陳情と継続審査について
陳情と継続審査について
札幌市の場合、議会事務局へ陳情を提出するとざっくり以下の流れとなります。
陳情提出→議員配布→審査→議会の委員会で審査
委員会での審査の前に、提出者より陳情の「趣旨説明」を行いますが、
この「趣旨説明」には以下の制約があります。
・会派や議員、理事者(市側)に対して通告は無し。
・趣旨説明の持ち時間は概ね5分程度。
・趣旨説明の際に委員会は暫時休憩となり、議事録は残らない。
趣旨説明が終わると、委員会再開となり、議員からの質問を確認。
その後各議員より執行部への質問を行い、審査となります。
審査の選択肢は3つ
・採択
・不採択
・継続審査
私は、令和5年9月14日陳情提出→受理
9月19日に付託され10月19日に財政市民委員会で審査となり、
趣旨説明を行いました。
令和 5年(常任)財政市民委員会
札幌市議会財政市民委員会記録
令和5年10月19日(木曜日)
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開 会 午前9時59分
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○かんの太一 委員長 ただいまから、財政市民委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、細川委員からは、欠席する旨、届出がございました。
それでは、議事に入ります。
陳情第11号 実施必至型(常設型)住民投票条例案策定に関する陳情を議題といたします。
陳情第11号は、本日が初審査でございますので、提出者から趣旨説明を受けるため、委員会を暫時休憩いたします。
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休 憩 午前10時
再 開 午前10時10分
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○かんの太一 委員長 委員会を再開いたします。
それでは、質疑を行います。
◆小竹ともこ 委員 私からは、初の陳情審査に当たりまして、理事者に幾つか質問と確認をさせていただきます。
まず1点目は、個別型条例と常設型条例の違いについてであります。
住民投票には、法律に基づくものと条例に基づくものがあり、法律に基づき実施が義務づけられている住民投票は、開票結果には法的拘束力がある一方、条例に基づく住民投票は、開票結果に法的拘束力はなく、拘束力を持つ条例は違法とするのが学説上の通説であります。
このことから、条例に基づく住民投票は、結果は尊重するといういわゆる諮問型の投票とするのが妥当とされ、一般的に議会や町の意思決定権の範囲外に位置づけられるものと理解をしております。
そうした中でも、全国では、条例に基づき住民投票を行っている事例は、県、市町村など、自治体の規模にかかわらず存在することから、ある事柄に対して、住民の意思を確認するという意味においては、間接民主制を補完する仕組みとして一定の機能は有しているものと我が会派として捉えているところであります。
陳情第11号は、常設型住民投票条例の制定に関するものでありますので、そこでまず、1点目として、個別型条例と常設型条例はどのような点が大きく異なるのかを確認させていただきます。
◎神 市民自治推進室長 個別型条例と常設型条例の違いについてお答えさせていただきます。
個別型条例は、特定の事案に対して住民の意思を住民投票の実施により確認する必要が生じた際に、当該事案の住民投票の実施に係る必要事項を条例として制定するものであります。
これに対し、常設型条例は、あらかじめ住民投票の対象となる事項や発議の方法、そのほか、住民投票の実施に係る必要事項などを条例化しておくものであります。
このように、個別型条例は、住民投票を実施することの意思決定が前提で制定されるものであるのに対して、常設型条例は、制定後に住民投票の必要性が生じ、発議により初めて実施の意思決定がされるということが大きく異なる点となります。
◆小竹ともこ 委員 ただいまのご答弁によりますと、住民投票実施の意思決定のタイミングが条例制定の前なのか、後なのかということが大きく違うということでしたので、2点目として、住民投票実施の意思決定のタイミングとなる常設型条例の発議の要件について確認をしてまいります。
