組織の蛍光検出において自家蛍光は本来検出したいシグナル以上に強く見えることがあり、イメージングの障害となります。様々な自家蛍光の原因としてはリポフスチン顆粒やエラスチンなどの線維が挙げられますが、これらは組織において一様には分布していないため、シグナルとの見分けがつけられない場合があります。
自家蛍光の消光を行う試薬は多くありますが、そのほとんどが本来見たいシグナルも消光してしまったり、別の波長域でのバックグラウンドシグナルの原因となったり、高価でランニングコストがかかります。
そこで、化学的に消光するのではなくあらかじめ組織を強い光でブリーチングする試みも行われてきました。しかし、強い光とそこから生じる熱によって組織が変性してしまうという問題がありました。また、多くの装置は長時間(数日)の露光を必要とするという前提があり、実用化はされていません。
TiYOは、組織にあてる光の波長や露光方法を検討し、効率的な消光を実現(30分~2時間)するとともに、熱発生の問題を解決した装置です(特許出願中)。全ての自家蛍光を2時間以内に消光できるわけではありませんが、そのような場合にはさらにProKやH2O2処理などと組み合わせることでほとんどの場合は実用レベルの消光が可能です。
マウス脳切片でTiYOを用いた消光の例。
上下の写真は全く同じ光条件で撮影しています。黄色の○で囲んだ部分がリポフスチン顆粒です。これらの顆粒は30分の消光処理によって完全に消えていることが分かります。また、リポフスチン顆粒だけでなく、バックグラウンドシグナルも大幅に減っており、高いシグナルノイズ比を実現していることも分かります。
is shHCRでは1分子イメージングが可能であり、1コピーのmRNAシグナルは1個の顆粒として観察されますが、そのような微細なシグナルに類似したリポフスチン顆粒や、バックグラウンドシグナルが無くなることでより正確な定量ができます。
無染色のマウス脳切片の消光です。
30分の処理でほとんどの自家蛍光が消えていることが分かります。装置の仕様上、核染色などに用いられるUV励起の波長(405フィルター)では消光効率は高くありませんが、DAPIなどの核染色で観察できるシグナルは非常に強いこともあり実用的には問題ありません。
消光の効果の比較です。
染色大手A社の消光処理剤では自家蛍光が明らかに無くなりますが、同時に蛍光色素のシグナルも極端に減弱します。
一方、TiYOでは蛍光色素のシグナルを保持したまま自家蛍光を抑えることが出来ています。