弘化3年7月20日
井上家十一世 井上幻庵因碩 対 桑原秀策四段(18歳)
江戸時代も終わりのころ秀策は、本因坊家一門で将来を期待されていました。
生まれは広島の因島というところ。この年に因島に帰省した帰りに大阪に立ち寄り、井上幻庵と対局することになりました。手合いは2子でした。
1局目に2子で対局した幻庵は秀策の実力を認め、秀策の先で4局打つことに
なりました。結果は秀策の3勝1打掛。この局は先の一局目です。
秀策流で有名な秀策は、当時は四段で桑原秀策と名乗ってました。
この碁も秀策流ではじまりましたが、幻庵の打ち回しがさえて苦戦です。
中盤まで押していたと思われる井上幻庵が、秀策の中央当たりに打たれた時(127手目)に、耳が赤くなったと伝えられています。控えていた弟子たちは、幻庵の勝利を確信していましたが、同席していた医者が、耳が赤くなったのは動揺しているからだ。形勢はよくないかもしれないと話したことが伝わっているらしいです。
この局は昔は3目勝ちといわれていましたが、アマチュアの方がいくらやっても2目勝ちだということで、訂正された曰く(いわく)つきの一局です。