常設型条例を制定している他都市の事例を見ますと、住民、議会、首長の3者による発議のケースを認めている条例が一般的ですが、住民発議の場合の必要署名件数ですとか、あるいは、住民発議があった後に首長や議会の判断がどう関わっていくのかといったことなどについては、それぞれの自治体の条例で異なる部分があるものと捉えております。
そこで、常設型の住民投票条例を制定している政令指定都市は、広島市と川崎市の2市でありますが、それぞれ発議の要件や手続の流れはどのようになっているのかを確認いたします。
◎神 市民自治推進室長 常設型条例の発議の要件と手続の流れについてお答えいたします。
広島市の常設型条例については、住民投票の発議は、住民投票の投票権を持つ住民に限定されております。
この場合の手続の流れは、まず、住民投票を請求しようとする住民は、どのような事案に対し住民投票を求めるのかなどを記した書類を市長に提出し、市長は、住民が住民投票を求める事項が市政運営上の重要事項に当たるかどうかなどを確認することとなっております。
その確認を経た後に、住民は、投票資格者総数の10分の1以上の者の署名を集め、市長に住民投票実施の請求をする流れとなっております。
一方、川崎市の常設型条例につきましては、住民投票の発議ができることとされている者は、住民投票の投票権を持つ住民、そして、議会、市長の3者とされており、住民による発議の場合は投票資格者総数の10分の1以上の者の連名をもって、議会による発議の場合は議決によりそれぞれ市長に実施の請求ができることとされております。
また、住民からの発議と市長自ら発議する場合においては、市長は、住民投票の実施について速やかに議会に協議を求めなければならないとされております。
◆小竹ともこ 委員 ただいまのご答弁によりますと、広島市、川崎市の両市ともに有権者の必要署名数は10分の1以上と共通しておりますが、議会や首長が住民投票実施までの流れの中でどう関わるのかという部分で違いがあり、特に、川崎市の場合は、首長と議会の協議も必要とされているということでありました。
他都市の状況を踏まえまして、最後の3点目は、陳情第11号にあります実施必至型条例の制定が可能なのかどうかについて確認をさせていただきたいと思います。
陳情第11号の要旨は、実施必至型の条例、つまり、市民が望めば住民投票ができる形の条例を策定してほしいという内容であります。しかしながら、先ほどの質疑のとおり、他都市で制定している常設型条例の発議要件を見ますと、住民投票実施までの過程において、首長や議会が何らかの判断なり確認なりをする流れとなっております。このことは、住民から投票の請求をなされた事案が住民投票を実施するのに適したものなのかといったことや、多額の費用をかけてまで行うべきものなのかをしっかり首長や議会が判断した上で実施するという考え方、あるいは、間接民主制を基本とする地方自治において住民投票が頻発するような事態を防ぐなど、様々な意味合いが含まれているものと考えます。
そこで、陳情にあるような実施必至型、つまり、住民からの請求があれば必ず住民投票を実施するような内容の条例を制定することができるのか、この点を確認させていただきます。
◎神 市民自治推進室長 実施必至型条例の制定の可能性についてお答えさせていただきます。
実施必至型条例については、明確な定義がありませんので、ここでは、実施必至型というものを、住民投票の対象となる事柄に制限を設けず、また、住民投票の実施に際しては、首長や議会が何ら関係することなく、住民からの請求があれば必ず住民投票を実施するものとしてお答えさせていただきます。
このような内容の、いわゆる実施必至型と表現される形の常設型条例を制定している事例は、私どもの調べでは国内にはございません。
このことは、他の自治体が常設型条例を制定する際に、委員からご指摘のあったような、本来、間接民主制の補完制度である住民投票が頻発する事態など、想定される様々な課題について、一定の議論を経たことによるものと受け止めております。
◆小竹ともこ 委員 ご答弁を伺いまして、いわゆる実施必至型というものが国内には例がないということでありました。やはり、制定に当たっては、発議の要件や住民投票の対象とする案件をどうすべきかについて、一定の議論や整理が必要であると受け止めました。
我が会派といたしましては、住民投票条例の制定を否定するものではありませんけれども、発議の要件や対象事案、投票資格、その年齢要件、また、外国籍の住民の参加の可否等々、そのような検討や整理すべき重要なポイントの議論を経ることなく条例を制定することはあり得ないと考えております。
