質問の回答

第10回勉強会での質問

質問:CA19-9の所で試薬切り替えの際に「旧法でも測定可能」をアナウンスされたということですが、システム上で依頼可能な設定にしたのでしょうか?

旧法での対応はオーダリング(システム)ではなく、依頼用紙or電話連絡での対応にしました。

理由は、オーダリングで「旧CA19-9」とかボタンを作り、簡単に依頼できるようにしてしまうと

毎回「念のため旧法も」とポチポチとボタンを押されてしまうと検査室もいつまでの旧CA19-9を準備しないといけないし、

できるだけ旧法を依頼してほしくないので、依頼用紙や電話連絡など臨床側が面倒くさいと感じる依頼様式を取りました。

質問:実際に旧法での測定を希望された事例がどのくらいありましたか?

6ヶ月の間、アーキテクト(旧法)の試薬やコントロールも準備していましたが、期間内での依頼件数は0件でした。

これが、経営陣への事前説明、医局会や内科の会などでの直接プレゼン、メールや掲示板での丁寧な説明の効果か、功を奏したか?

と勝手に自画自賛していましたが、6ヶ月を過ぎたあたりから「時系列がおかしい」「検査法が変わったのか」「次回の採血は旧法でも」という要望がちらほらありました。

とは言え、説明すれば「そうやったな」と納得いただくので、旧法での測定を強く望まれることはまれで、

現時点でCA19-9とHBs抗原、HCV抗体、HIVについてトータル10件程度、旧法で対応しました。


第7回勉強会での質問

質問:TP抗体において,装置による希釈データ(×10)とマニュアルによる希釈データ(×10)が乖離した原因はありますか。



質問:RPRにおいて,前回値が測定範囲以上であった場合,初検から希釈測定を行わないのですか。

施設ごとの運用によるかと思いますが,当院では治療での検査データの変動も考慮し,梅毒検査に関しては初検は原倍測定としています。

質問:応用編2において,症例3の患者背景で前回と今回で異なるのはヨード制限食のみと理解しました。この状況で今回のTSHが感度以下まで下がるとは考えにくいのですが,いかがでしょうか。

今回の症例は,前回値ではチラージンの服用中止,今回値はヨード制限していましたがチラージンは通常量内服していたため,TSHが低下してしまった症例となります。

過去の勉強会での質問(抜粋)

第6回勉強会での質問

質問:精度管理幅の設定の仕方について教えて欲しい。

当院では,ロットの異なる1ヶ月間の精度管理3ロット分よりSDを算出している項目と,添付文書の表示幅を3SDと想定し2SDを算出して設定している項目があります。ただし,日々の精度管理値の変動の大きさから,表示幅のままや1.5SDまで狭めて設定している項目があります。統計的精度管理の2SD幅は,全測定値の95.4%をカバーする範囲となりますので,20回に1回の近似外れ値が出現する頻度の場合に適切な管理幅の設定が出来ていると考えられます。

質問:装置の機器間差について,許容される範囲はどの程度まででしょうか。

当院では,年1回の頻度で低値から高値までの患者検体を用い相関性を確認することで機種間差の確認を行っています。評価は近似曲線の傾きが0.95〜1.05の範囲であり,相関係数が0.95以上を確認することで機種間差に問題なしの評価としています。日々の機種間差については,各項目のバラツキを考慮しその範囲内であれば問題なししています。

質問:免疫の精度管理は,コストが高いですが具体的にどの程度の測定が妥当なのでしょうか。

原則として毎日測定を行う項目については,測定開始前・測定終了後の2回の測定となります。ただし,測定頻度の少ない項目の場合には,検体測定前にコントロールを測定し確認を行っています。

質問:試薬のロットが変更になりキャリブレーションを行った際に,コントロールの値が変動した時には設定値(目標値)を変更しても良いのでしょうか。

試薬のロットが変わった場合に校正前後でコントロールデータがズレている場合には,先ずメーカーに試薬ロットと校正品ロットの組み合わせで,測定値に差が出ていないか,他施設でも同様の現象が出ていないかを確認します。事象が確認できる場合には(もしくは何度校正しても変わらない場合など),院内で10日ほど測定を行った結果から目標値の変更を行う場合があります。また,別ロットの試薬・校正品での再校正を行う場合もあります。

質問:設定値(目標値)を変えても1SDの値は常に同じでないといけないのでしょうか。

当院では,目標値を変更する場合でも1SDの値は変更していませんが,日々の精度管理の変動(バラツキ)を確認し適切な管理が出来ていない場合には再設定を行う必要があると思います。

質問:精度管理にかかるコスト面で工夫できることがあれば教えて下さい。

冷蔵保存で使い切らない(精度保証期間外)場合や,データの安定性が確保出来ない場合などは,添付文書上問題がなければ小分け分注し凍結保存を行っている項目があります。この場合,溶解方法も添付文書に準じて行うことが必要になります。凍結に際し短時間で凍結するために-80度で凍結することが望ましいです。凍結小分けの運用については,添付文書やメーカーからエビデンスが獲られない場合もありますが,その場合には院内で検証を行っています。

質問:患者情報がない場合に,TP陽性・RPR陰性を希釈確認するべきか悩んでいます。どの様な時に抑制反応を疑えば良いでしょうか。