研究内容 Research

主な実験動物

カクレクマノミ

インドメダカ

ニホンメダカ

ゼブラフィッシュ

マイクロプラスチックに関する研究

海洋プラスチックごみ問題は、現在、世界で最も深刻な環境問題の1つとなっています。 海水や淡水中では、赤色や青色、緑色など様々な色のマイクロプラスチックが見つかっています。また、魚の消化管の中からも着色マイクロプラスチックが見つかっています。

 そこで私たちは、魚が食べたくなるマイクロプラスチックは何色か? また、摂取されたマイクロプラスチックが体外に排泄されるまでの時間はどのくらいか?、プラスチックは魚類に有害なのか?に関する研究を行っています。

魚類に対するマイクロプラスチックの色の嗜好性と摂取量・排出時間の解明

ニホンメダカ・ゼブラフィッシュ・インドメダカ・カクレクマノミの4魚種を用いて、(1) 魚が食べたくなるマイクロプラスチックの色は「赤色・黄色・緑色」であること、(2) マイクロプラスチックの体外排泄時間は個体間で大きく異なること、を明らかにしました

化学物質が水生生物に与える生物影響の解明

科学技術の発展は、化学産業を発展させるとともに、人類に物質的に豊かで便利な生活をもたらしてきました。化学物質は、食品や農薬、医薬品、化粧品などあらゆる所で使用されており、私たちの生活に必要不可欠となっています。しかし、その反面で化学物質の流出汚染など、人類の生活活動による自然環境・生態系の破壊など、様々な環境問題をもたらしてきたことも事実であります。

 そこで、私たちは、化学物質が水生生物に与える生物影響を明らかにする研究を行っています。さらに、生物影響の遺伝子メカニズムの解明に関する研究も行っています。

化学物質が水生生物に与える生物影響の解明

モデル生物ゼブラフィッシュに亜鉛をばく露した場合、成長抑制・Gh(成長ホルモン)/Igf-1(インスリン様成長因子1)遺伝子の発現が抑制されることを明らかにしました

モデル生物ゼブラフィッシュにトリフェニルスズをばく露した場合、浮き袋の膨らみを阻害し、甲状腺ホルモン攪乱されることを明らかにしました

バイオアッセイを用いた水環境汚染の評価

科学技術の発展に伴い化学物質の種類と量は増加しています。それらは我々の生活の質を向上させていると同時に事業所排水や家庭から下水処理場等を通じて環境中に放出されています

 そこで私たちは、バイオアッセイを用いて河川や湖沼・沿岸水などの環境水が水生生物(甲殻類・魚類)に与える影響を総括的に評価しています。

秋田県沿岸域の海水が魚類に与える影響評価

Marineメダカであるインドメダカを用いて秋田県沿岸域の海水が胚発生・孵化に与える影響と、急性毒性の有無を調べました

魚類の性分化・性転換の遺伝子メカニズムの解明

多くの脊椎動物の性別は性染色体上にある性決定遺伝子の「有無」によって雌雄性が決まります。しかし、遺伝的性決定様式を持った雌雄異体魚でも環境要因によって性別が変わることがあります。

 例えば、一夫一妻のカクレクマノミは、体が小さいときは雄として繁殖しますが、パートナーが死亡して自分が最大サイズになると雌に性転換します。

 また、環境ホルモンが水環境中に存在した場合、多くの雌雄異体魚で容易に性転換(メス→オス、オス→メス)が誘導されることが分かっています。

 そこで私たちは、メダカやカクレクマノミを用いて性分化・性転換の遺伝子メカニズムの解明に関する研究を行っています。

精巣分化決定遺伝子GsdfはXX性転換とXY性転換に関与している

モデル生物メダカを用いて男性ホルモン・女性ホルモンばく露による性転換誘導には、精巣分化決定遺伝子Gsdfが関与していることを明らかにしました