陸域の降水の変動を科学する
地球は水の惑星です。水は固体・液体・気体( 氷・水・水蒸気)の3態に変化し(相変化といいます) 、大気圏、 水圏、 地球表層を循環します。地球の大気はこの相変化によって、非常にダイナミックな変動を示します。雲や雨はこの水循環の過程で生じる現象であり、 生命にとって不可欠な真水を供給する過程として非常に重要です。一方で、雲・降水変動は干ばつや洪水など、生命に深刻な災害をもたらします。雲・降水変動の時間スケールは数時間から数十年規模、 また空間スケールは数キロから数千キロ規模までおよぶ多様さがあります。さらに、地球温暖化にともなう気候変化の影響が重なります。領域規模から地球規模のマルチ時空間スケールの雲・降水変動の実態とその変動メカニズムを理解することは、地球の雲・降水過程の将来像を考える上でもとても大切です。これらの研究は、将来予測にも不可欠な数値モデルの結果を評価する上でも重要な観測事実となります。
特に、陸上の雲・降水変動は水資源や災害の観点からも重要です。我々が住むアジアは全体的にみるとアジアモンスーンによる雨期があり雨の非常に多い地域です。この豊富な降水が世界人口の約60パーセントが暮らすアジアの生活を維持しています。アジアでも地域によって、降水をもたらす降水システムやその変動メカニズムが異なります。同じ領域でも季節変化は毎年変調し、雨の多い年や少ないといった年々変動がみられます。これらの変動機構の理解はまだまだ課題が多く残されたままです。また、陸域の雲・降水現象は陸面(地表面状態や地形)と植物などの陸域生態系とのフィードバック(相互作用)が非常に重要です。これらの地表面状態が様々な時空間スケールの水循環の変動過程にどのような影響を及ぼしているのかも興味深い課題です。本研究室ではデータ解析・現地観測を中心に、 領域モデルや 全球モデルを援用した複合的なアプローチにより、 降水を通して地球の気候システムの理解を試みます。
これらの課題に取り組むために、気象・気候・水文気象・水文気候学的なアプローチを中心に、 雪氷、植物生態、 動物生態などの分野との共同研究も積極的に行っています。
研究対象時間スケール:
日変化(1日周期)、 総観規模擾乱(3日~7日周期)、 季節内変動(10~60日周期)、 季節変化(数ヶ月から1年周期)、年々変動(1~数年周期)、 10年規模変動,、気候変動(温暖化を含む)とこれらの異なる時間空間スケール間の多重構造.
具体的な対象事例:
積乱雲、メソ降水システム、 熱帯擾乱(台風, サイクロン, モンスーン低気圧)、 梅雨前線、 季節内変動(QBW, BSISO, MJO)、降水量の季節変化、長期変化傾向
解析対象領域(陸域と沿岸域):
チベット高原、 ヒマラヤ山脈、 中国東部平野部、 日本、 バングラデシュ、インド、 ミャンマー、 タイ、 ベンガル湾、 海洋性大陸(ボルネオ島, スマトラ島など)、モンゴル、 シベリア、 北極海、東シナ海など
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