また、住民投票実施への過程において、首長や議会が一切何の確認も判断もしないということは、間接民主制と相反するものであり、適切ではないと考えていることを申し上げまして、私の質問を終わります。
◆定森光 委員 最初に、常設型条例における住民投票の対象事案についてお伺いいたします。
我が国は、間接民主制を基本とする地方自治制度を採用しており、市民から直接選挙で選ばれた首長と議会が議論を重ねながら、予算等の重要事項を決定しております。しかしながら、首長、議会と民意、市民との考えのずれが生じる懸念は当然ございます。
本市が様々な形で市民参加を重要視しているのは、こうした首長、議会と民意とのずれを縮め、間接民主制の不備を補完することができるからであると、そのように理解をしております。
陳情にある常設型住民投票条例を策定することは、民意を明らかにする住民投票を住民自ら発議できるということから、市民参加の一つの形であるというふうに考えております。
しかしながら、常設型住民投票条例を策定するとなると、先ほどもありました、投票資格者、発議の要件、投票の形式など、様々な事項を条例で定める必要があります。
特に、住民投票の対象事案をどうするか、これは、どのような事柄が住民投票の対象となるのか、あるいは、ならないのか、しっかり議論が必要であるというふうに考えております。
そこで、質問ですが、常設型条例を制定しているほかの都市の事例においては、住民投票の対象事項をどのように定めているのか、お伺いいたします。
◎神 市民自治推進室長 常設型条例における住民投票の対象事項についてお答えします。
私どもの調べによりますと、常設型条例を制定している他都市の事例では、どの自治体も住民投票の対象事項を市政に関する重要事項と規定しております。
したがいまして、市政に関する重要事項か否かについては、その事案の置かれている地域社会の状況なども踏まえながら、市政における規模、費用、効果、地域への影響といった様々な観点を相対的に捉え、各自治体において個々に判断することとなっております。
◆定森光 委員 ただいまの答弁では、ほかの自治体は対象事項として市政に関する重要事項としているということでした。
市政が関わる範囲というのは非常に多岐にわたっていることから、条例で対象事項を具体的に示すということは非常に難しいことだというふうに思います。
一方で、先ほどの答弁では、相対的な状況を見るということですけれども、明確な定めがなく、発議があるたびにその事柄が重要事項かどうかという判断がついて回るということだと思います。
こうした判断を減らしていくためには、対象外となる事項を限定的に列挙するというネガティブリストを条例で定めることも一つの方法と考えられます。
そこで、質問ですが、他都市の事例において、ネガティブリストをどのように定めているのかをお伺いいたします。
◎神 市民自治推進室長 住民投票の対象事項のネガティブリストについてお答えします。
事例が多数ありますので、政令指定都市であります川崎市と広島市の例を基にお答えさせていただきます。
両市とも共通して、いわゆるネガティブリストとして、住民投票の対象とならない事項としているのは、法令に基づいて住民投票を行う事項、専ら特定の市民、団体、地域に関する事項、住民投票に付することが適当でないと認められる事項の3項目を定めております。
さらに、川崎市におきましては、市民が納付すべき金銭の額の増減を専ら対象とする事項、広島市においては、市の機関の権限に属しない事項、市の組織、人事または財務の事務に関する事項をそれぞれネガティブリストとして定めているところであります。
◆定森光 委員 今のご答弁では、川崎市と広島市の例を出していただきました。
いずれもネガティブリストは定めているということですが、その中身については自治体によって違うということでした。
こうしたネガティブリストを設けることで、発議する側にとっても住民投票の対象事項がより明確になるということで、一つの手法だと思います。
一方で、専門家の中には、住民投票の結果は、あくまで尊重義務で拘束されないのだから、対象とする事柄を必要としないというふうに言っている方もいるということは承知しておりますが、条例に対象外とする事項を明記するのかどうか、また、明記する場合は何を対象外とするのか、これは議論が必要なところだというふうに考えます。
さて、こうしたネガティブリストの有無にかかわらず、市政に関する重要事項を誰かが判断していかなければなりません。
