。成長マインドセットは重要な資質と見なされ、教育実践が数多く行われるようになった。しかしながら、近年、Siskら(2018)のメタ分析などのように、成長マインドセットの効果についての疑念も呈されている。本研究では、この問題について考察した上で、成長マインドセット効果を確からしく例証(demonstrate)するとともに、本領域を発展させるための新しいアプローチ「別世界実験」を提案する。本発表ではその研究成果を共有しつつ、フロアの皆様と本アプローチの有用性について議論したい。
社会的ジレンマ状況において、長期の相互協力の維持は介入なしには達成困難である。そこで多くの社会でとられる方策が、非協力者へ罰を与える罰システムの導入である。一方で、罰が様々な弊害をもたらすことが明らかになってきた。なかでも、罰を経験したあと罰が取り除かれた実験群のほうが罰を経験していない統制群と比べて協力水準が低かったという知見 (Chen et al., 2009 study1) は、コスト等の面から罰制度を廃止せざるを得なくなったときに仮に罰を導入しなかったときよりも協力が低下してしまう危険を示す極めて重要な知見である。我々はこれを「罰の逆効果」と呼び、先行研究の概念的追試を行ってきたが、罰の逆効果は再現されていない。今回の犬会では、罰の与え方と大きさを操作した事前登録研究について報告する。
またお前か,というかまた来ちゃった。ということで昨年度に引き続き,またまたフードファディズムのネタです。様々なメディアに対する接触と,様々なフードファディズム傾向の関係性を検討したものです。専門家のプレゼンスが小さかったり,専門家がフードファディズム的な生活を送ってるんじゃないかって,中々面白い結果が得られたんですが,某学会で発表したところ,引くくらい盛り上がりませんでした。今回も皆さんにフードファディズムの概念を広めることを目標にしつつ,結果の解釈について議論をできればと思います。
偶然の不幸に対して「バチが当たった」と誤推論する「天罰(supernatural punishment)信念」には、集団協力を支える機能があると指摘されているが、その具体的なメカニズムの検討は困難であった。そこで本研究では、「人工天罰」実験を提案する。この実験では、集団が形成され、社会的ジレンマで協力するか否かをそれぞれが決定した後、協力行動とは無関係にランダムに減額される対象が決定される。参加者には、ランダム教示:「減額対象はランダムに決定」、天罰教示:「減額対象はランダムなのか、非協力者ほど減額されやすいのか、どちらかは不明」のいずれかを伝える。天罰教示では、参加者が「非協力」と「減額」の連関を予期・推論する状況となり、天罰信念の機能を実験場面に再現していることになる。この方法を用いて、「天罰についての共有信念が協力を支えるか」、「天罰信念の維持に人間による罰は必要か」などを実証的に検討できるだろう。本発表では、できれば予備実験の結果までを報告したい。
心理学は「心を測定する」学問である。これまで数多くの心理的構成概念が測定され、またほかの学問分野にも「心を測定する」ための方法論が輸出されている。しかし、心理学者はその測定がどうやって可能なのか、そもそも可能だったのか、十分に議論できていないように思われる。本発表では、「心を測定する」ということを整理して、我々はどういう意味で心を数量化しているのかについて、歴史的な話、数理的な話を行う。できれば、オーディエンスのみなさんの「心を測定する」ということの考えもお聞かせ願いたい。
「Godやspiritといった宗教的な言葉をプライミングをすると、中性的な言葉をプライミングした時に比べ、人々の向社会的な行動が増えた」という研究をご存知だろうか。こうしたいかにも ""あれ"" な研究は、やはり再現性が疑問視されていて、失敗したソーシャルプライミングの一種とみなされることもある
本発表では、しかしながら、こうした宗教プライミングを擁護する。その理由は2つある。第1に、宗教プライミングの向社会的効果が、強いと言えないまでもあるらしいことを示すメタ分析が複数ある。その中でいくつかの調整要因が示唆されているので、まだ検討の余地があるといえる。
