博士(工学)
東京大学大学院新領域創成科学研究科・人間環境学専攻・特任助教
〒277-0882 千葉県柏市柏の葉5-1-5 環境棟3階 301室
e-mail: khonda [at] edu.k.u-tokyo.ac.jp
ニュース
2025 / 10 / 7 一緒に運動錯覚研究をしている学部4年の和泉駿志さんが,IEEE SMC 2025 Best Student Paper Awardを受賞しました!
https://www.h.k.u-tokyo.ac.jp/topics/20251007-1/index.html
2025/ 7 / 5 Advanced Roboticsに,アバタの直観的操作手法の研究論文を発表しました!https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/01691864.2025.2523865
2025/ 1 九州工業大学の小村啓先生との運動錯覚の共同研究で,AROB2025 Best Paper Awardを受賞しました!
体を動かす,触る,心が動く,このようなヒトの運動,感覚,情動に対し,外部から刺激を与えることで所望の動き,感覚,情動を生起させることを目指して研究を行っております.
例えば,ヒトの運動感覚(体が動いていることに対する感覚)に対しては,皮膚の上から振動刺激(スマホのバイブレーション機能のような刺激)を与えることで,動いていない体が動いているように感じる「運動錯覚」という錯覚が生起します.私はこの現象を一部利用して,ヒトの動作を制御することや,錯覚そのものを強くする研究を行っております.
また,ヒトからヒトへの接触は,ヒトの感覚のみならず,「快さ」を生起し,ヒト同士の紐帯を強める働きがあるとされています.私は東京大学大学院新領域創成科学研究科の福井准教授らのグループとともに,ヒトの快情動を効果的かつ簡便に生起するための刺激デバイスの開発に取り組んでいます.
受賞:「受賞」タブの6~10番
上述の通り,ヒトの筋肉へ振動刺激を与えると,運動錯覚が生じます.加えて,緊張性振動反射と呼ばれる筋反射も生じることが知られています.私はこの現象を利用して,ヒトの動作を意図した動作と別の動作へ変更する技術の研究を行っています.もしこのような技術で動作を修正できれば,例えばつま先や手先をつい何かにぶつけてしまってけがをする,などの事故を防止することができます.錯覚はいわば認知の誤りですので,「誤りを以って誤りを正す」という面白さがあります.
下の動画では,肘関節の動作変更の様子をご視聴頂けます.この実験では,画面奥の,参加者の右手に振動刺激が加えられています.参加者は,振動が加えられていない左手(画面手前)に,右手(画面奥)を合わせながら肘を伸ばすように指示されていますが,振動刺激の影響で動作のずれが生じます.左手(画面手前)が参加者の意図する動作ですので,意図する動作からの変更がなされていると言えます.
受賞:「受賞」タブの4~5番
運動錯覚そのものは,皮膚の上から振動を加えたり,視覚情報を付与するだけで手軽に生起させることが可能です.しかしながら,錯覚の強さや,そもそも錯覚が生起するかしないか,などについて,各個人でバラツキがあります.バーチャルリアリティやリハビリテーションで運動錯覚を使用するためには,どんな人でも,ある程度同じ錯覚が生起する必要があります.
私の研究では,普段の私たち人間の「筋肉の使い方」に着目して運動錯覚の増強を試みました.人間の筋肉は縮む方向にしか力を発揮できません.私たちが体を動かす際には,関節の両側に位置する二つの筋肉を上手に使用して,体を動かしています.従来の運動錯覚生起方法では,振動刺激を片側の筋肉にのみ与えて「筋肉が伸びる」ような錯覚を生起させて,体が動くような錯覚を生み出していました.
私の提案手法では,この振動刺激に加えて,反対側の筋肉へ電気刺激も与え,筋が縮むような感覚も生起させることで運動錯覚の増強を試みました.
下の動画では,画面左側の腕に電気・振動複合刺激が与えられています.左側の手首には,手を反る方向の錯覚が生じます.この時,参加者には画面の右側の手(ピンクで囲まれている手)で,感じている手首の錯覚運動を再現する指示を与えました.動画では,手首の反る方向の錯覚が生じていることがご確認頂けます.
ヒトからヒトへのタッチ(身体的接触)は,ヒト同士の心のつながりを強め,快さを生起する効果があります.例えば,パートナー同士や子供との触れ合いは,何とも言えない快さを生起します.このようなヒト同士の触れ合いに似た快さは,筆(化粧用など)による撫で刺激でも生起することが知られています.我々はこの筆による撫でに着目し,ヒトの快さを生起するデバイスの開発を行っています.この研究は東京大学の福井類准教授との共同で進めています.
動画は,ヒトが筆を用いて他者を撫でているときの,筆の扱い方を模した動きにより快さを生起させる刺激装置です.
人間環境学専攻の割澤・福井・米谷・伴研究室の福井グループへ配属される学部4年生は、私が指導補助として担当する研究テーマを選択することができます。
他のテーマとの兼ね合いもありますので,必ず毎年選択できるわけではありません.
キーワード:人間の運動制御・振動刺激・情動