◆◆◆ 剱岳 北方稜線へ進まれる方へ ◆◆◆

池ノ平小屋から剱岳北方稜線を経て剱岳山頂へ進むルートは、日本の登山ルートの中でも屈指の岩稜帯を進む、難易度のとても高いルートです。

登山者の多くが憧れるルートではありますが、近年、経験不十分・勉強不十分・装備不十分で入山しようとする登山者を多く見掛けます。

滑落や道迷いなど遭難件数も多く、事故が起きた時の救出活動も困難を極める山域である為、小屋番が無理と判断した場合は入山を諦めてもらう場合もあります。

このルートを初めて歩く際は過去に歩いた事がある人に同行するか、ガイド登山を利用するようにしてください。

また、剱岳から下ってくる場合は道迷いなどによりビバークを余儀なくされ、到着されないお客様が多くいらっしゃいます。
北方稜線は下りで使うと曲がり角で下り過ぎてしまったり、誤った踏み跡に迷い込んでしまいやすい場所が多くあります。
また、岩稜帯の通過は登りよりも下りの方がずっと難易度が増しますので、初めて歩かれる方は池ノ平を起点にして登りで使われた方が安全だと思います。

途中でビバークして翌日到着する事になっても、ケガなどなく無事に到着してもらえれば一安心なのですが、小屋では夕食を作って待っている訳ですので損害が発生します。

北方稜線を計画される際は確実に到着できる経験や技術のある方のみご予約をお願い致します。

◆小窓氷河へ下りて行く旧鉱山道は荒廃が激しく、足を滑らせれば数10メートル滑落してしまうような場所が多くあります。
景色に目を取られ過ぎないように注意して歩いてください。

画像の周辺は際どい角度の付いたスラブを進みます。岩が濡れている時は特に注意して通行してください。

◆小窓ノ頭周辺には夏でも非常に急傾斜の雪渓が残り、トラバースするのにアイゼンピッケルが必要になる場所があります。
その場に立つと、想像以上の斜度に足がすくむ思いをすると思います。

秋が近付くと雪は消えますが、残雪が残っているうちは10本歯以上のアイゼンとピッケルを携行するようにしてください。

間違った踏み跡が多く、進むルートによってはロープが必要な場所に迷い込む場合もあります。

充分な装備を持つことはもちろんですが、事前のルート確認を充分に行い、視界の悪い日は諦めるなど的確な判断をお願い致します。

2023年に小屋のスタッフが北方稜線を歩いて動画にまとめています。

計画されている方は参考にしていただければと思います。