第2の理由が大事で、宗教プライミング効果があるはずだという予測は、私たちの社会と宗教に関するある重要な理論から生まれている。プライミングはこの理論の検証のためのツールなので、検討が続けられているのである。もちろん、プライミングに代わる良い研究方法があればそれを使いたい。
開発援助分野においては,にわかに心理学への注目が高まっている。特に,極度貧困状態の軽減に行動変容の手法への求めが強い。しかし,同分野をフィールドとしている心理学研究者は,世界的にもごくわずかである。ほとんどの「心理学的」な研究は行動経済学者による心理学研究法の援用であり,妥当性に関する検討が不十分なケースが目立つが,それにもかかわらず,それらの研究に基づく政策提言も少なからずなされている。本発表では,開発援助分野における心理学研究を俯瞰し,その可能性について検討するとともに,発表者の取り組みも紹介しつつ,立ちはだかる課題についても整理する。本発表を通して「開発援助心理学」に興味を持ち,参入を検討する研究者がいれば幸いである。
嗜好品とは何だろうか。伝統的には、酒、たばこ、コーヒー、茶という四品目が嗜好品という文脈で語られ、近年ではエナジードリンクやシーシャなど新しい品目もあらわれている。「嗜好品は人生を豊かにする」と書けば、わかったような気になるが、この現象の本質は何だろうか。
発表者は飲酒習慣者や喫煙習慣者を対象としてレジリエンス尺度やトリーア社会的ストレステストオンライン版を用いた生理心理学的実験を実施している。しかし、この種の実験は嗜好品の研究だろうか。嗜好品に含まれる物質の研究だろうか。無論、アルコール依存をはじめとした物質使用障害に関連して、物質の生体への作用や効果を調べる先行研究は数多く存在する。しかし、物質単位の研究で、嗜好品の本質はとらえられるのだろうか。そもそも嗜好品の本質とは何か。本発表では、嗜好品とは何か、嗜好と嗜癖の違い、ヒト以外の動物に嗜好品は成立するか、といった問いを通して、嗜好品の心理学という研究枠組みを考えたい。
課題解決において,「人」を選好かつ情報処理を行いやすい人と,「記号」を選好かつ情報処理を行いやすい人が,それぞれ一定の割合で存在することを,一般市民・子ども・高齢者を対象とした実験によって示す.
身長と体重を測定する心理尺度を作り,心理的身長と心理的体重を発見しました。心理尺度は簡単に作れて,なんでも測ることができるのでとても便利ですね。
習慣とはなんだろうか?習慣には様々な前提がある。「習慣は自動化である」、「習慣は無意識的な行為である」、「習慣は認知的負荷を低下させる」、「習慣はS-R連合である」、「習慣は繰り返し同じ環境で同じ行動を行うほど発現する」など、枚挙に暇がない。しかし、この前提のほとんどが未確認である。本研究は、一人歩きしつつある習慣を徹底して記述することを目指した。本発表では、再現性のない(と思っていた)研究・動画解析に発狂しながらも「習慣とはなにか?」に日々向き合った成果をお届けします。
心理学の再現性を高めるための取り組みとして,研究マテリアルの共有が行われるようになってきている。しかし,ただ研究マテリアルを共有するだけでは,その後の研究利用にはつながらない可能性がある。そこで,前回(第4回)の犬会では,Cognitive & Behavioral Assessment Toolbox (CBAT)について発表を行った。CBATとは,jsPsychやlab.jsベースで作成された質問紙や認知・行動課題を1つのリポジトリに集めて,閲覧と利用を可能にするツールになる。前回の発表では,まだ構想段階であったが,プロトタイプとなるツールを作成したので,改めて紹介する。CBATには,オープンサイエンス実践がさらに広まること,リソースに限りのある状況下で質の高い研究が遂行できるなどの可能性がある。その一方で,その運用については,心理学コミュニティとして慎重な検討が必要な側面もあると考えられるので,是非とも犬会メンバーと議論したい。