そこで、質問ですが、この重要事項を判断するのは一般的に誰と想定されているのか、そして、この常設型住民投票条例に基づく住民からの発議を重要事項ではないとした事例はあるのか、この2点をお伺いいたします。
◎神 市民自治推進室長 市政に関する重要事項の判断についてお答えいたします。
他都市の例では、市政に関する重要事項か否かの判断、つまり、住民投票の対象事項であるか否かの判断については、住民投票実施の請求先となる市長が判断を行うのが一般的であり、そのほか、議会の判断も要する例も見受けられます。
また、住民からの請求を市政に関する重要事項ではないと判断した事例につきましては、広島市においては、旧広島市民球場の解体の賛否を問う住民投票の実施請求を同市が却下しておりますが、その理由は、現在または将来の市民の福祉に重大な影響を及ぼし、または及ぼすおそれのあるものには当たらないというものでありました。
◆定森光 委員 重要事項の有無の判断は、一般的には首長であるということであります。ただ、過去に市長が重要事項でないというふうに住民からの発議を認めなかった事例は広島市のみということでした。
議会が重要事項の判断をする場合もあることに条例上はなっているというところもあるということですが、私の調べた限りでは、それによる否決というのはなかったと思いますし、条例で住民発議、議会の関与を認めているというのも、どちらかというと少ないのかなというふうに思います。
ほかの政令市は、先ほど、住民発議の要件として、川崎市や広島市は10分の1ということでしたけれども、これを本市に置き換えますと、有権者は約170万人ですから、住民発議には17万人程度の署名が必要だという計算になります。
地方自治法に基づく条例の制定、改廃の直接請求は50分の1の署名です。これよりも厳しい住民発議の署名数があった請求の事柄を市政の重要事項としないという判断をすることは実際に難しいということが、過去に住民からの発議を認めなかった事例の少なさに表れているのではないかというふうに考えます。
いずれにしましても、常設型住民投票条例の制定を検討するに当たっては、議会での議論はもちろん、ほかの都市の事例のように外部委員会を活用するなど、しっかりとした議論を経る必要があるということを申し上げて、私からの質問を終えます。
◆森山由美子 委員 これまでの質疑にもありましたが、常設型条例を制定した場合は、その後、住民、議会、首長のいずれかが発議することによって住民投票が実施されることとなります。
特に、住民発議の場合は、規定の必要数を超える署名を集め、投票の請求が行われることから、住民にとって非常に関心の深い事案、また、議論が二分しているような事案が対象となっているのではないかと考えられます。
そこで、他自治体において、常設型条例を制定している件数、あわせて、住民投票が行われた件数を確認します。
また、実際に住民投票となった事例についてもお伺いいたします。
◎神 市民自治推進室長 常設型条例による住民投票の実施事例についてお答えいたします。
私どもの調べによりますと、常設型条例を制定している自治体は1県、56市、21町村の合計78の自治体であり、そのうち、条例に基づき住民投票を実施した自治体は5市確認しております。
事例としましては、議員定数の削減、公民館の取壊し、産業廃棄物の処理場建設、近隣自治体との合併、市名の変更といった事案について住民投票が実施されております。
このうち、市名変更の事案については、住民投票の結果を反映して市名変更を行っており、近隣自治体との合併の事案については、当該自治体の住民投票の結果は賛成多数であったものの、合併を想定した近隣自治体の反対で合併自体は白紙という結果でありました。
残る3件、議員定数の削減、公民館の取壊し、産廃処理場建設の事案につきましては、それぞれの自治体の条例で定めている投票要件を満たさず、住民投票自体が不成立となっております。
◆森山由美子 委員 ただいまの答弁によりますと、常設型条例を制定している78自治体のうち、住民投票の事例は5件あるということでございました。
常設型条例は、住民投票を想定し、あらかじめ制定しておくものですので、住民投票の必要性が生じなければ当然行われないものであるとはいえ、事例としては少ないのかなと感じたところです。
それでは次に、個別型条例による住民投票の実施事例について確認いたします。
