5月29日16時〜18時:五井健太郎×市川結城「21世紀の啓蒙――暗黒啓蒙という「ほつれ」」
概要
18世紀以降人間は「啓蒙」Lumières/Aufklärungの名の下、自らの蒙を啓く=啓蒙のプロジェクトに身を投じ、例えば科学的進歩に代表されるように、自然現象や社会現象の解明に力を注いできた。しかしながらファシズムやスターリニズムの登場に見られるように、「啓蒙」が残忍な社会体制や人間性をもたらしてきたことも事実である。しかもそれは現在もなおそうであり、反「理性」的ポピュリズムの台頭、新たな資本主義の精神・形態の出現、残虐な侵略行為として姿を見せている。
進歩主義者にかかわらず、人々が専心してきた「啓蒙」とは結局何だったのか?それは18世紀のフランス革命に至るまでの思想運動に限定されるのか?それとも古典古代から現在にまで至る人間の普遍的プロジェクトなのか?我々に幸福をもたらすものなのか?それとも、それを徹底することで自己破壊してしまうような、『啓蒙の弁証法』的「野蛮」をもたらすものでしかないのか?
こうした啓蒙の問題点を考える上で有用だと思われるのが、昨今右派の中で名を馳せている「暗黒啓蒙」である。これはその名からして自家撞着を有するものである。一体その運動とは何であるのか?それが求める「出口」とは何であるのか?翻って、そうした思想が持つ問題点とは何であるのか?どういったオルタナティブを提案することが「啓蒙」のポテンシャルを引き出せるのか?それとも、我々は啓蒙の糸を繰るのをやめるべきかー―?
とかく問題の領野は広い。しかし暗黒啓蒙という「ほつれ」を観察することで、21世紀の啓蒙について考えることはできるだろう。
開催形態:オンライン開催 (zoom)
参加費:1000円
申し込み:
①paypalで1000円送金 ( https://www.paypal.me/humanitiessasazuka)
②フォームに記入(https://docs.google.com/forms/d/1tv1kWWRyV3AuxmyDLdBy0vr2i2YHqFNbwd6oSf4RIEs)
銀行振込も受け付けております。お振込後、上記のフォームにご記入ください。
三井住友銀行
店番号:221
店名:新宿支店
口座番号:普通5123742
スガワラ ケイスケ
登壇者紹介
五井健太郎
1984年生まれ。東北芸術工科大学非常勤講師。専門はシュルレアリスム研究。共著に『統べるもの/叛くもの 統治とキリスト教の異同を巡って』、『ヒップホップ・アナムネーシス』(新教出版社)。翻訳にはニック・ランド『暗黒啓蒙』(講談社)をはじめ、マーク・フィッシャー『わが人生の幽霊たち—うつ病、憑在論、失われた未来』(Pヴァイン)、ヴァージニア・ウルフ「壁のしみ」(『HAPAX』夜光社)などがある。近刊の翻訳書にニック・ランド『絶滅への渇望』 (河出書房新社) がある。
市川結城
1994年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程に所属。専門は、ホルクハイマーを中心とするフランクフルト学派研究。https://researchmap.jp/yuki_ichikawa