・人々が上手に(合理的に)意思決定をするにはどうすればいいか、または人が合理的な意思決定をできない場合、それはなぜか・どのような条件かといったことを検証する。
具体的には、
①行動経済学:行動実験を通じて、新しいナッジを提案する、認知バイアスを発見するなど
②集合知:主に計算機シミュレーションを通じて、集団の意見が「知」となる条件、あるいは集合「愚」に陥ってしまう条件を明らかにする
アイデア重視型であるため、計算機シミュレーションや統計に関する知識が不十分でも構わない。
この授業では、問いを立て、
小規模な行動実験またはシミュレーション研究を行い、
レポートとしてまとめます。
これを通じて、情報メディア実験、さらには卒業論文への準備体操をすることを目指します。
オリジナルなアイデアを歓迎します。アイデアはまだぼやっとしたもので構いません。また、仮説を全く考えられない状態の人には、Amazonなどのレビューサイトのレイティング情報を人はどう捉えているか、というトピックを薦めます。
レイティングはもちろん評価が高く、レビュー数が大きければいいですが、そうしたことばかりではないですよね。
①平均値:高、レビュー数:少
②平均値:低、レビュー数:多
といったケースもあるわけです。その際、選択を左右する条件とはなんでしょうか。
たとえばですが、石鹸なんかの日用品は「皆が使っているもの」であれば多少の傷はよくて②を、ワインなんかの嗜好品は質が高くないと困るから①を選ぶかもしれませんよね。
他、評価分布を題材とした研究も行ってきました。該当する私の論文を読んでみてください。たとえばですが、「高級感」が分布の好みを左右するのではないかと考えています。
このように、シンプルな行動実験を通じて、行動経済学的な問題に触れることを目標としています。もちろん、シミュレーション研究でも構いません。
・『AI による情報提供を人が優先して選ぶか否かの心理学的検討』
人は、他人による情報と、AIやアルゴリズムによる情報のどちらを好むのでしょうか。ここ20年、膨大な数の研究が行われてきました。結果は主にアルゴリズムによる情報を忌避するというもので、仮に人よりAIによる情報の方が正確な場合にもこの現象は起きることがわかっています。
他方、近年発達し、爆発的な普及を遂げているLLMに関しては、情報需要の検討が行われてきませんでした。そこでこの研究では、行動実験を通じてこの問題を検証しました。
実験では、幅広い書籍に対し、人またはLLMに推薦文を書かせます。この文を読ませ、様々な角度から評価させるのですが、その際に「人(AI)による文章です」と教示を与えます。つまり、実際にはAIが書いても、人が書いたと偽装して伝えるケースが含まれています。
分析の結果、なんと、この「実際にはAIが書いたが、人が書いたと偽装した文章」が最も高い評価(信頼性や参考度)が得られることが判明しました。さらに、文章の「自然さ」は、「人間が書いた」と伝えた場合に劇的に上昇し、特に「実際にはAIが書いたが、人が書いたと偽装した文章」は、「実際に人が書き、人が書いたと伝えた文章」以上に自然だと判断されたのです。
この結果は、いわゆる「アルゴリズム忌避」がLLMですら起こることを示すと同時に、幾つもの興味深い論点を提示しています。また、Amazonなど「AIによる要約」を掲載しているサイトは存在しますが、そうした実社会への示唆も持つ結果だと言えます。
▶️この学生は精力的に活動しており、このような学会発表や卒業論文も狙えるレポートを仕上げてくださいました。(ただし、ここまでしないと単位はあげない、なんてことはないので安心してください。)
・『ナッジを用いたエスカレーターでの行動変容』
こちらは「エスカレーターに皆片側しか乗らず、移動効率が悪い」という問題を、ナッジによって改善を取り組む試みです。