一般的に、個別型条例を制定する場合は、まず、特定の事柄に対する住民投票の必要性の議論があり、その議論を経て住民投票を実施するという意思決定がなされた上で条例が制定される流れであることから、理屈上は、条例の制定がされれば必然的に住民投票の実施となるものと思われます。
そこで、個別型条例が制定された件数と住民投票が行われた件数、あわせて、主な事例についても確認をいたします。
◎神 市民自治推進室長 個別型条例が制定された件数、住民投票が行われた件数についてお答えいたします。
個別型条例を制定した自治体は49自治体あり、そのうち、住民投票を行った事例は2県、31市、14町村の合計47件を確認しております。
主な事例としましては、原子力発電所の建設、海上ヘリポート基地の建設の是非など、政治色が濃い事案のほか、庁舎を移転し新築するか現地で改修するかという長期にわたる議論の収束を目的としたもの、市長選挙公約として掲げた行政区の再編などの事例がございます。
また、住民投票が未実施となっている2件の事案につきましては、例えば、寿都町が住民投票の実施時期を、概要調査など地区の選定についての意見書を経済産業大臣へ提出するときに実施するとしているように、それぞれの条例で住民投票を実施するとしている時期がまだ到来していないことによるものとなります。
◆森山由美子 委員 ただいまの答弁によりますと、個別型条例の制定が49件、そのうち未実施が2件ということですが、いずれも来る時期に実施の見込みということで、個別型条例の制定イコール住民投票の実施ということが確認できました。
続いて、最後に、確認をいたしますが、これまでの質疑と答弁で確認してきたとおり、他自治体の事例を見ますと、個別型条例を制定し、住民投票を行ったケースのほうが圧倒的に多いわけですが、その要因をどのように分析されておりますでしょうか。
◎神 市民自治推進室長 個別型条例で住民投票を実施したケースが多い要因についてお答えします。
常設型条例については、将来の住民投票の実施に備え、あらかじめ住民投票の対象事項や発議の要件のほか、投票資格なども含めて包括的に規定するものでありますので、発議された事案を住民投票に付することが適当か否か、発議後に判断が必要となります。
一方、個別型条例については、条例制定に至る前段で特定の事案を住民投票に付することが必要との判断が既にされております。
したがいまして、特定の事案に対する住民投票の必要性の高まりや実施に向けての意思が明確な場合においては、個別型条例を制定し、実施するケースが多いものと考えているところでございます。
◆森山由美子 委員 ただいまの答弁をお聞きいたしますと、当たり前のことではあるのですが、住民投票を実施するに当たっては、何を対象として住民投票を実施するのか、また、その必要性がどうなのかといった議論が先にあってこそという認識を改めて深めたところです。
陳情第11号は、実施必至型住民投票条例の制定をということですので、一般的な常設型条例以上に議論が必要と考えられ、さらに、我が会派としては、議論による着地点を見いだすまでには相当の積み重ねや時間が必要と認識していることを申し上げ、私の質問を終わります。
◆池田由美 委員 本市の自治基本条例の基本理念第4条には、まちづくりは、市民が主体であることを基本とするとあります。市民の要求や意思を直接市政に反映していけるまちづくりは、大変意義深いものだと考えているところです。
今回の陳情についてですが、札幌市の場合は、自治基本条例第22条の中で、皆さんもご存じのとおりだと思いますけれども、市政の重要事項であるものに関しては、市民の意見を確認するため、別に条例で定めるところにより住民投票を実施することができるということが書かれております。
個別型ということでありますけれども、例えば、今、実際にオリパラ招致の問題が大きな課題となっているところであります。招致に関して賛否が拮抗しているといった中で、市民の意思を確認していくことが必要だという状況がずっと続いておりました。しかし、市長も市政の重要事項だと認めながらも、住民の意思を確認することなく進めてきた問題がある中で、今現在、オリパラ招致の是非を問う住民投票条例の制定を求める直接請求署名が取り組まれているところです。
こうした市政の重要事項だということについて意思を確認していくことがなかなか進まない中で、市民が自ら、今、直接請求署名に取り組んでいるといった状況だというふうに思うところです。
