2026年3月21日
免疫衛生学研究会
シンポジウム
日本衛生学会連携研究会
日本衛生学会連携研究会
第96回日本衛生学会学術総会
シンポジウム5
感染症予防とワクチン科学の新地平
- 自然免疫・LNP・衛生学的視点から -
日時:2026年3月21日(土)
13時30分〜15時00分
会場:栃木県総合文化センター
座長 西村 泰光 川崎医科大学衛生学
演者:
1)西村 泰光 川崎医科大学
「免疫衛生学研究会が目指すところ」
2)東 賢一 近畿大学
「COVID-19など感染症の拡大に関わる要因とその予防に関する衛生学的考察」
3)石井 健 東京大学
「ワクチン、アジュバントのオフターゲット効果の功罪」
開催趣旨
衛生学は感染症の原因探求の中で大きく発展してきた。19世紀、北里柴三郎博士は破傷風菌の純粋培養に成功し、破傷風菌が産生する毒素に対して抵抗性を示す成分として抗毒素(今日でいう抗体)を発見、破傷風の治療法(血清療法)を見出した。この発見は現代のワクチン開発の基礎にもつながる画期的な業績であった。公衆衛生環境の改善や、抗生物質・ワクチンの開発により、感染症の世界的な流行は1940年代後半には下火となった。だが1980年代後半になり、エボラ出血熱やAIDSなどの新興感染症や、結核などの再興感染症、デング熱やジカ熱などの気候変動との関連が指摘される感染症の増加に際し、人類は改めて感染症の脅威を知るところとなった。その脅威を一層強く印象づけたのが2019年12月に中国で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行であった。一方、これらの課題に直面する中でワクチン科学は大きく進歩し、自然免疫への理解も進んだ。そこで今回、衛生学における社会的課題として再認識すべき感染症とその予防、および特異的予防医学として発展したワクチン科学を改めて学び、免疫衛生学研究のさらなる発展を目指すため、本シンポジウムを企画した。冒頭では、筆者から簡単に免疫衛生学研究会が目指すところを紹介する。続いて東賢一先生より、COVID-19など感染症の拡大に関わる要因とその予防に関する衛生学的考察についてご講演頂く。特に、リスク評価の手法を用いた呼吸器感染症の分析結果や疫学的解析結果に基づく感染予防の視点が示される予定である。最後に、石井健先生より、ワクチンおよびアジュバントのオフターゲット効果の功罪についてご講演頂く。ご講演の中では、アジュバントや脂質ナノ粒子(LNP)などが関わるワクチンの作用機序に関する最新の知見だけでなく、その安全性研究についても言及いただく予定である。本シンポジウムにより、感染症予防とワクチン科学の現在地および課題を理解するのみならず、関連する医学や科学が融合し新たな地平が切り拓かれることを期待したい。
多数のご来場お待ちしております!