地球市民教育ラボ

地球市民教育ラボ とは?

地球市民としての意識(グローバルシティズンシップ)を育む教育について研究しています。

研究機関ではありません。研究所もありません。

個人で、学校外でできる地球市民教育の実践を研究しています。

地球市民教育 / Global Citizenship Educationとは?

Global Citizenship Education(グローバルシティズンシップ 教育)の日本語訳です。

地球市民(Global Citizen・グローバルシティズン)としての意識を育教育です。

詳しくは以下で説明します。

市民教育 / Citizenship Education とは?

Citizenship Education(シティズンシップ 教育)の日本語訳です。

「シティズンシップ教育」「市民(性)教育」「主権者教育」など、さまざまな訳され方があります。

単純に「citizenship(シティズンシップ)」と言った場合には「国籍」や「法的な義務や権利」などを意味しますが、ここの文脈では国籍等とは異なる意味となります。

「Citizenship Education」という名称で正式に導入された(国のカリキュラムとされた)のは、2002年のイギリスが始まりです。①社会的・道徳的責任、②政治リテラシー、③コミュニティ参加、の三つの教育目標が示されました。

このイギリスの政策が、各国へ大きな影響を与えました。

しかし、「Citizenship Education」という名称がなかっただけで、それぞれの国ではそれぞれの国に合わせた「良い国民(good citizen)」を育てるための教育が行われていました。時にこの「良い国民(good citizen)を育てるための教育」が、イギリスの意味するCitizenship Education()とは異なっており、愛国心を育てることに傾いている、と批判されることがあります。


※現在は上記三つの教育目標だけではなく、ローカル(地域)からグローバル(地球全体)までの広い範囲で、民主主義や政治、人権、法律、メディアリテラシー、地球温暖化や持続可能性、経済などを学ぶこととなっています。(Global Citizenship Education・地球市民教育、の意味合いが強くなっています。)

日本の一部の学校ではCitizenship Educationの対訳して「市民科」「シティズンシップ科」などを導入しているところもあるようですが、一般的に日本の小学校・中学校・高校の科目で説明する場合には、市民教育の要素が含まれている科目を複数挙げることなります。

小学校: 社会、生活、家庭、道徳、総合的な学習の時間、特別活動

中学校: 社会、家庭、道徳、総合的な学習の時間、特別活動

高校: 公民/公共、家庭、総合的な探求の時間、特別活動

アクティブラーニングやPBL (Project Based Learning) などが導入されてきていますが、特に政治的な部分に関しては社会のルールや政治制度を学ぶといった知識のインプットに重きがあり、みずからが今ある社会を変えていったり社会をゼロベースで考えて構築して行くような実践は乏しいと言われています。

これは、学校としても政治的中立を担保するといった面での苦労があり、教員としてもどう指導するべきなのか明確でないことへの苦労があるためだと言えます。


参照
About Citizenship (ACT)
学習指導要領(文部科学省)
社会を変える教育―英国のシティズンシップ教育とクリック・レポートから(長沼豊著)
ライブ!主権者教育から公共へ(藤井剛・大畑方人著)

地球市民 / Global Citizen(ship) とは?

「世界中のすべての人が(地域や国家という枠を超えて)地球上の市民ある」ということを理解し、それを意識して行動できる人のこと、また、意識して行動すること、を指します。

一人一人の、社会における行動、環境に関わる行動、経済活動が、すべてどこかで繋がっています。

地球のある地域での決定が別の地域に住む人々にどのような影響を与えるかにまで意識を向けること。一人一人かけがえのない存在で平等に価値があることを理解すること。他者や異なる文化にも積極的に関わり、自分の中にある固定観念を認識して見直すこと。地球の資源をどのように公平に使用し、他者と共有し、どのようにすべての人の人権を守るかを考えること。こうしたことが「地球市民 / Global Citizen」には必要な力とされています。

ローカル(地域)にも、グローバル(地球全体)にも、さまざまな角度から物事を捉え、考え、情報を吟味し、実際の行動に繋げる。そしてその行動は、平和的で持続可能で公正であり、自身のコミュニティ(家族・友人・職場、その他広い範囲でも)の中で他者と協力して実行できることが期待されます。


参照
WHAT IS GLOBAL CITIZENSHIP? (OXFAM)

わたしは、2017年〜2018年の1年間、イギリスのヨーク大学(University of York)でGlobal and International Citizenship Educationという教育学の分野の修士課程で勉強をしていました。

学んでいた内容としては、Citizenship Educationが古代から現代まで歴史的にどう発展してきて、各国でどのように実施されてきたかを学ぶ、というものが大筋でしたが、それ以外にも「教育におけるモチベーション理論」や「21世紀の高等教育」といった内容も学んでいました

わたし自身は多文化共生に一番の関心があったので、修士論文はストレートにCitizenship Educationではなく、「Japanese student perception of the development of intercultural competence and factors of the transition during studying abroad(海外留学における日本人学生の異文化間能力の発達とその要素の認識)」というタイトルで執筆しました。

今もその関心の中心は変わりませんが、自分が学んできた地球市民教育 / Global Citizenship Education を、これからより深く多文化共生に絡めて実践していきたいと思っています。