しかし、個別型によりますと、議会で否決されるケースも多くあるということは私も承知しているところでありますが、今、市民の意思を問う、そして、市民が直接自分たちの意見を述べていく、意思を市政に反映させたいんだと、こういったことがなかなか今の時点で難しいといった現状があるからこそ、この陳情が出されてきたのだというふうに私は思っているところです。
先ほど、陳情趣旨説明でもありましたけれども、住民投票というのは、住民の投票行動によって市政が変わる効果につながるという思いを高め、さらに、市政に関わる情報を積極的に知ろうとする市民力を育てる効果にもなると、私もそう思っているところです。
本市の自治基本条例第33条で、札幌市市民自治推進会議が置かれ、7人の学識経験者と公募した市民を含めて、自治基本条例の評価、検討が行われてきました。
2022年、令和4年の第4次市民自治推進会議での報告書が出ておりますが、第22条の住民投票条例についても報告がされております。
そこで、質問いたしますが、第4次市民自治推進会議では、第22条の住民投票条例についてどのような議論となっているのか、お伺いをいたします。
◎神 市民自治推進室長 第4次市民自治推進会議の提言についてお答えします。
令和4年3月に手交を受けた第4次市民自治推進会議の報告書では、住民投票の実施を規定する自治基本条例第22条については、現時点で規定の改正は不要とされておりましたが、補足提言を受けております。
その内容は、市は、住民投票条例について調査研究を始めるとともに、特に住民からの発意による実施という観点を踏まえて検討を行うべき、さらに、検討に当たっては、市民自治の視点のみならず、住民投票は広範な問題、課題があることから、慎重な対応が必要というものでありました。
◆池田由美 委員 私もこの報告を読ませてもらいましたが、今おっしゃっていたとおり、住民投票実施に際して起こり得る事例等について調査を始めるなど、検討を行うべき、また、市民からの要望によっても住民投票を実施することができる旨を盛り込むことについても併せて検討すべき、住民投票に関する条例によっては、市民自治の視点のみならず、広範な問題、課題があることから、慎重な対応が必要だと、そのように書いてありました。
第4次市民自治推進会議では、常設型の住民投票条例を制定しておいて、そのような事態のときには対応していくことが望ましいということですから、住民投票条例の制定に向けて調査検討を始めるべきとの提案であります。
続いて質問をいたしますが、市民自治推進会議からの報告を受けて、本市は、常設型の住民投票条例の制定についてどうお考えになるのか、伺います。
◎神 市民自治推進室長 提言を踏まえた今後の検討についてお答えいたします。
補足提言を踏まえ、間接民主制を補完する仕組みである住民投票が札幌市が推進する市民自治の観点で有用なのかについて、引き続き、他都市の事例を調査研究するとともに、必要に応じ、有識者の意見を聞くなどして検討してまいりたいと考えております。
また、あわせて、市民に対して常設型条例に関する情報発信を行いながら、関心を高めるための取組に努めてまいりたいと思います。
◆池田由美 委員 市民自治の観点で有用なのか、研究、調査検討をしていきたいというような答弁だったというふうに思います。
先ほど、前段でお話ししましたけれども、市民にとって市政の重要事項だということを認めつつも、今現在、オリパラ招致の賛否を問う住民投票をやらないということが続いておりました。そして、それを自分たちで発議したとしても、約2か月で署名を集めるなど、相当の苦労をして広がっているなというふうに私も見ているところです。
そして、その中で、知らなかった市民がどんどんと情報を得る中で、運動につながっていっている、自らが変えていくんだと、そういう市民力をつけているなということも実感してきているところです。
確かに、これからたくさんの課題を調査検討していく必要があるなというふうに私も実感しているところであります。ハードルを高くしていくことで、活用できない中身になることは避けていくことが必要だなというふうに思います。
常設型の住民投票条例の検討をこれからされるということであります。住民発議の場合、署名数の設定、投票率への規定、こうしたことをどうしていくのか、そして、他都市の状況なども踏まえ、市政の重要事項とはどう判断するのか、多岐にわたる調査検討が必要になってきますけれども、市民自治推進会議の報告、住民投票に関する条例については、市民自治の視点のみならず、慎重な対応が必要だということは先ほどの答弁にもありました。市民が主体であることを基本とすると、自治基本条例の基本理念に立って、市民意見も十分に反映させて、常設型の条例をつくっていくための調査検討を始めていくように最後に求めて、質問を終わります。
