堀江研究室 (Horie Lab) は、東京科学大学 総合研究院 細胞制御工学研究センターに所属する研究室です(2025年度にスタートしました)。私たちは、オートファジーを中心に、生命科学分野の基礎研究に取り組んでいます。特に、生体分子の分解機構に関する先端的な研究を推進しています。
堀江研究室 (Horie Lab) は、東京科学大学 総合研究院 細胞制御工学研究センターに所属する研究室です(2025年度にスタートしました)。私たちは、オートファジーを中心に、生命科学分野の基礎研究に取り組んでいます。特に、生体分子の分解機構に関する先端的な研究を推進しています。
近年、SDGs(持続可能な開発目標)が社会で注目を集めています。生体内でも「合成」と「分解」の持続可能なバランスが重要です。オートファジーは、まさにその「分解」を担う、私たちの体内に存在するSDGsとも言えるシステムです。
オートファジーは普段から私達の体の中で働いています。細胞が栄養飢餓などのストレスを受けると、オートファジーはさらに強く誘導され、細胞内にオートファゴソームという二重膜構造体が出現し、タンパク質や細胞小器官であるミトコンドリアなどを取り囲みます。その後、オートファゴソームは、酵母や植物では液胞、動物細胞ではリソソームと融合し、様々な加水分解酵素により内容物が分解されます。これこそが、オートファジーの本質的な「分解」機能です。
オートファジーは、酵母、ハエ、魚、ヒト、植物に至るまで進化的に保存されており、大隅良典博士らによるAtgタンパク質の発見を契機に、オートファゴソームの形成の分子機構の理解は大きく進展しました。
一方で、「分解の実体」の解明は大きく遅れてきました。従来、オートファジーはタンパク質分解システムとされてきましたが、細胞内にはRNAや脂質、糖、代謝物など、他の高分子成分も存在します。これらがいつ(when) どこで(where) どのように(how)分解されるのか、その詳細はまだ完全に理解されておりません。
私たちの研究室は、分解システムとしてのオートファジーに注目しています。分解が起こるのは、液胞/リソソーム内です。私たちはこの液胞/リソソーム中で働く分解酵素の実体を解明し、その制御機構、基質特異性の有無、そして分解の過程と分解産物を解き明かそうとしています。
現在、研究対象はタンパク質にとどまらず、RNA、脂質、糖、代謝物へと広がっており、生体分子の分解機構を総合的に理解することを目指しています。
私たちの研究室では、モデル生物として酵母(Saccharomyces cerevisiae)を用いて研究を進めています。酵母は、遺伝子操作が容易で、なお理論的かつ実証的な実験が可能な優れたモデル系です。オートファジーに関わる多くの基本因子(Autophagy proteins/Atgタンパク質)の多くは酵母から発見されており、オートファジー研究の基礎を築いてきました。酵母を用いることで、オートファジーによる分解過程を、遺伝学・細胞生物学・生化学の手法を組み合わせて精緻に追跡することが可能です。
特に私たちは、酵母細胞から分解コンパートメントである液胞を高純度に単離する技術を確立しており、これが研究室の大きな強みです。この技術により、液胞単体を用いた分解活性の直接測定や分解基質の解析が可能となります。さらに現在は、この手法を活かして分解された生体分子がその後どのように代謝され、細胞内で再利用・輸送されていくのかという流れを解明する研究へと展開しています。オートファジーの分解過程のその後に迫る研究は未踏領域であり、酵母の研究成果を基に、将来的にはより複雑な真核生物への系へと発展させることを目指しています。
最終的に私たちが目指すのは、オートファジーによって分解・代謝・輸送される生体分子の全体像(アトラス)を描くことです。オートファジーは代謝ネットワークを構成する主要経路の一翼であることを示していきたいと考えています。生体分子の分解という生命現象の根源に迫る──それが、私たちの研究の目的です。
研究チームに参加してくれる学部学生、大学院生、博士研究員を随時募集しています。これまでの専門分野は問いません。興味のある方は、horie.t.b817 (at mark) m.isct.ac.jpまでお問い合わせください。日本学術振興会特別研究員(PD、RPDなど)の受け入れについても歓迎致しますので、気軽にお問い合わせください。研究室見学は随時受け付けています。
2025.6.30 : 研究室入口の表札を作りました!
2025.5.31 : 虹🌈を見つけました!
2025.5.1 : 研究室を立ち上げました!
2025.2.6.: 大隅良典先生の80歳の誕生日をお祝いしました!