マンション修繕等書類管理
~修繕積立金の上手な使い方は、重要度の低い工事に出費をしないことが大切です~
~修繕積立金の上手な使い方は、重要度の低い工事に出費をしないことが大切です~
マンション管理組合が保存管理しなくてはならない書類として、標準管理規約(業務 32条五、64条2)には宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書と修繕等の履歴資料が記載されています。
●新築時に交付を受けた設計図書とは?:竣工図・工事の概要書・その他竣工図書関係
●修繕資料とは?:過去の点検・診断の書類や修繕工事に関する資料(見積書、契約書、検査報告書)
しかし、多くのマンション管理組合で、これらの書類はきちんと整理して保管できていないのが現状です。バラバラに保管されていたり、書類があっても劣化損耗して、閲覧使用することが難かしくなってしまうケースもよく見受けられます。
特に「修繕履歴情報の整理」は管理組合の役割にはなっていても、標準管理委託契約書では管理会社への委託業務には入っていないため、特段の取り決めがなければ管理会社が行う業務には含まれませんから注意が必要です。
これらの書類は、時間がたてばたつほど管理は難しくなっていきます。できるだけ早急に必要な書類の整理保管方法の見直しを行うことをお奨めいたします。
マンションの永住志向が高まるなか「いつまでも安心して快適に暮らせる建物を維持をする」という、建物構造物の長寿命化は管理組合の最大の課題として考えられています。しかし、修繕工事の原資となる「修繕積立金」は必ずしも潤沢にあるとは限らず(むしろ足りない場合が多いはずです)、限られた中での支出で最大の効果を求めることがこれからの組合運営には求められています。
竣工時の図面や過去の工事の資料があれば、それらを検討することで不必要な工事の除外や適正価格の比較検討が可能になります。もし資料が何もなければ何から手を付けて良いかもわからず、建物の健全な維持を行うことは難しくなってしまいます。大切な修繕積立金を有効に使うためにも、上記資料の整備保管が必須です。
また別の側面では、売却することで多額の現金になるマンションは大切な資産です。良い資産とは、適切な価格でスムーズに売買が成立する不動産のことを言います。つまり買い手に「買いたい」と望まれるマンションであることが大切です。マンションの資産価値を保ち、専有部の売却価格を高めることは所有者にとっては大きな課題です。
既築のマンションニーズが増加した今日では「マンションは管理を買え」をと言われるほど、管理の状態の良し悪しはマンションの資産価値を左右するポイントとなっています。買主にとって、竣工図書や修繕の書類は、管理状況を判断するための重要な資料となります。これらの書類はマンションの資産価値を適切に評価してもらうためにも無くてはならないものなのです。
それではどのように資料を保管すればよいのでしょうか。
竣工図書については、管理人室や倉庫に段ボールなどに入れて置かれている場合がおりますが、湿気などでの劣化や変形損傷が心配です。適切な保管場所に整理して収納するとともに、データ化して保管することも必要です。大判の図面は専門の業者に依頼してデータ化するのが良いでしょう。
文書の保存には紙媒体と電子媒体があり、それぞれに強みがありますが、紙媒体のみの資料保管では、どうしても経年による劣化や閲覧時の破損、貸し出す際に紛失により損なわれてしまう恐れがあります。長期の保存や使用時の利便性を考えると電子媒体でバックアップを保管をすることが必要です。
修繕工事関係の書類についても、同じように保管場所での適切な保管とデータ化による保存が必要です。また、修繕工事の履歴がわかるように、完了年月日・工事の種別・施工業者・工事の仕様・工事の費用などの項目を一覧表を作成しておくことも大切です。一覧表を作成しておくことで理事が交代した際にも今までの流れが一目で把握することができます。このページの下に一覧表のサンプルを載せておきますので是非ご参考にしてください。
管理組合の運営に余力があれば、マンション管理センターが行っている「マンションみらいネット」に登録することも良いと思います。こちらは管理計画認定支援サービスも行っている国土交通大臣指定公益財団法人で国土交通省の肝いりで作られたシステムです。
経年数の長いマンションでは、なかなか一度にすべてを行うことは難しいですが、手を付けていかないといつまでたっても書類整備は進みません。できるところからお考え下さい。
当事務所では無料相談の対応や書類作成整備作業をお手伝いをさせていただきますので、ご不明なことがあれば何なりとお問合せください。
修繕履歴一覧表サンプル