◆坂元みちたか 委員 少々視点を変えまして、住民投票を行うとなった場合の大事なポイントになるであろう投票率について確認します。
投票率については、選挙の際にも論じられることがありますが、極端に低い場合は、投票結果が果たして民意を本当に反映していると言えるのかという議論があります。したがって、仮に住民投票を行ったとしても、投票率が低ければ、民意の確認という意味では少々不十分であるような気がいたします。
例えば、この春に行われました札幌市長選挙の投票率を見てみますと、全市で50.99%という数字であり、50%を僅かに上回る状況であります。
そこでまず、住民投票を実施した他都市の事例において、投票率が低い場合の取扱い、いわゆる開票要件はどうなっているのか、確認をいたします。
◎神 市民自治推進室長 住民投票の開票要件についてお答えします。
私どもの調べによりますと、他自治体が制定している常設型条例と個別型条例については、そのほとんどが開票要件を設けております。
具体的な開票要件としましては、投票率が50%を超えない場合は住民投票自体を不成立とし、開票も行わないとしている例が5割以上となっております。
◆坂元みちたか 委員 ただいまの答弁をお聞きし、投票率がそもそも50%を割るような住民投票は住民の意思確認としては不適切、不十分ということで、住民投票自体が成立しない取扱いとしている事例が多いものと受け止めました。
住民投票を行うということは、個別型条例によるものはもちろんのこと、常設型条例によるものであっても、住民の間で相当な議論になっている事柄が対象になっているはずですが、投票率が低いということは、実はあまり争点になっていなかったとも考えることができます。
また、住民投票を実施するとなった場合は、選挙と同様の体制をしく必要があると考えられますことから、費用の面でも相当かかるのではないかと予想されます。
そこで、札幌市で住民投票を行う場合の費用の参考として、直近の選挙費用はどれぐらいだったのか、確認いたします。
◎神 市民自治推進室長 住民投票の費用についてお答えします。
直近の選挙であります令和5年統一地方選挙においては、約12億1,000万円の選挙予算を計上しており、同様に、令和4年参議院議員選挙は約7億2,000万円、令和3年衆議院議員選挙だと約8億6,000万円の予算をそれぞれ計上しております。
したがいまして、単独で住民投票を実施するには、選挙と同じ条件の場合、委員のご質問にありましたとおり、選挙同様の対応や費用を要するものと考えております。
◆坂元みちたか 委員 ただいまの答弁によりますと、選挙によって多少の上下はあるようでございますけれども、7億円とか12億円といった費用が予測されるとのことでした。これはなかなか大変な金額だと思います。
多大な税金を使って住民投票を実施した場合、投票要件をクリアせずに住民投票が不成立などという事態を迎えた場合は、それこそ、とんでもない無駄であり、住民投票を実施するという判断に対する責任問題になる可能性もあると考えるところであります。
我が会派としては、住民の意思を直接確認することの重要性や必要性は認識しつつも、多額の税金を使って住民投票を行うことについては議論のあるところであると考えることを申し上げ、私の質問を終わります。
◆米倉みな子 委員 札幌市には、自治体の憲法とも言える自治基本条例があり、第22条には、市政に関する重要な事項について、住民の意思を確認するため、別に条例で定めるところにより、住民投票を実施することができるとあります。
この条文の別に定める条例には、重要事項の事案ごとに住民投票条例を制定する個別型と、一定の要件の下で、市民、市長、議会の発議によってどの個別事案にも対応できる常設型の両方が含まれます。
住民投票は、自分たちが住むまちの未来を左右するかもしれない重要な事項について、市民が意思表示をする大切な自治の仕組みであると考えます。
その意味において、市民ネットワークは、札幌市における市民自治を推進するために、常設型の住民投票条例を早期に制定すべきであると再三にわたり強く求めてきました。
市長も市議会も市民によって選ばれていますが、全権を委任されているわけではありません。市民は主権者であり、議会と市長は、そうした市民の信託の下で仕事をするというのが市民自治と代表制民主主義の基本です。
