白磁細工「虫かご」

 古くは奈良時代からと云われる虫の鳴き声を楽しむ文化に着想し制作しました。

虫かごの土台は轆轤づくりし、彫刻します。虫かごの中には茄子と番いの鈴虫が据えてあります。

茄子は轆轤の後、捻り細工 をします。番いの鈴虫も指先を使って捻り細工によって作ります。細さ約2ミリの竹ひご状にのばした磁土を周囲約60本で丸屋根の柱にしていきます。

成形から焼き上げまでの全ての収縮を目算し一体で焼き上げた、超絶技巧の逸品です。

※捻り細工技術とは白磁の土を手先やヘラなどの道具を用いて、あらゆるものを表現する技術

白磁細工「白龍」

 白龍は古代中国の伝説では天上界の皇帝に仕えてきました。日本では神聖なる守護神とされてきました。その神秘的な白龍を題材に制作しました。

 白龍の持つ大きな宝玉は轆轤により中空に丸く挽き、削り仕上げをします。宝玉の上で、捻り細工によって龍の造形をし、

千の鱗を施していきます。角、牙、爪、睫毛の一本一本を手のひらと指先を使って鋭い部位をつくり、 折を見て表情をつけていきます。

宝玉の成形、白龍の細工から焼き上げまでの収縮を目算し、一体で焼き上げます。

 1300度の炎の中を生き抜いた力強さの美 、渾身の逸品です。


白磁細工「蓮」

2005年に蓮のセンターピースを依頼されたことが、一四代平戸悦山の蓮づくりのはじまりとなりました。

 平戸白磁の原料の特性上、これまで大きな捻り細工の作品はめずらしく、大掛かりな貼り付け技術も伝えられていませんでした。

この磁土での貼り付けの難しさは成形から接着、乾燥、焼き上げまでの収縮を目算し、一体で焼き上げることにあります。

 一四代平戸悦山の蓮は全てのパーツを轆轤で挽きます。花弁は薄く球体を挽き、その球体から花弁になる部分を2~3分割し、捻り細工を施し花弁を作ります。

花托(ハチス)を芯に成型した花弁を貼り付けていく工程により制作されます。

複数の轆轤成型から生まれる重なり合う曲線が魅力の蓮作品は一四代平戸悦山の優美な逸品です。


※センターピースとは部屋の装飾品の中心的な物を指します。