市民から選挙で選ばれた代表者が市政に関する重要な事項についての判断を住民投票という形で市民に戻すことは、代表制民主主義の基本にかなうものであって、何ら反するものではないと考えます。
そこで、質問ですが、自治基本条例第22条に市政に関する重要な事項という文言がありますが、札幌市としては重要な事項とはどのようなことを考えているのか、具体的にお答えください。
◎神 市民自治推進室長 札幌市としての市政に関する重要事項の捉え方についてお答えいたします。
常設型条例を制定している他自治体と同様に、札幌市においても、市政に関する重要事項かどうかは、その事柄に応じて、様々な観点から検討を行い、判断することになると考えているところであります。
なお、例えば、川崎市の例になりますが、条例制定に係る外部委員会では、重要事項かどうかについて、具体的な事案として確定的に評するのは困難としていることなどからも、客観的な判断基準などを示すことは難しい議論になるものと考えております。
◆米倉みな子 委員 私たち市民ネットワークは、市民自治を推進し、自治基本条例を着実に実行するために、かねてより常設型住民投票条例の制定を目指しています。
この観点から、提案趣旨はおおむね理解できますが、実際に常設型住民投票条例を制定するためには、住民投票の対象となる重要事項、発議権者及び発議の要件、投票資格者をはじめ、住民投票を実施するための実務など、様々な事項についての深い検討を要します。しかし、本陳情は、趣旨及び内容に不明瞭な点があるため、市民ネットワークとしては、本陳情は継続とするのが適当と判断することを申し上げて、質問を終わります。
○かんの太一 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○かんの太一 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
ここで、陳情第11号の取扱いについてお諮りをいたします。
取扱いは、いかがいたしますか。
(「継続」と呼ぶ者あり)
○かんの太一 委員長 それでは、陳情第11号を継続審査とすることにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○かんの太一 委員長 異議なしと認め、陳情第11号は、継続審査とすることと決定いたしました。
以上で、委員会を閉会いたします。
――――――――――――――
閉 会 午前10時57分
普段はあまり無い、趣旨説明に対しての質問もあり、
比較的活発な議論が行われた印象を持った。
その上で各会派の政治信条もあり、議論を前向きに進める為の「継続審査」
であると私は認識。
その後の審査を見守ることとした。
その後、年度も変わり委員会のメンバーも変更となったので、
審査の進捗を確認する為に私は、令和6年5月21日に
委員長、副委員長、各委員全員に対して以下の書面を送付し、
進捗の確認を行った。
札幌市議会
財政市民委員会御中
うるしはら委員長 殿
和田副委員長 殿
委員各位 殿
札幌市に実施必至型住民投票条例を求める会
代表 松田 隆嗣
市民の代表として、日々市政の監視と運営に邁進され大変感謝致しております。
さて、過日令和5年10月19日に付託頂きました、
陳情第11号実施必至型(常設型)住民投票条例案策定に関する陳情についてですが、
採択の結果、継続審査になっております。
あれから半年程経過し、つきましては、
ご議論の進捗や結果をご共有賜りたく存じます。
議事録等、お有りだと思いますので、
この書面到着後7日以内にご返答頂けると幸いです。
尚、行き違い等を考慮致しまして委員長宛には、
書留と普通郵便を発送致し、その他委員各位には、普通郵便で発送致します。
皆様方に於かれましては、大変ご多忙とは存じますが、
何卒宜しくお願い申し上げます。
札幌市北区北34条西8丁目1−33−104
Tel:011-299-5501
札幌市に実施必至型住民投票条例を求める会
代表 松田 隆嗣
令和6年5月30日に議会より返信があり、内容を公開致します。
おわかりでしょうか?
採択以外は無意味であると言うことが。
市民の意見を聞く気が無い、市民の代表達の集まりであることが。
今回一連のやり取りではっきり致しました。
ちなみに、今回の陳情はある議員の依頼で、
他自治体の状況等をまとめた資料も作成致しました。
それも議論の一助になればと思ったからです。
おそらく「気に入らないなら議員になってみろ」
と言う思想ではないかと思った次第です。